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エネルギー新時代


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第30回 太陽発電する透明な紙 [大阪大学産業科学研究所]

太陽光発電する紙がある。このユニークなアイデアを2012年10月に発表したのが大阪大学産業科学研究所の能木雅也准教授、辛川誠助教らのグループだ。

太陽光発電する透明紙

太陽光発電する透明紙

「プリンテッド・エレクトロニクスの低温化をめざして研究していますが、その1つの成果として開発したのが太陽光発電する紙です」(能木さん)
 太陽光発電する紙は図のように、セルロースナノファイバーからなる透明紙の上に銀ナノワイヤ透明導電膜と有機太陽電池素子(P3HT:PCBM)を搭載した構造になっている。

太陽光発電する紙の構造

太陽光発電する紙の構造

太陽発電する紙の構造

太陽光発電する紙の構成要素について説明する。
 まず紙だが、原料である木材パルプ繊維を機械的にダウンサイズして幅15nmのセルロースナノファイバーにして抄紙した。通常、紙は、幅10-5μmのセルロース繊維が絡みあった状態であり、その繊維同士の空隙と紙層の凹凸により光が散乱するため白色に見える。ところが、この繊維を細くして紙に抄く際に繊維同士の空隙をなくし、かつ紙層の凹凸を小さくすることで光散乱を抑えて透明な紙にした。

その透明紙の上に銀ナノワイヤ透明導電膜を塗布する。従来、銀ナノワイヤ透明導電膜の塗布には熱処理が必要だった。というのも、銀ナノワイヤの表面に被覆されるポリマーを溶解するために約200℃で加熱処理しなければならなかった。が、今回は銀ナノワイヤを塗布したあと常温でプレスすることで加熱処理を不要とし、銀ナノワイヤ透明導電膜塗布の工程を含めたすべてのプロセスの室温化(非加熱)を可能とした。
 銀ナノワイヤ透明導電膜が透明な理由は、銀ナノワイヤの直径が50-100nmと極細だからだ。ちょうど線径の細い網で編まれた網戸の透明度が高くなるように、銀ナノワイヤも極細なために透明度が上がり透明導電膜となるわけだ。

セルロースナノファイバーによる紙は透明なので太陽光を透過し、銀ナノワイヤも極細なので太陽光を透過するため、基板に入射された太陽光はロスなく有機太陽電池素子に達して光電変換される。その光電変換率は3%と紙ベースの有機太陽電池としては世界最高値であり、同じ有機太陽電池素子をITO(酸化インジウムスズ)ガラスに搭載した場合と同じ変換効率だ。

プリンテッド・エレクトロニクスへの展開をめざす

従来のガラス基板、ITO透明導電膜はいずれも折りたためば割れてしまうが、今回の透明紙、銀ナノワイヤ透明導電膜はナノネットワーク構造のため折っても割れない。そのため折りたたんで持ち歩け、モバイル性にすぐれている。
 「太陽光発電紙はあくまでもわれわれの研究成果の1つであり、現在はプリンテッド・エレクトロニクスの基板の1つとして透明紙の応用を進めています」(能木さん)

プリンテッド・エレクトロニクスがもたらす技術の可能性

プリンテッド・エレクトロニクスがもたらす技術の可能性

プリンテッド・エレクトロニクスは、印刷技術を活用して電子回路/センサー/素子などを製造することであり、化学物質やエネルギーの使用量を削減できる環境にやさしい製造プロセスとして期待されている。印刷技術で作製される電子機器は柔軟性をもつため、かばんに入れて持ち運ぶなど携帯性にも優れる。その用途は電子書籍用端末をはじめ太陽電池、有機EL照明、電子広告用ポスター、ヘルスケアセンサなど多岐にわたる。

能木さんらのグループもセルロースナノファイバーシートへ導電性材料を印刷し、電子回路やアンテナ配線を作成する技術を開発している。そしてこれらの技術が完成すれば、太陽光で発電した電気を用いて情報を送受信する「ペーパースマートフォン」も実現できるという。

掲載日:2013年2月28日

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