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エネルギー新時代


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第45回 蝶の羽のような形状の小型風車 [鳥取大学]

蝶の羽のような形状の翼で回転する小型風車がある。鳥取大学大学院の原豊准教授が考案した「バタフライ風車」だ。この独特の形状をした風車は、従来の垂直軸風車の欠点を改善する目的から発明された。

垂直軸風車の短所を克服するため

よく目にする垂直軸風車は、直線状の翼を回転軸の周囲に配置した構造をしている。その長所は、どんな風向きにも対応でき、構造がシンプルなため低コストが可能なことだ。一方、短所は起動しにくいことであり、その対策として(1)翼弦長(翼の断面の長さ)を増す、(2)翼数を増やす、(3)抗力タイプの風車を起動機として組み合わせる、などが取られてきた。

従来の垂直軸風車は直線状の翼を回転軸にアームで設置している

従来の垂直軸風車は直線状の翼を回転軸にアームで設置している

しかし、翼弦長や翼数を増やすと風車投影面積に占める翼の面積が増えるために風車内を通過する風量が減ってしまい、そのため風車に流入する風のエネルギーと効率が低下してしまう。また、従来の垂直軸風車は、回転軸と直線翼を結合する水平アームや翼の端部が空気抵抗となる。さらに、風車ロータの重心と発電機との高さ方向の距離が長くなるため振動が発生しやすくなる。
 以上のような短所を解決するため、原准教授が2011年に考案したのが低重心の垂直軸風車「オウバル風車」だ。風車ロータの重心を低くし、起動性を改善し、抗力要素(アームや中央の主軸)を除くことによって性能の向上とコストダウンを図った。

低重心風車の「オウバル風車」

低重心風車の「オウバル風車」

ただ、それでもまだ(1)ロータ重心と発電機間の距離が、ロータ高さの1/4程残ってしまう、(2)ロータの最大直径を同一として従来型と比較した場合に出力が劣ってしまう、という課題が残った。
 そこでその解決策として原准教授が2012年に開発したのが「バタフライ風車」だった。バタフライ風車は翼をループ状に閉じた形状(1つの翼で二重翼構造)にすることで以下のような長所を可能にした。

  1. 二重翼構造のため起動性が向上
  2. アームレスのためコストダウン、性能向上(空気抵抗を減少)
  3. 翼端がないため騒音を抑制し、性能向上(渦放出を減少)
  4. ロータ重心位置に発電機を設置できるため振動抑制になる

実際、模型試験で直径0.4m、高さ0.3m、翼弦長0.11-0.18m(最大半径の位置から翼の根元に向かってテーパがついている)のバタフライ翼を3枚設置した風車により、低風速(実験風速2-6m/s)で高い起動性を確認できた。
 また、風速6m/sの時、回転数200rpmでトルク0.055Nm、出力1.0Wを得た。

3枚翼の「バタフライ風車」。従来の垂直軸風車に比べて起動性が向上した

3枚翼の「バタフライ風車」。従来の垂直軸風車に比べて起動性が向上した

起動性を向上させた「オウバル風車」(左側)と「バタフライ風車」(右側)

アルミ押出でバタフライ翼を成形

一方、バタフライ風車の短所として、翼形状が複雑なため複合材料でないと製造が困難であり、そのために製造コストが高くなる可能性がある。そこで2013年、科学技術振興機構の研究成果展開事業「研究成果最適展開支援プログラムA-STEP」の採択を得て、アルミ製品メーカーの日軽金アクトと大手総合電機メーカーのシンフォニアテクノロジーの協力のもと、アルミ合金の押出成形による「アルミ円形翼バタフライ風車」を開発し、性能試験を行った。

押出成形したアルミ合金製の翼を持つ「アルミ円形翼バタフライ風車」

押出成形したアルミ合金製の翼を持つ「アルミ円形翼バタフライ風車」

力強く回転する「アルミ円形翼バタフライ風車」の試作機

この試作機では、翼を円形というシンプルな形状にすることで、アルミ押出による中空翼の成形を可能にした。また、円形翼を回転軸(垂直)の周囲に配置し、アームなどの抵抗要素と部品点数を極力少なくしたシンプルな構造にした。
 ロータ最大直径2mの翼を4枚設置した試作機では、13.3m/sの風速で約200Wの出力を確認した。また、起動性も約3m/sの低風速から回転を始めることを確認した。今後は風速11m/sで300Wの出力を目指し、従来製品に比してコストダウンできることを目標としている。

掲載日:2013年10月 3日

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