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エネルギー新時代


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第24回 「室内を明るくする」、従来の常識を覆したブラインド [あかりカンパニー]

ブライドは窓から差し込む太陽の光を遮るもの。その常識を覆したブラインドがある。岡山県のインテリア会社の株式会社あかりカンパニー(岡山市)が開発した採光ブラインド「アカリナ」だ。
 アカリナは閉めた状態で太陽光を室内に取り入れて明るくする、いわば逆転の発想のブラインドといえる。

採光ブラインド「アカリナ」は、太陽光を室内に取り入れて明るくする機能をもつ。上が設置前、下が設置後

採光ブラインド「アカリナ」は、太陽光を室内に取り入れて明るくする機能をもつ。上が設置前、下が設置後

採光ブラインド「アカリナ」は、太陽光を室内に取り入れて明るくする機能をもつ。上が設置前、下が設置後

液晶部品にヒントを得た

内装・インテリアの工事を生業としていたわたなべ内装舎(あかりカンパニーの前身)の渡辺勝利社長は仕事柄多くの企業を訪問するが、いずれのオフィス内も昼間は窓際のブラインドを下げて太陽光を遮り、同時に室内の照明を灯している。その光景を目にするたびに、昼間の照明ほどムダな電力消費はないと感じていた。
 「しかし、それまでのブラインドは太陽光を遮る機能だけで、差し込む光を上手に制御できても、それをあかるさに変換する機能がなかったのだから仕方がありません」
 太陽光や風を室内に取り入れるために建築基準法で窓の設置が義務付けられている。が、実際には窓にブラインドが掛けられ、太陽光を遮っている場合が多い。ブラインドとは窓から差し込む太陽光を遮るもの。むしろそれが世間の常識だった。
 しかし、それが常識でいいのだろうか。採光のためにある窓をブラインドで遮るという矛盾を覆してもいいのではないか。遮光ではなく太陽の光をうまく取り入れることで、室内の照度を上げるブラインドがあってもいい。それによって昼間のムダな照明を削減できれば、節電=省エネになり、ひいては環境や社会にも貢献できる。渡辺さんはそうひらめいた。そしてそれを具体化するヒントにめぐりあった。それは液晶部品を加工する会社の社長との出会いだった。
 「液晶画面のバックライトを均一な面光源とするために光拡散フィルムが用いられるという話を聞き、これをブラインドに応用できないかと考えました」
 ブラインドに光拡散機能を持たせれば、室内に差し込む太陽光の照度と角度を制御・変換できる。外部からの視線を遮るというブラインド本来の役目をはたしながら、遮光ではなく採光という機能を付与すれば、室内を明るくするブラインドにできる。

光を拡散させる秘密

さっそく2007年に試作に取り組み、2年後の2009年に採光ブラインド「アカリナ」を開発した。アカリナは、ブラインドを閉めた状態で太陽光を室内に導き入れ、かつ目にまぶしくない柔らかな光に変換することで室内を明るくする。太陽光を照明の代替にできる機能が特徴だ。その機能を発現するポイントがスラット(羽根)にある。
 アカリナのスラット(羽根)は、厚さ250μmの樹脂の両面に特殊加工が施されている。スラットは中央に山型の折り目がつけられてあり、この形状によって太陽の直線光を拡散光に変換する。そして拡散された光は室内の多方向に広がり、かつ部屋の奥まで光を届ける。実際の照度試験でも、窓から太陽光を入射した場合に比べてアカリナを経て採光すると部屋の奥(採光窓から奥行7mの壁で上下左右の四隅で測定)でも2倍のあかるさ(最大照度930ルクス)を実現した。

アカリナのスラット(羽根)は、特殊な樹脂と形状により太陽の直線光を拡散光に変換し、室内を明るくする

アカリナのスラット(羽根)は、特殊な樹脂と形状により太陽の直線光を拡散光に変換し、室内を明るくする

また、アカリナは採光という機能から可視光の透過率が87%と高いが、逆に紫外線と赤外線は遮る(紫外線97%、赤外線90%の遮蔽率)ので遮熱効果もある。さらに、スラット自体も熱伝導率が低いため蓄熱しにくい。そのためアカリナは閉じた状態でも可視光を透過・拡散させて室内を明るくし、一方で紫外線・赤外線を遮蔽するので日焼けや室内温度の上昇を防げる。

紫外線、赤外線を大幅カット

2009年にアカリナは2種類が開発されている。1つは既述したアカリナ(商品名はアカリナ「ミルキー」)であり、もう1つがアカリナ「きなり」だ。
 「きなりには光拡散の素材としてこうぞう100%の和紙を用いています」(渡辺さん)
 もともと和紙の繊維には光拡散機能があり、そのため日本古来の建具である障子は室内をあかるくする目的にも用いられた。その機能を応用し、日本建築にもマッチするデザインのアカリナとしてきなりを開発した。
 きなりも基材は厚さ250μmの樹脂だが、両面に厚さ0.03mmの因州和紙を張り合わせてある。紫外線、赤外線の遮蔽率はそれぞれ80%(紫外線)、100%(赤外線)と高く、さらに和紙には特有の自浄効果もある。

アカリナシリーズのスラットは中央に折り目が付けられている(上がミルキー、下がきなり)
アカリナシリーズのスラットは中央に折り目が付けられている(上がミルキー、下がきなり)

アカリナシリーズのスラットは中央に折り目が付けられている(上がミルキー、下がきなり)

2011年には紫外線を100%遮蔽するシリーズ商品として「UV」を発売した。UVのスラットは、難燃樹脂(厚さ250μm)の両面に膜厚15μmでオリジナルインクを塗工してある。また、塗膜に紫外線吸収剤やシリカを混合させることで紫外線遮蔽率(100%)を高めている。
 「アカリナ『UV』は難燃樹脂を用いていますので防炎認定製品にもなっています。また、アカリナの全商品は帯電防止加工をしていますのでほこりが付きにくくなっています」
 アカリナシリーズのスラット(フィルムタイプのみ)は基材が軟らかいために折れにくく、また光拡散フィルムは電子部品に用いられる素材のため静電気を防ぐ帯電防止機能が付与されている。

現在、アカリナシリーズは約400社に納入実績があるが、最近は個人宅への需要が急激に伸びている。従来、内装やインテリアは美観や快適性を提供するものだったが、アカリナはその枠を飛び越え、省エネや環境への寄与という新しい効果を提供するインテリアへと新たな市場を開こうとしている。

掲載日:2013年1月10日

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