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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第46回 振動で電気をつくりだす振動力発電技術 [音力発電]

研究開発型ベンチャーの(株)音力発電は、振動力発電技術の開発を進め、人が歩くと発電する「発電床」「振り子型振動力発電機」「振力電池」などで実績を積み上げている。個々の発電量は少ないものの、人々の日常生活の中に無尽蔵に存在するエネルギーの有効利用技術として注目を集めている。

身近で使われる圧電効果

振動力発電は、圧電素子(圧電体)に物理的な力を与えることによって電圧を生じさせ電気を得る技術。これを圧電効果という。圧電効果が身近で利用されているものとして100円ライターやガスコンロの着火が知られる。ガスコンロは、バネで圧電素子を叩いて火花を生じさせている。

「発電床」は、足踏みにより瞬間的に発電する

「発電床」は、足踏みにより瞬間的に発電する

音力発電が開発した「発電床」は、数多くの圧電素子を組み込んだ発電ユニットを床状に敷きつめ、その上を人が歩くとその圧力で発電するというシステム。天然の圧電素子としては水晶が知られるが、同社は特殊なセラミックを使用しており、このセラミックは用途に合わせ複数の圧電素子メーカーと共同開発している。

人が歩く時の圧力で圧電素子に振動を与えて発電する

人が歩く時の圧力で圧電素子に振動を与えて発電する

圧電素子はセラミック、すなわち瀬戸物なので、体重のある人がむやみに飛び跳ねたりすると破損する懸念がある。このため、圧力素子に一定以上の力が及ばないよう特殊なストッパー構造を設け、人の想定外の行動にも十分耐え得るよう設計している。

この「発電床」の発電能力は、体重60㎏の人が歩行した場合の最大瞬間値で0.5W。オシロスコープで1歩の発電量をとらえると、足を踏み込んで体重を前方にかけたときと、体重を後方のかかとに移動させたときの2度、大きな波を描く。これが最大瞬間値だ。
 ただし、1秒間に2歩のペースで足踏みする運動を30秒間繰り返したときの平均値をとってみると、その発電量はわずか2mW秒にすぎない。速水浩平社長は語る。

「このわずかな発電量では、一般的な蛍光管が要する電力20Wにさえもはるかに及びません。これまでなら、そんな微量の電力など無意味だといわれていました。でも、効率のよい回路を工夫するとか、LEDの点灯なんかに使うと、その価値がぐんと広がるのです。LEDなら2mW秒でも300球くらい点灯させることができます」

例えば、LEDで歩道や階段などの輪郭を示す。ふだん消灯しているオフィスや工場などの廊下などにこれを使うと、歩行時の危険度を大幅に下げることができる。既存の配電設備と結ばれていないので停電時も発光し、緊急時に非常口を示す誘導灯(矢印)としても有効に機能すると期待される。
 すでに神奈川県藤沢市の市役所庁舎出入り口や新江ノ島水族館「相模の海ゾーン」(命のモニュメント)のイルミネーションなどに導入されている。

機械設備やリモンコンでも応用できる

次の「振り子型振動力発電機」は、振り子の重りが上向きについた形状。サイズは鉛筆くらいのものから1mくらいのものまで各種ある。例えば鉛筆サイズのものは、定常的に振動している工場の機械設備などに設置する。機械設備の温度や湿度などをセンサーで検知し、そのデータを無線で送信する機器だが、それを作動させる電気を機械設備の振動エネルギーから得るという仕組みだ。
 配線や電池交換の必要がなく、人の手がとどきにくかったようなところにも常時設置することができる。

もうひとつの「振力電池」は、いわば電池レスリモコン。指でボタンを押して発電する。TVなどのリモコンや飲食店のコールボタンなどの用途がある。
 注文時などに店員を呼ぶ飲食店のコールボタンは通常2個の乾電池を使用しており、1年ごとに交換している。乾電池はたいてい3年はもつが、早めに切れる場合を想定して交換頻度を早めている。これを「振力電池」にすれば、電池の無駄が省けるうえ、交換コストも削減できる。現在、ファミリーレストランなどで実験使用されている。

「振力電池」は電池レスのリモコン。指でボタンを押すだけで発電してリモコンの機能を果たす

「振力電池」は電池レスのリモコン。指でボタンを押すだけで発電してリモコンの機能を果たす

この「振力発電」の新しい用途として、最近、オフィスビルや商業ビル、空港などの屋内用無線スイッチとしても脚光を浴び始めた。これを導入すれば、壁や天井裏などの配線が不要になり、電気工事費用が大幅に抑えられるとの試算もある。「5年あるいは10年後には、かなり普及しているはず」と速水社長は期待を膨らませている。

世の中のあらゆるところに眠り、あるいは棄てられているエネルギーの有効利用に挑戦する音力発電。社名のとおり音から研究開発が始まり、やがて振動へと重点がシフト。現在では温度差発電、小型水力発電、太陽光発電、小型風力発電などへも領域を拡大して数多くの特許も取得、エネルギー・ハーベスティング(環境発電)を志向する企業への飛躍を狙っている。

掲載日:2013年10月24日

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