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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された!」
「ノンオイルスーパードレッシング<青じそ>」-脇役として開発された調味料が新しい市場を創った
ドレッシングの主原料は食用植物油と食酢または柑橘類の果汁であり、それに食塩、砂糖類、香辛料などが加えられて製造される。言い換えれば“酢と油”がなければドレッシングとして成り立たないのだが、その常識を覆した商品が1988年に発売された。
「ノンオイルスーパードレッシング<青じそ>」。主原料に食用植物油を用いないこのドレッシングはどのように開発されたのか-。

ノンオイルスーパードレッシング<青じそ>

1988年に発売された「ノンオイルスーパードレッシング<青じそ>」。それまでの市場になかった“ノンオイルドレッシング”という商品カテゴリーを確立するキッカケとなった。

理研ビタミンが「ノンオイルスーパードレッシング<青じそ>」(発売当初の商品名、現在は「リケンのノンオイル」シリーズ)を開発、発売したのは20年以上前。1988年のことだった。

ドレッシングの主原料に食用植物油を用いない業界初のノンオイルドレッシング。その開発当時を執行役員・食品開発部長の矢野邦樹さんはこう振り返る。

「弊社のわかめなどの海草商品をお客様においしく召し上がっていただきたい。それがノンオイルドレッシングの発想の原点でした。実は最初からドレッシングをつくろうと開発した商品ではなかったのです」

自社の商品ラインナップの1つとしてではなく、あくまでも主力の海草商品をおいしく食べるための調味料をつくる。そんな脇役づくりのような目的がノンオイルドレッシングの発想の原点だった。

1986年、同社は専用調味料を添付した「生海草サラダ(ノンオイルドレッシング青じそ付き)」を発売した。海草商品の売上を伸ばしたい。そのために専用の調味料を添えた商品にした。その調味料は、しょうゆベースに青じその風味を利かせたドレッシングタイプの液状調味料だった。ただし、通常のドレッシングとは異なる点があった。食用油脂を用いていないことだった。通常、ドレッシングは食用植物油と食酢、塩、香辛料などを主原料にする。ところが、わかめや海草のサラダにドレッシングの油分はなじまない。海草本来のおいしさを十分に引き出しきれないからだ。そこで海草サラダ商品に添付した液状調味料には食用植物油を用いなかった。

また、海草独特の臭みを消すために強い味にする必要がある。そのため青じそを香り付けに活用した。

うま味主体でドレッシングをつくる

1938年に創業の理研ビタミンには、長年の天然調味料研究から持つ豊富なエキスがある

1938年に創業の理研ビタミンには、長年の天然調味料研究から持つ豊富なエキスがある

通常、ドレッシングづくりでコクを出すために食用植物油が必要だが、この専用調味料では油分を用いないため、うま味主体で味をつくった。ただし、うま味を主体とすると後味がくどくなり、どうしてもサッパリ感がなくなってしまう。そのため、油分を用いないドレッシングタイプの液状調味料にするためには、うま味主体でもサッパリ感を出せる素材の配合で絶妙なバランスを探さなければならなかった。

うま味はアミノ酸や核酸が主体となるが、同社には長年の天然調味料研究から持つ豊富なエキスがあった。その膨大な種類のエキスを用いて試行錯誤を繰り返し、これらのエキスと青じそをベース素材にすることで、油分がなくてもコクがあり、さっぱりとした後味とうま味を引き出せるドレッシングに仕上げられた。

この海草サラダの脇役として添付した液状調味料が好評を博す。「生海草サラダ(ノンオイルドレッシング青じそ付き)」を購入した消費者から「ドレッシングだけほしい」という声が多く寄せられたのだ。そこでテスト販売をしてみることにした。業務用300ml容器の調味料を東京・青山の食品スーパーで期間限定で販売。ノンオイル型のドレッシングという斬新な調味料のため、消費者ニーズを測るには都市型スーパーが好適だった。そして、テスト販売の結果は予想をはるかに超えるものだった。またたく間に売り切れてしまったばかりか、テスト後にも消費者から「あのドレッシングはもうないの?」「もう売らないの?」という声がスーパーに相次いだからだ。スーパーの店長からも「あの商品、おもしろいかもしれないよ」とうれしい感想を得た。

必ずマーケットから支持される

このテスト販売で好感触をつかんだ開発部隊は、商品化へ向けて社内の説得を始める。が、社内は一抹の不安に包まれた。すでにドレッシング市場は大手ブランドがひしめいている。

「後発でネームバリューのないリケンがやれるのか?」

「ドレッシングなんかやったこともないのに商品化できるのか?」

当然のごとく社内からシビアな疑問が投げかけられた。しかし、開発部隊にはひとつの"確信"があった。消費者のニーズは健康志向へ高まりをみせている。だからノンオイルという商品コンセプトは強い訴求力を発揮できる。また、味には自信があるのだから、必ずマーケットから支持される。ただ、そうした確信を持つ一方でいささかの迷いもあった。発売するうえでの商品カテゴリーだ。大手ブランドがひしめくドレッシングでいくべきか、それともポン酢でいくべきか。既存の市場にノンオイルドレッシングは存在しない。そのため、市場の感覚からすればドレッシング商品というよりもポン酢商品に近いように思われるだろう。しかし、販売の機会としては、スーパーマーケットの店頭ではドレッシングのほうがポン酢より圧倒的にSKU(在庫管理する商品単位)が多い。SKUが多いということは、参入の余地が大きいことにつながる。ならば、ドレッシング商品とすることにこそ勝機が見出せる。

大胆かつシンプルなラベルデザイン

また、既存のドレッシングとは異なる商品であるからこそラベルのデザインを大胆にする。素材の1つである青じその葉を大きく表示し、その真ん中に大きく「青じそ」の文字をしたためた。1枚の大葉と「青じそ」の文字だけをアイコンとしたシンプルなデザインは、売り場でひときわ目を引く。「後発でこわいもの知らずだったからやれたパッケージデザイン」と矢野さんは笑うが、このインパクトは大きかった。

「もし、青じその葉を大きくモチーフしたデザインではなく、既存のドレッシング商品と似たりよったりのデザインにしていたら、ここまで成功しなかったかもしれません。後日、ノンオイルで追随しようとした競合他社が市場調査をしたところ、消費者が青じその葉のデザインを目印に購入されていることがわかり、商品化をあきらめたことがあったくらいです。それほど消費者には強いインパクトを与えられたようです」

消費者のアイデアもヒットに寄与

2010年から新ブランド「リケンのノンオイル」に一新。ノンオイルの良さをさらに訴求させる

2010年から新ブランド「リケンのノンオイル」に一新。ノンオイルの良さをさらに訴求させる

1988年に発売した「ノンオイルスーパードレッシング<青じそ>」の価格は200円だった。当時、多くのドレッシング商品が150円だったのに比して50円も高い。これに対してまたしても社内から不安の声が挙がる。「後発品なのに50円も高くて売れるのか」と。しかし、この懸念は杞憂に終わる。爆発的ヒットを飛ばしたのだ。マーケティングの基礎理論どおり、消費者は「価格と価値」を勘案したうえでこの商品を選択したのである。

このヒットの背景には消費者のアイデアも寄与していた。というのも、サラダのドレッシングだけでなく、焼き魚、豆腐、ギョウザなどの調味料としても使われた。ノンオイルゆえにさっぱりとした味覚におもしろみを見出し、消費者はそれを万能調味料としても使った。焼いたサンマにかける、和え物の調味に利用する。同社の消費者調査では、ノンオイルドレッシングの用途として3分の1がサラダ以外だったという。


「実は最初からドレッシングをつくろうと開発した商品ではなかったのです」
執行役員 食品開発部長の矢野邦樹さん

「実は最初からドレッシングをつくろうと開発した商品ではなかったのです」
執行役員 食品開発部長の矢野邦樹さん

食品業界で初めて開発されたノンオイルドレッシング。ドレッシング市場に新しいカテゴリーを生み出したリケンの「ノンオイルスーパードレッシング<青じそ>」は、1988年の発売初年にいきなり各スーパーマーケットのPOSデータでドレッシング商品ナンバーワンを獲得する。その後も14-15年にわたってナンバーワンの王座に君臨し、今なおトップ級の地位を保ち続けているのである。

企業データ
理研ビタミン株式会社
代表取締役社長 堺 美保
東京都千代田区三崎町2-9-18
TEL 03-5275-5111
掲載日:2010年11月15日


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