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エネルギー新時代


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第17回 化石燃料を使わないバイオマス発電 [川崎バイオマス発電]

川崎バイオマス発電(川崎市川崎区扇町)は、木質バイオマス燃料を利用してCO2フリー(地球上のCO2を増加させない)の発電をおこない、もっかフル稼働状態にある。

川崎バイオマス発電は、住友共同電力、住友林業、フルハシEPOの3社合弁で2008年4月に設立された発電会社だ。建築廃材などを細かくチップ状に破砕したバイオマス燃料を使って発電するバイオマス専焼発電所を川崎市扇町に建設し、2011年2月から電力を供給している。

建築廃材由来などの木質バイオマス燃料で発電する「川崎バイオマス発電所」

建築廃材由来などの木質バイオマス燃料で発電する「川崎バイオマス発電所」

川崎市は廃棄物系のバイマス燃料が豊富

同発電プラントの定格出力は3万3000kWで、バイオマス専焼発電では国内最大だ。一般家庭なら3万8000世帯分の電力消費を賄える。

発電された電力は、経産省認可の特定規模電気事業者(新電力)であるJX日鉱日石エネルギーおよび東京電力向けに販売している。

発電方式は、水を沸騰させて得た蒸気でタービンを回して電気を得るもので、基本的に石油、石炭、LNG(液化天然ガス)など化石燃料による火力発電や原子力発電とまったく同じ。相違点は燃料にあり、発電のための熱源を得る燃料が建築廃材などを細かくチップ状に破砕した木質バイオマス燃料であることだ。通常なら廃棄物として焼却処分される建築廃材を発電用の熱源として活かしている。

しかも燃料の全量がバイオマス由来のもので、通常運転中は化石燃料は使用していない。化石燃料を使わなくても、建築廃材由来の燃料が安定的に入手できる理由について、同社取締役総務経理部長の中井芳弘さんは説明する。

「近年の新築住宅の多くは建て替えのため、1棟を新築すると1棟分の廃材が出ることになります。セメント系の建物を除けば、川崎市は最も多くの建築廃材が排出される都市の1つです。よって、バイマオスの観点から見れば、川崎市はバイオマス発電の燃料が豊富に集積する魅力的な都市になります」

この発電プラントが使用する木材チップは年間18万トン。隣接立地するジャパンバイオエナジーがその3分の1に相当する6万トンを供給する。

川崎市近隣で発生する住宅解体時の柱や梁、使用済みパレット、不要になった木製家具などの木質系廃材がジャパンバイオエナジーの工場に持ち込まれる。それを同工場で分別、破砕し、長さ5cmほどのサイズにチップ化する。チップ化するのは燃焼効率を最適化するためだ。

ジャパンバイオエナジーでつくられたチップ燃料は、ベルトコンベアを介して川崎バイオマス発電所へと搬送される。

年間で18万トンの木質チップで3万3000kWを発電する。一般家庭なら3万8000世帯分の電力消費に匹敵する

年間で18万トンの木質チップで3万3000kWを発電する。一般家庭なら3万8000世帯分の電力消費に匹敵する

CO2フリーで環境にやさしい

前述のようにチップ燃料の3分の1はジャパンバイオエナジーから供給され、残りの3分の2は近隣のチップ製造会社から供給される。また、チップ燃料だけでなく、近隣の食品工場から受け入れる食品残渣物系のバイオマス燃料も一部使用している。

この川崎バイオマス発電所は、通常運転中は化石燃料をいっさい使わず燃料の全量をバイオマスとしていることでCO2フリー(ここでのCO2フリーは「カーボンニュートラル*」の概念に依る)を実現しているところが最大の特徴だが、さらに排煙脱硫装置(SOx排出量を3ppm以下まで低減する)、排煙脱硝装置(NOx排出量を30ppm以下まで低減する)、あるいは排ガス中の煤塵を除去するバグフィルターといった設備も導入して環境対策に万全を期している。

「地方のバイオマス発電所だと、ここまでハイスペックな環境設備は不要なところもあります。ご存じのように川崎市はかつて公害に苦しんだ歴史を持っています。現在でも多くの工場が操業し、車両の通行量も多いため、厳格な環境条例を設けています。それに対応するため、当然ながらそのコスト負担はありますが、燃料の安定確保という優位性に加え、従来は廃棄処分されていた廃材から電力を得るという社会的な使命も大きいのです。」(総務経理課・眞鍋義知さん)

建築廃材由来のものや食品残渣系などバイオマスを燃料として発電する川崎バイオマス発電は、発電後の燃焼灰についてもセメントの材料や土木用資材などに有効利用している。発電工程における燃料から燃焼灰まで有効に活用し、環境にやさしい発電を実践している。

*川崎バイオマス発電で利用する木質バイオマス燃料は、周辺地域で発生する建設廃材による木質チップ、樹木の間伐材、剪定枝等を利用する。これらの樹木は、成長過程で光合成により大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素(O2)を生産しながら、炭素(C)を体内に貯え、幹、枝などの樹体をつくっている。

植物由来の木質バイオマス燃料を発電所で燃焼させるとCO2が排出されるが、このCO2はもともと大気中から樹木が吸収していた炭素(C)が大気中に戻るだけなので、大気中のCO2濃度には影響を与えない(CO2は増加しない)という概念がカーボンニュートラル。

掲載日:2012年10月 4日

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