本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > エネルギー新時代

エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第29回 鶏ふんを有効利用したバイオマス発電 [みやざきバイオマスリサイクル]

2005年5月、鶏ふんを燃料とした発電所「みやざきバイオマスリサイクル」(宮崎県川南町)が稼働を始めた。国内でも有数の鶏ふんによる大規模なバイオマス発電所だ。
 みやざきバイオマスリサイクルは、宮崎県川南町の養鶏農家(3組合・法人)、ブロイラー企業(4社)、西日本環境エネルギーの共同出資で2003年5月に設立された。その目的は、県内の環境負荷の低減と畜産業の安定的成長およびバイオマスエネルギーの有効利用だった。同社の代表取締役であり、発電設備の運転・保守・技術支援を担う西日本環境エネルギーの代表取締役社長でもある松尾武さんは設立の経緯を語る。
 「『家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律』の施行により、2004年11月からは畜産農家に対して家畜排せつ物の適正処理が義務づけられました。それにより家畜の排せつ物を農地に野積みにするなど不適切な処理が禁止されたのです」
 それにより養鶏農家、ブロイラー企業にとって鶏ふんの新たな処理方法が必要になった。
 一方、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」の施行により、電力会社などの電力小売事業者に対しても再生可能エネルギー発電量が割り当てられ、新エネルギーによる発電か、他の新エネルギー発電事業者から電子証書の形で購入するとこが義務づけられた。
 こうした鶏ふん関係者、電力小売事業者をめぐる社会情勢の変化により、養鶏農家、ブロイラー企業、そして西日本環境エネルギーの3者が共同でバイオマス発電に踏み出し、2003年にみやざきバイオマスリサイクルを設立し、2005年からの発電所稼動に至った。

みやざきバイオマスリサイクルの発電設備(中央の建物)

みやざきバイオマスリサイクルの発電設備(中央の建物)

成功の秘訣は燃料確保のシステム構築

現在、国内では年間に6億羽超のブロイラーが生産され(農林水産省の平成23年食鳥流通統計調査では生産量6億1,717羽)、宮崎県は国内2位の生産量(1億1,412万羽)を誇る。
 ブロイラーは平均50-55日間で飼育・出荷され、その期間で6kgの飼料に対して約2-3kgのふんが排泄される。例えば1万羽のブロイラーを養鶏すると1回(50-55日の飼育期間)に20トンのふんが排泄される。宮崎県内でも年間に約25万トンの鶏ふんが排出される。
 川南町の養鶏農家から排出される鶏ふんはブロイラー会社(4社)によって収集され、みやざきバイオマスリサイクルに搬入される。
 鶏ふんは水分含有率が43%程度、平均発熱量も約2000kcal/kgとバイオマス発電の燃料に適している。
 みやざきバイオマスリサイクルでは、鶏ふんをボイラーで燃焼させ、その際に得られる蒸気でタービンを回転させて発電する。そして発電した電力は九州電力に送電(売電)し、鶏ふんの焼却灰は肥料・原料として再利用する。

鶏ふんを燃料とするバイオマス発電(みやざきバイオマスリサイクル)の仕組み

鶏ふんを燃料とするバイオマス発電(みやざきバイオマスリサイクル)の仕組み

「みやざきバイオマスリサイクルの場合、養鶏農家からブロイラー会社を経由して安定的に発電燃料である鶏ふんを得られるシステムを構築できたことが成功の1つのカギでした」(松尾さん)
 鶏ふんの新たな処理方法を得た養鶏農家とブロイラー会社、また発電燃料を安定的かつ大量に確保できるバイマス発電所(みやざきバイオマスリサイクル)と3者がメリットを見出すシステム構築が発電事業を成功に導く大きな要因だった。
 また、みやざきバイオマスリサイクルには以下の4つのメリットもある。

1.減容化と資源循環
 鶏ふんを焼却処理することで容積は1/10程度となり、大幅な減容化が図れる。焼却により発生する焼却灰は、肥料要素であるリン、カリウムが濃縮された肥料資源としての資源循環が可能となり、鶏ふん焼却による「循環型エコシステム」の構築を図れる。

2.CO2の発生の削減
 カーボンニュートラルである鶏ふんを燃料として発電を行い電力会社へ売電をしているため、電力会社ではみやざきバイオマスリサイクルより購入した電力量相当の化石燃料(石炭等)の使用量が削減され、化石燃料の温存と地球温暖化の原因であるCO2の発生の削減が可能となる。ちなみに、みやざきバイオマスリサイクルにおける、CO2排出抑制量は年間6万トン。

3.悪臭や地下水汚染などの環境負荷軽減
 野積みなどの不適正な鶏ふん処理を行うと、悪臭や地下水汚染などの環境問題が発生するが、鶏ふんを焼却することで地域環境負荷の軽減が図れる。

4.設備投資軽減による養鶏業の安定操業
 養鶏農家による個別の鶏ふん処理設備への投資負担、および鶏ふん処理への労力が軽減され、ブロイラー生産に集中できる環境が確立できることから、養鶏業の安定操業につながる。

世界へ広がるバイマス発電(鶏ふん発電)

みやざきバイオマスリサイクルは、稼働開始から3年後の2008年に単年度黒字を達成し、2011年には累積赤字も一掃した。現在、鶏ふんの焼却量は年間で13万2000トン、発電出力は11,350kW。設備の平均稼働率は約90%、発電の売上は7億円になる(2011年度)。今後は設備の安定操業を図るため、2号機を設けるかもう1つ設備を増設するかを検討している。
 さらに、発電設備を運転・保守・技術支援する西日本環境エネルギーは、2014年にインド(タミナルド州ナマカル地区)でも鶏ふん発電所を稼動させる予定だ。日本のバイマス発電(鶏ふん発電)が世界へ広がる第一歩となるようだ。

掲載日:2013年2月21日

前の記事次の記事


このページの先頭へ