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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第54回 断熱・保温など熱エネルギーを多様に制御する断熱セラミック塗料 [日進産業]

中小の塗料メーカー・日進産業が開発した断熱・遮熱塗料「ガイナ」がじわり需要を伸ばしている。塗装するだけで夏季に40%強、冬季に27%強の電気代が低減できるという優れもの。内装に用いた場合の健康への好影響についても学術的な実証が進みつつある。

夏季・冬季の断熱・遮熱に大きな効果を発揮するセラミック塗料「ガイナ」

夏季・冬季の断熱・遮熱に大きな効果を発揮するセラミック塗料「ガイナ」

偶然からヒントを発見

1970年代後半依頼された工場の断熱施工で悩んでいた。その施工で断熱材を用いるには壁面と設備の間隔が狭すぎたからだ。来る日も来る日も考えた挙句、偶然にもヒントを発見した。デスクの上に散らばった広告紙のうち黒っぽいものだけ熱を帯び、白っぽいものはなんでもなかった。それを目の前にした石子達次郎社長は即座に白い塗料を思い浮かべた。これなら断熱材を用いずとも熱を遮ぎれる。このアイデアをもとに1993年に開発したのがガイナの前身のシスタコートだった。

断熱のみならず制音、空気質改善も

ガイナは、特殊なセラミックを含有した塗料だ。その特殊セラミックは20-50μmの球状の微粒子であり、形状と比重の異なる4種類が混合されている。ガイナは容積比率で60%が特殊セラミックであり、既存の塗料とは概念が大きく異なり、「特殊セラミックを液状化した技術」(石子社長)という。つまり着色された樹脂に透明の特殊セラミックが含有された塗料なのである。
 塗装されたガイナはわずか1mmの塗膜に特殊セラミックの多層構造を形成する。この複数種類の特殊セラミックとその積層構造が以下のようなさまざまな機能を発現する。
 (1)特殊セラミックは球状のプリズム効果により(太陽光の)遠赤外線を反射と屈折を繰り返し、屋内に侵入するエネルギー量を減少させる(下図の左)。また、セラミックには酸化系金属を配合してあり、それが赤外線を反射させる(下図の右)。これらの遮熱メカニズムにより夏季の太陽光を遮り、断熱効果を発揮する。

(2)特殊セラミックには周辺の温度に適応する性質があるため、冬季になると外装したガイナの表面温度と外気温とが適応して熱の均衡化が起き、それにより外装表面で熱の移動を最小限に抑えるので外部からの冷気の影響を遮る断熱・保温効果を発揮する。
 内装したガイアは同じ作用から室内の熱移動を最小限に抑えるので、冬季は保温効果、夏季は冷房効果をもたらす。

左の壁は一般塗料を施工した場合で、塗膜面における外気との温度差が大きいため放熱量も多い。一方、右の壁はガイナを施工した場合で、塗膜面における外気との温度差が小さいため放熱量は少ない

左の壁は一般塗料を施工した場合で、塗膜面における外気との温度差が大きいため放熱量も多い。一方、右の壁はガイナを施工した場合で、塗膜面における外気との温度差が小さいため放熱量は少ない

(3)特殊セラミックは空気で発泡させた中空状態でもあるため、音を多方向に反射させると同時に積層構造の中を通過する音(振動)を減衰させる作用がある。それにより遮音・防音の効果も発揮する。

制振試験における無塗布(左)、フタル酸塗布(中)、ガイナ塗布(右)の結果。ガイナは急速に振動を抑えていることがわかる

制振試験における無塗布(左)、フタル酸塗布(中)、ガイナ塗布(右)の結果。ガイナは急速に振動を抑えていることがわかる

(4)特殊セラミックは熱や光エネルギーによって遠赤外線を放出し、その遠赤外線が空気中の水分に作用してマイナスイオン化(マイナスに帯電)させる。そのマイナスイオン化した水分が、紫煙やほこり、花粉などの汚濁物質(プラスに帯電)と付着して室内に浮遊させにくくする。それによりにおいを抑えて空気質を改善する。

ガイナによりマイナスイオン化した空気中の水分が汚濁物質と付着する

ガイナによりマイナスイオン化した空気中の水分が汚濁物質と付着する

シスタコートの発売から14年が経過した2007年ごろ、JAXA(宇宙航空研究開発機構)がH2ロケットの先端に使用していた断熱塗料技術を民間移転する企業を募集した。日立製作所をはじめ多くの大手企業とともに名乗りを挙げる中、名もない中小企業の日進産業に白羽の矢が立ち、JAXAの宇宙技術との融合が始まった。

JAXAや産総研と提携

そしてJAXAとの提携によりシスタコートの技術や信頼性は飛躍的に向上し、それを機に商品名を「ガイナ」とした(出雲弁で「凄い!」の意味。石子社長が郷里の言葉から命名)。また、開発当初は特殊セラミックは1種類だったが、提携したJAXAのアドバイスから4種類に増やし、また形状を微粒子状にするなどの工夫により性能を高めた。

公的研究機関との提携はその後も続き、2013年9月に産業総合技術研究所との共同研究で、ガイナ独特の遠赤外線放射による断熱メカニズムに関する特許を出願した。また筑波大学とは、ガイナの輻射熱源から放射される特殊な赤外線波長が人体にどんな影響を及ぼすかの研究が進められ、代謝が促される効果がわかった。
 このような研究結果から、日進産業はガイナを外装はもとより内装壁面への需要も伸ばし、月間1万缶以上の出荷をさらに成長させていく方針だ。

掲載日:2014年1月23日

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