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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第52回 海の温水・冷水の温度差を利用する海洋温度差発電 [ゼネシス]

海洋温度差発電は、太陽の熱エネルギーで温められた表層海水と深層海水の温度差を利用して発電する。環境ベンチャーのゼネシスは、IHIプラント、横河電機と共同で沖縄県の委託事業として2013年6月に同県久米島で実証プラントを稼動させ、2年間の試験をスタートさせた。

海洋温度差発電の実証設備の構成(沖縄県提供)

海洋温度差発電の実証設備の構成(沖縄県提供)

熱交換器が性能向上の大きなポイント

実証プラントでの発電の仕組みは以下のようだ。
 海洋温度差発電のシステムは、作動流体ポンプ、赤色パネルの蒸発器、タービン発電機、青色パネルの凝縮器で構成される。まず、作動流体ポンプから低沸点媒体(代替フロン)を蒸発器に送る。蒸発器では、25~30℃の温かい表層海水をくみ上げ、代替フロンを加熱して蒸発させる。
 次にその蒸気をタービンに送ってタービン発電機を駆動させる。そして、発電に使われたあとの蒸気をタービンから凝縮器へ送り、5℃前後の深層水で冷却して液体に戻し、再び作動流体ポンプへ送ることで循環させる。凝縮器で用いる深層水は水深612mの深海からくみ上げている。

海洋温度差発電の仕組み(ゼネシス提供)

海洋温度差発電の仕組み(ゼネシス提供)

プラントの性能は、蒸発器と凝縮器に用いられる熱交換器がポイントになる。ゼネシスでは「XPシリーズ」と称する熱交換器を開発している。これは、独自の伝熱プレート形状や流路構造を持ち、伝熱プレート部は従来のようなガスケットを用いずに溶接してあるのが特徴だ。それにより、高い伝熱性能を実現し、圧力損失を低く抑えることができる。また、熱交換器の大きさをコンパクトにでき、メンテナンスも容易にできる。
 さらに今回の実証プラントの熱交換器では、神戸製鋼所の開発した最新のチタン合金製の板を採用し、蒸発性能を従来比で20%以上向上させている。

発電のほかに農漁業の冷熱にも海洋エネルギーを利用

海洋温度差発電の特徴には、(1)深層海水の温度は年間を通してほぼ一定であり、表層海水温も急激に変化しないため、安定した出力が得られ、発電量の予測が可能、(2)沖縄や南伊豆・小笠原地域などは表層海水は年間を通して高いため、設備利用率が60~90%高い、(3)深層水は発電に使用したあとも水質は変わらず、水温が約10℃と低温のため、空調や農漁業の冷熱利用など副次利用ができる、などがある。

そんな特徴の海洋温度差発電は、表層海水と深層水の温度差が年平均20℃以上の海域で可能とされ、日本では沖縄諸島、小笠原諸島、黒潮流域がそれに該当する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によれば、海岸から30km以内の発電量のポテンシャルは年間約470億kwhとされる。
 発電コストは海水をくみ上げる取水管の長さ、熱交換器の効率などに左右され、久米島の実証プラントの出力は小さいものの、海洋温度差発電の特徴の1つである深層水の副次利用として野菜の栽培やエビ・海藻の養殖など多岐にわたった複合利用でメリットを見出そうとしている。

掲載日:2013年12月19日

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