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エネルギー新時代


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第48回 低温の熱源で発電するバイナリー発電 [アネスト岩田]

スクロール圧縮機やスクロール真空ポンプなどの大手メーカーであるアネスト岩田は、小型バイナリー発電装置を開発、別府温泉などで実証試験を進めている。メンテナンス関連等の各種データをとったうえで2014年度には本格普及に乗り出す計画だ。

アネスト岩田の小型バイナリー発電装置(5.5Kwモデル)

アネスト岩田の小型バイナリー発電装置(5.5Kwモデル)

バイナリー発電とは

バイナリー発電とは低温の熱源を使って発電するシステムであり、火力発電や原子力発電のように高温の蒸気を使ってタービンを回転させるのではなく、温泉や工場廃熱などの低温の熱源を有効利用する。その場合、熱源を直接タービンに注入せず、沸点の低い媒体(代替フロン、アンモニアなど)を加熱・蒸発させることで生じる圧力を利用して膨張機を回転させて電気をつくる。その際に熱源と冷熱原の2つの熱源によって発電するため「Binary(2元の)」という言葉が使われている。

アネスト岩田が開発した小型バイナリー発電装置のランキンサイクルは、まず温泉などの熱源から得た温水を熱交換機に送り込み、大気圧下15℃で沸騰するHFC245faという不活性の代替フロンガスと熱交換する。当然、HFC245faは毒性、燃性がなく、電気事業法の規制緩和対象となる代替フロンガスである。

バイナリー発電の仕組み

バイナリー発電の仕組み

温泉の熱源の温度はさまざまだが、バイナリー発電装置では90℃前後の温度が最適だ。熱交換によって得た蒸気は、バイナリー発電の心臓部であるスクロール(渦巻き)膨張機に送り込まれ、ここで蒸気の膨張力を回転運動に変換し発電機を回転させる。
 また、膨張しきって役割を終えた蒸気はそのあと凝縮器に送られ、冷却することで液化され、再び蒸発器へと循環するというサイクルを繰り返す。

低騒音・低振動が特徴

上述のようにバイナリー発電装置の心臓部となる膨張機だが、ここに各社の特徴と持ち味がある。発電容量の大きい設備を得意とする神戸製鋼所がスクリュー機構、IHIがターボ機構を採用しているのに対し、オイルフリースクロールコンプレッサに長けるアネスト岩田は渦巻き形状のスクロール機構を採用している。

スクロール膨張機では、中心部に注入された圧縮ガス(1の薄い水色の部分)が、スクロールで構成されるポケット(空間)を外側に向かって徐々に膨張する

スクロール膨張機では、中心部に注入された圧縮ガス(1の薄い水色の部分)が、スクロールで構成されるポケット(空間)を外側に向かって徐々に膨張する

中心部に注入した圧縮ガスは、2つのスクロールで構成されるポケット(空間)において、外側に向けて徐々に膨張する。この膨張による回転力(回転数3000rpm)が、膨張機の軸に取り付けられた発電機に伝えられて発電する。
 スクロールコンプレッサは非常に静音性が高いことに特徴があり、身近なものとしてエアコンの室外機や冷蔵庫のポンプに採用されている。同社では最も得意とするスクロール技術をベースにスクロール膨張機を開発した。
 スクロール膨張機を活かした発電システムの開発構想は10年ほど前から進められ、最近になって再生可能エネルギーに対する社会的な関心が高まるなど時代・環境が変化し、発電所と同じ扱いとして位置づけられていた小型バイナリー発電装置が、2012年4月に実施された電気事業法の規制緩和によって格段に導入が容易になった。

来春の実用化へ向けて

同社が開発した小型バイナリー発電装置は、送電端最大出力が5.5kW。サイズは幅1.2m、奥行き1.4m、高さ1.55m、重量950kgと小型で、本体価格1000万円以下(工事費別)を設定している。
 発電した電気を全量42円/kWhで売電したとすると、年間200万円程度の売電収入が得られる見込みであり、また、従来必要であった湯冷ましのための加水コストが削減できるため、温泉の維持コストを削減できる可能性もある。現在、開発中の5.5kWモデルに加えて11kWモデルの開発も進めている。
 同社では、別府温泉で実証試験を進めると同時に、東北・北海道など熱源の豊富な温泉地への導入を本格化させ、さらに工場の廃熱などの未利用エネルギーの活用も検討していく。

掲載日:2013年11月14日

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