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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された!」
「クロレッツXP」-“味長持ち30分!”のキャッチコピーが30分だった理由(わけ)
ガムの味がとても長続きする。競合商品との差別化のためにも、それをわかりやすく伝えたい。そんな思いから大胆にも「30分間味長持ち」と謳った粒ガムが昨夏発売された。
「クロレッツXP」。なぜ30分間なのか、どうやって30分間にできたのか-。その真相に迫る。

ガムの味が“30分間”長持ちする。昨夏、クロレッツXP(以下、クロレッツ)が大胆にも味の持続時間を謳った。30分間というわかりやすいキャッチフレーズが相まって、クロレッツの売上は以前にも増して伸びた。

チューインガム市場では味を長続きさせることが競争のポイントだが、その時間を具体的に謳ったクロレッツ。なぜ、堂々と30分間を謳い文句にしたのか?-その開発ストーリーを紹介しよう。

商品の優位性をもっと明確に訴える

1985年に日本で「クロレッツ」が発売された。それまでの国内市場では、粒ガムは子ども向けという印象が強かったが、独特の風味とミントの爽快感から大人の女性を中心にヒットした

1985年に日本で「クロレッツ」が発売された。それまでの国内市場では、粒ガムは子ども向けという印象が強かったが、独特の風味とミントの爽快感から大人の女性を中心にヒットした

クロレッツは1952年に米国で誕生した有力ブランドで、日本市場では85年11月に発売された。発売以来、クロレッツは「息スッキリ ブレスフレッシュガム」をブランドコンセプトとしてきた。商品名は成分として含まれるクロロフィルとレチンからなる造語だ。

クロロフィルは葉緑体に含まれる緑色色素で息をキレイにする効果がある。また、レチンは独自に処方された息をキレイにする成分。クロレッツでは、このレチンとクロロフィルを組み合わせた独自成分(アクチゾル)によってニンニク臭などを包み込むようにして抑える。さらに、ウラジロガシ茶抽出物などの成分によって、クロレッツはブランドコンセプトである“ブレスフレッシュ”の効果を発揮する。


「味が長持ちするという点でのクロレッツの優位性をもっと明確に訴求する。そのためにはどうすればよいかが2010年にリニューアルしたときのポイントでした」
クロレッツ ブランドマネジャーの内山元春さん

「味が長持ちするという点でのクロレッツの優位性をもっと明確に訴求する。そのためにはどうすればよいかが2010年にリニューアルしたときのポイントでした」
クロレッツ ブランドマネジャーの内山元春さん

2010年8月、クロレッツは発売25周年の節目として大きくリニューアルされた。そのコンセプトが「30分間味長持ち」だった。そのリニューアルについて日本クラフトフーズのマーケティング本部「クロレッツ」ブランドマネジャー・内山元春さんは説明する。

「ガムのカテゴリーにはずっと前から、味の長持ちに対するニーズギャップがハッキリとありました。ガムの味がもっと長持ちするといい。しかし、実際にはそうではない。その結果ニーズが満たされない。そうしたギャップがすごく大きかったのです」

そこでクロレッツは02年、味長持ちさせる独自の技術(ロングラスティング製法)によりリニューアルされた。そのコンセプトが消費者から受け入れられ、その後は2ケタ成長を続ける。

「味の長持ちが消費者にとって重要なポイントであることは、この実績からも十分にわかっていました」

そのため、02年のリニューアルで実施した“味長持ち”に競合メーカーも追随し、パッケージにもつぎつぎと味長持ちのキャッチフレーズが躍り始めた。

「消費者調査の結果、当社のクロレッツの味が一番長持ちすることに自信を持っていましたが、他社のガムのパッケージにもそれを謳われたのでは差別化になりません。クロレッツの優位性をもっと明確に訴求するにはどうすればよいか。それが2010年のリニューアルのポイントでした」

消費者ニーズに合致する味長持ちのコンセプトをさらに深掘りする。方向性は定まっていた。問題は他社との差別化だった。どうやって優位性を表すか。差別化のアイデア探しが始まった。

「30分でいこう!」

09年初頭、まずマーケティング部のスタッフ4~5人を中心にリニューアル計画が始動した。どのガム商品よりも味が長持ちする。その自信を消費者に力強く訴えたい。いくつものリニューアル案が浮かんでは消えた。その繰返しを経てアイデアは、具体的に持続時間を言いきってしまうという方向に収れんされていった。

“味長持ち○○分!”-ずばり言いきってしまう。大胆な発想だった。確かにガムを噛んでいて味は長時間続くのだが、いままで自社も他社もその時間を具体的な数字で表したことはない。むしろ抽象的な表現に止めていた。それを逆手にとるように、今度は具体的な数字を前面に出して持続時間をアピールしようというのだ。

そのためには、具体的に何分と謳えばいいのか、また技術的にはどれくらいの時間が可能なのかを見極めるデータが必要だ。消費者調査をしてみると、ガムを噛む時間の平均が20分間であることがわかった。ならば、なんとしてもそれを超える時間、味を長持ちさせたい。平均値の20分を超えれば、消費者に大きな驚きをもたらすはずだ。

「30分でいこう」

コンセプトが決まった。

「30分という時間をズバッと言いきってしまうことは、当社の自信の表明でした。これまでのように現行品より○○倍の長持ちという表現では新しさがありません。また、メッセージとしてインパクトの強さにも欠けます」

具体的に味の持続時間が決まった。が、これはあくまでも商品企画段階での考えだ。技術的な裏付けはなにも固まっていない。ここからが本当のチャレンジだった。

96%のモニターが支持をした

30分というコンセプトが決まったものの、それを実現する手段はまだない。マーケティングのスタッフに技術開発や営業などの要員を加え、コアメンバー10人ほどのプロジェクトチームが発足。コンセプトを現実とするための技術開発が始まった。

味を30分間長持ちさせるためには、02年のリニューアルで用いた同社の「ロングラスティング製法」を改良することがポイントになった。ロングラスティング製法とは、味の成分(甘味料、フレーバーなど)を封入したマイクロカプセルをガムに混入した同社独自の製法のこと。この製法でつくったクロレッツを噛むと、ガムの中のマイクロカプセルが徐々にはじけることでカプセル中の味成分がジワジワと口中に広がり、従来の粒ガムより味が長続きするのだ。

このロングラスティング製法を改良するといっても、マイクロカプセルの数を増やしたりガムの粒を大きくすればいいというものではない。むしろそれは逆効果になりかねない。なぜなら、ガムの粒の大きさを少しでも変えれば噛み心地が変わってしまい、単純にマイクロカプセルを増やすだけでは味が変わってしまうリスクがある。クロレッツは多くのヘビーユーザーに支えられている商品だから、噛み心地や味が変化してしまえばそれらヘビーユーザーたちが離れてしまう危険性がある。

味を30分間長持ちさせる。それを技術として完成させるために、マイクロカプセル中の味成分を濃縮させて量を増やし、それによって、より時間をかけて味がでるようにする。ロングラスティング製法をその方向で改良させる開発が始まった。


2010年、独自製法のロングラスティング製法を改良してさらに味を長持ちさせたクロレッツXP

2010年、独自製法のロングラスティング製法を改良してさらに味を長持ちさせたクロレッツXP

味も噛み心地も変えず、味の持続時間だけを長くする。マイクロカプセルの味成分を濃縮するため、成分を構成する各要素の調整を何回も繰り返した。試作によっては味が強すぎたり、逆に持続時間が足りなかったり。試行錯誤の中で100以上の試作品を開発した。そして1つの成分調整にたどりついた。

「この成分調整で試作したクロレッツを延べ500~600人の消費者に試食してもらいました。4回のモニター調査を実施し、その結果、『30分経っても味が持続している』と回答された方が96%にものぼりました」

それ以前にも味の長持ち感を調査したことはあったが、「30分」という具体的な時間を掲げて調べたのは初めてだった。しかも、96%とほぼ全員の消費者が30分という時間を認めたのだった。


2010年、リニューアルしたクロレッツXPの味が30分長持ちすることをわかりやすくアピールしたテレビCM

リニューアルしたクロレッツXPの味が30分長持ちすることをわかりやすくアピールしたテレビCM

このモニター調査によって品質を最終確認し、リニューアル後のクロレッツは10年8月に「さわやかさ続く30分」をキャッチコピーに発売された。そして狙いどおり“30分”の訴求ポイントは消費者に大きなインパクトを与えた。

「クロレッツはミント系のガムのため、それまでの主たる購買層はストレスからの解放や気分転換を求める30代後半から40代の男性でした」

それが30分間味長持ちのインパクトにより、主購買層からの支持をさらに高めたばかりでなく、20代後半から30代前半の男性や女性へと購買層のすそ野を広げていったのだ。そして日本のガム市場が04年をピークに漸減傾向をたどっている中、クロレッツは7年連続して2桁の成長を続けている。

企業データ
日本クラフトフーズ株式会社
代表取締役社長 井上ゆかり
東京都品川区上大崎2-24-9 アイケイビル5階
TEL 03-5487-5670
掲載日:2011年1月21日


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