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エネルギー新時代


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第39回 「フラッタ現象」を応用した日本初の水力発電機 [福岡工業大学]

福岡工業大学の阿比留久徳教授は2008年、翼状の板を振動させて発電する「フラッタ方式マイクロ水力発電システム」を開発し、2011年から実証試験を始め、2012年には福岡県うきは市の農業用水路で試験を繰り返すことで実用化へ向けての改良を重ねている。

この水力発電システムは、「フラッタ現象」を応用した日本初の水力発電機になる。フラッタ現象とは、飛行機や橋などにおいて風や気流のエネルギーを受けて生じる「ねじれを伴った振動現象」をいう。こうした現象が長時間生じる、もしくは振動幅が大きくなると構造物(飛行機の胴体や翼、橋梁)には疲労が蓄積され、やがて破壊されてしまう。構造物にとってはいわば負の現象であり、設計者にとっても悩みのタネの1つなのだが、阿比留教授はそれを逆手にとって水力発電システムを開発した。

「フラッタ方式マイクロ水力発電システム」。青色の翼のような板に水流により生じるフラッタ現象を利用して発電する

「フラッタ方式マイクロ水力発電システム」。青色の翼のような板に水流により生じるフラッタ現象を利用して発電する

水中翼が魚の尾ひれのように動く

 同システムの核をなす翼状板は、下の図のように飛行機の翼のように丸みを帯びた形状をしている。この翼状板の端面を水流に対して垂直な向きに静止させて水浸させ、モータによって翼状板にピッチング振動を与えると(ちょうど魚が泳ぐときに尾ひれを左右に振るのと同じ動きになる)、板ばねで支えられている翼状板は水平方向に振動する。この水平振動がボールねじを介して(回転運動に換えて)モータを回転させて発電する。

フラッタ方式マイクロ水力発電システムの構造

フラッタ方式マイクロ水力発電システムの構造

システムの改良で発電能力は1kwにアップ

以上がフラッタ方式マイクロ水力発電システムの発電の仕組みだが、図のようなタテ30cm、ヨコ10cm、厚み15mmの翼状板を用いた小型の原理検証実験において、ピッチング振動数は一定にしてピッチング振幅を50°、水の流速を1.0m/sで発電させると3.5Wの発電量、同様の条件で流速を1.2m/sに上げると6.4Wの発電量が得られた。また、発電効率は、ピッチング振動数が一定であれば流速1.0m/s近辺で最大値32%(ピッチング振幅50°)を得た。  なお、既述のように翼状板にピッチング振動を与えるためにモータ駆動のための電力が必要だが、その割合は発電量の5%(流速1m/s)と小さく、流速が1 m/sより大きくなるとその割合は1%以下に低下する。

現在のシステム(長さ1.2m、幅2m、高さ1.6m)は、タテ60cm、ヨコ40cm、厚み60mm の2枚の翼状板を組み込み、それらの翼状板の動き(水平振動)をクランク機構で回転運動に変えて発電モータを回転させる。また,翼状板のピッチング振動も水流によって自動的に生じさせるようにして,ピッチング振動を与えるためのモータを省いている。発電能力は1kwだ。このシステムでは駆動部の構造を簡素化することで総重量を従来の1/2以下(300kg)に軽量化した。また、翼状板の制御部の耐久性も高めている。

翼状板を2枚組み込み、クランク機構で直線運動を回転運動に転換して発電機を回す改良型のフラッタ方式マイクロ水力発電システム

翼状板を2枚組み込み、クランク機構で直線運動を回転運動に転換して発電機を回す改良型のフラッタ方式マイクロ水力発電システム

「フラッタ方式マイクロ水力発電システムの大きな特徴は、水路に落差がなくても発電できることです。0.5m/s以上の流速があれば稼動します」(阿比留教授)  実証試験で用いたような農業用水路のようにゆるやかな水流でも発電できる。ビニールハウスなど農業関連施設や外灯などのオンデマンドの需要に応えられる。また、ごみなどの付着に対するメンテナンスも容易だ。今後は実用化に向けて共同開発する企業を募っていく。

掲載日:2013年6月26日

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