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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第61回 秒速0.5m以上の流速で発電するマイクロ水力発電システム[山崎]

精密部品を加工する大阪の中小企業・山崎が独創的なマイクロ水力発電システムを開発した。0.5m/s以上の流速の水路で発電する「流水利用式マイクロ水力発電システム」だ。このシステムは3つの特徴をもつ。(1)水車が楕円形であること、(2)高効率のスクリュー増速機を持つこと、(3)発電機にコアレス型発電機を用いたことだ。

「流水利用式マイクロ水力発電システム」の概要。スクリュー増速機で水車の回転エネルギーを効率よく発電機に伝える

「流水利用式マイクロ水力発電システム」の概要。スクリュー増速機で水車の回転エネルギーを効率よく発電機に伝える

楕円形の水車

通常、水車の形状は円形だが、同発電システムであえて楕円形にしたのは水流に触れる部分を増やすためだ。というのも、同発電システムの水車の水受け部は、アルミフレームにテント用の膜材を被覆してある。しかも、膜材は水車の幅いっぱいに被覆されるのではなく、空隙(被覆しない隙間部分)を設けながらそれぞれの水受け部に2~3枚が互い違いに取り付けられた構造になっている。このため、楕円形であるほうが水受け部が水流に触れる比率が増す。
 テント用の膜材を用いたメリットは、大幅な軽量化が図れること、また固定方法で強度設計が簡単にできること、水受け部の幅を容易に変更できることなどだ。
 楕円形の水車にはスクリュー増速機が設けられている。この増速機は、鉄製の円板にローラーが設置され、円板の回転にしたがってローラーがスクリューの溝に沿って動き、それによりスクリューを回転させる。そして、このスクリューの回転エネルギーで発電機を稼働させて発電する。

楕円形/円形水車の水受けシートの構造と特徴

楕円形/円形水車の水受けシートの構造と特徴

スクリュー増速機(50×55×20cmの場合)の特徴は、構造がシンプルなうえ、増減速比40、起動トルク0.4Nm、伝達効率約90%と小さい力で回転できることだ。 また、システムとしての特徴は、(1)スクリュー増速機、発電機の増設・交換が簡単にできる、(2)水受け板の変更が容易にできる、(3)水路の幅に簡単に対応できることなどがある。
 これまでに以下のような実証試験を実施した。

1.石川河川敷水路(大阪府富田林市)で最大出力235W(発電効率44%)
装置の仕様:直径1m、幅60cm、水車(円形)の羽根数20枚、スクリュー増速機:40倍増速、コアレス型発電機300rpm/300W

2.石川河川敷水路(大阪府富田林市)で最大出力422W(発電効率67%)
 装置の仕様:幅1.8m、長さ3.6m、高さ2.9m、水車(楕円形)の羽根数36枚、スクリュー増速機:72倍増速、コアレス型発電機700rpm/1kW

北部水みらいセンター(大阪府泉北郡忠岡町)で最大出力546W(発電効率約70%)
装置の仕様:直径4m、幅0.75m、水車(円形)の羽根数30枚、スクリュー増速機:120倍増速、コアレス型発電機300rpm/500W

異なるタイプの水力発電にもスクリュー増速機が応用され始めた

流水利用式マイクロ水力発電システムの稼働条件としては、流速0.5m/s以上で水路も幅0.5m以上、水深0.2m以上であれば落差がなくても発電できる。
 今後は販売に注力していくが、用途としては地域振興を目的としたイルミネーションのライトアップ、防犯対策を目的とした屋外照明、農業の鳥獣害防止を目的とした電気柵など多様に考えられる。

また、同社が考案したスクリュー増速機が異なるタイプの水力発電システムにも応用され始めた。長崎県のソフトウエア開発会社が長崎大学と共同開発する波力発電装置への採用が試みられている。まだ、実験室での研究段階だが、今後は造波装置を用いた実験に移り、構造開発が続けられるようだ。

掲載日:2014年3月27日

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