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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第34回 廃熱を利用して幅広い温度領域で熱電するモジュール [TESニューエナジー]

熱発電とは、導電材料の両端に温度差をつくることで発生する電圧を利用する温度差発電をいう。産業技術総合研究所の技術移転によるベンチャー企業のTESニューエナジー(大阪府池田市)は、最大900℃から200℃以下の広い温度領域で発電する熱発電技術およびその製品を開発・販売している。

同社の熱発電材料は3つに大別される。高温域用(500-900℃)の酸化物、中温域用(200-500℃)のシリサイド、低温域用(200℃以下)のビスマス・テルルだ。酸化物は産総研が発見した新しい材料(p型=カルシウム・コバルト酸化物、n型=カルシウム・マンガン酸化物)を商用化したもの、また中温、低温域の材料は産総研と同社が共同開発したものだ。そして、これら熱発電材料を適切に組み合わせるカスケードモジュールを開発したことで、高温から低温までの広い温度領域での発電を可能にした。

工業炉などの廃熱を利用した発電

同社がカスケードモジュールを用いた製品には、廃熱利用向けと緊急電源向けの2種類がある。
 廃熱利用向けには、ごみ焼却炉や工業炉など高温の廃熱を利用して発電する4種類のユニット(ACP、ACPO、CP、CPO)を開発した。
 ACP(ACPO)ユニットは、集熱フィンと水冷槽(14cm角)の間に4つのカスケードモジュールが組み込まれた構造。一方、CP (CPO)ユニットは、4つの側面にカスケードモジュールが搭載された熱回収フィン(ハニカム状の金属ブロック)と冷却槽からなる構造だ。いずれのユニットも複数のユニットをタテ、ヨコにつなげることで大面積にも対応できる。
 ACP(ACPO)ユニットの場合、集熱フィンで排煙中の熱を回収するため、ACPOではフィンの素材に鋳鉄(600℃以上に対応するため)またはステンレス、ACPではアルミ(600℃以下に対応するため)を用いた。ちなみに、CPユニットの熱回収フィンの対応温度は200-500℃、CPOユニットのそれは500-800℃だ。

ACP(ACPO)ユニット(左)とCP(CPO)ユニット。ACP(ACPO)ユニットの三角形状が集熱フィン。CP(CPO)ユニットの蜂の巣状が熱回収フィンACP(ACPO)ユニット(左)とCP(CPO)ユニット。ACP(ACPO)ユニットの三角形状が集熱フィン。CP(CPO)ユニットの蜂の巣状が熱回収フィン

ACP(ACPO)ユニット(左)とCP(CPO)ユニット。ACP(ACPO)ユニットの三角形状が集熱フィン。CP(CPO)ユニットの蜂の巣状が熱回収フィン

発電の仕組みはACP(ACPO)ユニット、CP(CPO)ユニットとも、フィン(集熱、熱回収)で得た高温と水冷槽の低温によりカスケードモジュール内に温度差をつくり発電する。カスケードモジュールについては、必要な電力量、廃熱の温度など設置場所の要件に応じて最適設計したものを施工する。

たき火の熱で発電する

一方、緊急電源向けとしては、たき火などを熱源にして発電する「ファイヤーパワー」と「発電鍋」の2種類を商品化している。
 ファイヤーパワーは、熱発電ユニットとポンプ・ホース、蓄電システム(DC/ACコンバータ、蓄電池ほか)などからなり、たき火で熱発電ユニットを熱すれば(冷却は河川の水などを利用)発電する。最大出力40Wと160Wの2種類の商品がある。
 また、発電鍋は鍋底にカスケードモジュールが組み込まれてある。鍋に水を入れて約550℃に加熱すると、水が沸騰(100℃)する際の潜熱沸騰で冷却しながら450℃の温度差を生み出して発電する。発電した電力は、電圧調整回路を経てUSB出力で携帯電話やスマートフォンなどに充電する。出力電圧は12Vと5V、最大出力は7~30Wで4種類の発電鍋が商品化され、緊急電源のもならず、アウトドアや系統電源の整備されていない発展途上国での日用電源としても利用されている。

発電鍋はたき火で発電して携帯電話やスマホを充電できる(写真の製品は電圧:DC5V、最大出力:7Wの仕様)

発電鍋はたき火で発電して携帯電話やスマホを充電できる(写真の製品は電圧:DC5V、最大出力:7Wの仕様)

従来から熱発電の材料開発には、高い変換効率と高耐久性(酸化劣化などへの耐性)、安全性(有毒元素や希少元素を含まない)、安価なことが求められる。同社の熱電発電材料の変換効率は5-7%であり、耐久性、安全性もクリアしているが、売価は太陽電池の2-3倍であり、「量産による低コスト化・低価格化が今後の目標の1つ」(代表取締役CEO・藤田和博さん)という。さらに、変換効率も10%以上をターゲットに改良を続けている。

<関連リンク>

掲載日:2013年4月 4日

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