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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第36回 蓄電池で走行する電車 [JR東日本]

JR東日本は、非電化区間の環境負荷を低減する狙いで「蓄電池駆動電車システム」の開発を進めており、2014年春をメドに烏山線に同システムの車両を導入する計画だ。ディーゼルエンジンで走行する気動車に替わる次世代車両として期待が高まっている。

架線のない区間を畜電池で駆動する「蓄電池駆動電車システム」

架線のない区間を畜電池で駆動する「蓄電池駆動電車システム」

ディーゼルハイブリッドから蓄電池駆動車両へ

同社環境技術研究所の主幹研究員(車両システムグループリーダー)の薗田秀樹さんは、この開発の狙いについてこう語る。

「軽油を燃料として走る気動車は、CO2の排出量が大きく、排ガスが出るなど環境に対する負荷が大きい。エンジンの騒音も大きく、環境的にはどうしても電車に劣る。そこをなんとかしよう、というのが開発のキッカケでした」

蓄電池駆動電車システムに先立つ新型車両として、同社がまず開発したのはディーゼルハイブリッド車両(キハE200系)だった。この車両の開発は2003年に着手して2007年に実用化に成功、まず小海線で営業運転を開始し、続いてリゾート用車両を開発し五能線などにも導入した。

このディーゼルハイブリッド車両は、エネルギー源として文字どおりディーゼルエンジンによる発電機と蓄電池を複合的に組み合わせたシステム。この開発によって、約10%の省エネ効果とCO2排出量の削減を実証した。これは、回生ブレーキによるエネルギーを蓄電池に充電して走行や空調、照明などに利用できることや、エンジンを効率よく使用することができるためである。しかし、走行の主力エネルギー源が、ディーゼルエンジンによる発電であることには変わりない。CO2排出量は減少してもゼロにはならない。また、エンジン自体のメンテナンスからも解放されない。

そこで同社は、このテーマを進化させるための次なるステップとして、ハイブリッド車両の開発で得た知見を活かし、2008年から新型車両・蓄電池駆動電車システムの開発に乗り出した。ディーゼルエンジンに代わって、架線のない区間は蓄電池のエネルギーだけで走行させる次世代型車両の開発だ。

搭載する蓄電池はリチウムイオン電池で、これはディーゼルハイブリッドも蓄電池駆動電車システムも基本的には同じ。ただ、蓄電容量に格段の差がある。蓄電池の電圧はハイブリッド車両、蓄電池駆動電車システムともに直流600V程度だが、その蓄電能力(1両あたり)はハイブリッド車両が15.2kWhなのに対して、試験車両で72kWh、2014年春に烏山線で営業運転を開始する実用車両では95kWhとする。さらに、営業運転用の車両には2両編成のため蓄電池を搭載することで合計190kWhの蓄電能力としている。

CO2削減などさまざまなメリットが期待される

烏山線で運行する蓄電池駆動電車システムの車両は宇都宮駅-烏山駅間を走行する。宇都宮駅から宝積寺駅までは東北本線を走行するので、この区間は架線があるため車両もパンタグラフをあげて通常の電車として走る。その先の宝積寺駅から烏山駅まで(中間7駅)が気動車区間で距離は約20㎞。蓄電池駆動車はこの20㎞区間を走行するとき気動車に代わって蓄電エネルギーを動力源として走行する。

薗田さんは具体的にこう説明する。

「宝積寺駅から烏山駅に向かうときは下り勾配です。このときに蓄電池の約3割の電力を消費するのですが、そのぶんは烏山駅で充電します。逆に、烏山駅から宝積寺駅に向かうときは登りになるので約4割の電力を消費します。この間に消費した電力は、宝積寺駅から宇都宮駅への電車区間で充電しながら走行します」

当然ながら烏山駅には充電設備を敷設する。東京電力の配電線から交流6600Vの電力を受電し、それを同社の変電装置によって直流1500Vに降圧・整流し、剛体架線を通じて車両に供給する。その充電時間はわずか10分程度と短い。

宇都宮駅-宝積寺駅間で架線からパンタグラフを通じて受電する場合が直流1500Vなので、烏山駅の変電設備もそれに対応させる。1500Vで受電した電力は、前述のようにDC/DCコンバーターで600Vに電圧変換したうえで蓄電池に送り込む。

蓄電池電車システムの概要

蓄電池電車システムの概要

2014年春、烏山線に先行投入した場合のCO2削減効果は、対気動車比で約6割と試算している。

掲載日:2013年4月18日

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