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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第55回 オートバイの排ガスを利用して発電するハイブリッド型燃料電池 [アツミテック]

自動車やオートバイは、エンジンに接続した発電機(オルタネータ)で発電した電気を蓄電池に貯え、ヘッドライトなど多様な電気機器の電源としている。この発電機はガソリンを燃料とするわけだがら、当然燃費にも影響する。そこで燃費の向上と二酸化炭素などの排出物質の浄化を目的に、2輪・4輪部品メーカーのアツミテックが産業技術総合研究所と共同でハイブリッド型燃料電池を開発した。

オートバイに設置したハイブリッド型燃料電池システム

オートバイに設置したハイブリッド型燃料電池システム

これは、固体酸化物型燃料電池(SOFC)と熱電変換素子を組み合わせたもので、排ガス中の二酸化炭素、炭化水素、一酸化炭素を燃料に燃料電池で発電し、それと同時に、発電で高温になる燃料電池の熱エネルギーを利用して熱電変換素子でも発電(温度差発電)するハイブリッド型の発電システムとなっている。

排ガス中の水素などを燃料に発電

構造と原理は以下のようだ。

ハイブリッド型燃料電池の構造と原理

ハイブリッド型燃料電池の構造と原理

上図のように、燃料電池はSOFC空気極、電解質、SOFC燃料極で構成される。空気極にはバリウム・ストロンチウム・コバルト・鉄(BSCF)の焼成からなるセラミックを用い、燃料極にはガトリウムをドープトしたセリア(GDC)を用いた。電解質には安定化ジルコニア(YSZ)という、酸素だけを透過させる性質がある「酸素イオン伝導体」を用いた。この電解質は、通常の燃料電池とは逆の原理で作用する、つまり酸素が移動して水素に結合する。また、電解質が酸素だけを透過させる(酸素以外は透過させない)ことから、その酸素が水素以外の物質とも結合するというメリットがある。つまり、排ガスには水素以外に炭化水素や一酸化炭素も含まれているため、それらの物質とも酸素が結合することで発電を促すのだ。

燃料電池は直径2mmのチューブ状であり、チューブは3層構造になっている。3層の外周層は空気極、中間層が電解質、内周層が燃料極だ。この燃料電池は320本のチューブを束ねてある。チューブ形状にした理由は、ガス漏れシールを不要にできることから部材コストを抑えられ、かつ構造的にも強いからだ。また、仮にチューブが衝撃などで破壊されても大気中の水素を吸収して燃料電池として発電を続行できるというメリットを発揮できる。

燃料電池から発する高温を利用して温度差で発電する

ところで、自動車にはアイドリングストップやフューエルカットなど燃費向上を目的とした機能があり、それらの機能が働いている時は排ガスも止まるため、燃料電池に燃料が供給されない状況になる。そこで、アイドリングストップやフューエルカットなどの機能が作用している時でも発電させるため、高温になった燃料電池の熱エネルギーを利用して熱電発電素子で温度差発電させる。
 そこでハイブリッド型燃料電池の表面には熱電変換素子を搭載している。燃料電池は発電によって1000℃前後の高温になる。そこで、その高温に耐えるような熱膨張率の低い材料を絶縁膜(シール)として燃料電池の一部に設け、その上に熱電変換素子(n型)を載せている。熱電変換素子はp型、n型の半導体を交互に配列するが、p型は空気極と同じ素材のBSCFを用い、n型にはカルシウム・マンガン・オキサイト(CaMnOx)を用いた。

ハイブリッド型燃料電池(左上・右上・左下)とそれを320本束ねたユニット(右下)

ハイブリッド型燃料電池(左上・右上・左下)とそれを320本束ねたユニット(右下)

燃料電池の出力密度は200mW/m2、1W/cm3を達成した。これにより構造・原理における技術は確立できたので、現在は製造技術の開発を始めている。費用対効果として1W=1000円を下回るコストであれば商用化が可能になる。それを2018年に実現できるよう開発に注力していく。最終的には1W=200円を目指し、汎用的な部品を実現させる。

掲載日:2014年1月30日

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