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エネルギー新時代


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第14回 太陽光を鏡で集めて高効率に発電する [JFEエンジニアリング]

JFEエンジニアリングは、タワー集光型太陽光発電(タワーCPV)と同太陽熱発電(タワーCSP)の開発を進めている。2011年10月、この実験プラントを横浜の同社鶴見製作所構内に設置し、従来型の太陽光発電システム(PV=PhotoVoltaic)と比べ、タワーCPVの場合で2倍以上の発電効率を実証し、注目を集めた。

タワーCPV/CSPの設備。地上のヘリオスタット(1基に円形の鏡を10枚装備)で集めた太陽光をタワー(写真奥の塔)のレシーバー(最上部の長方形の装置)に送る

タワーCPV/CSPの設備。地上のヘリオスタット(1基に円形の鏡を10枚装備)で集めた太陽光をタワー(写真奥の塔)のレシーバー(最上部の長方形の装置)に送る

住宅やビルの屋上などに敷設するPVは、地表面に降り注ぐ太陽光をシリコン系や化合物系などの半導体で変換して発電している。それに対し、JFEエンジニアリングのCPVは、地表に達した太陽光を数百倍まで集光した後、多接合型太陽電池セルで変換して発電するシステム。PVの場合、実際の発電効率は10-15%程度だが、それに対して集光して発電するCPVの発電効率は20数%まで高まる。

集光方法には数種あるが、JFEエンジニアリングのタワーCPVは、地表面(地上高1-2m)にヘリオスタット(太陽追尾ミラー)を設置、そのヘリオスタットで反射した太陽光を、高さ20mのタワー上部に取り付けたレシーバー(2次集光機能付き多接合型太陽電池セル)に集光し、直接発電している。

タワーCPVでは、レシーバーで集光した太陽光で発電する。

タワーCPVでは、レシーバーで集光した太陽光で発電する。

ヘリオスタットは三鷹光器と共同開発。軌道計算に基づいて太陽の位置を正確にとらえるため、駆動式のミラーによって太陽光を追尾し、最適の集光効率を得ている。ミラーは当然ながら反射率の高いものが要求される。ミラーを薄くすれば反射率は上がるが、薄いと強度に問題が生じる。三鷹光器製のヘリオスタットには、92-94%の高反射率ながら、強度も十分にそなえたミラーを採用した。鶴見製作所の実験プラントには、面積2m2のミラーを80基設置している。

ヘリオスタットから送り込まれた反射光はタワー上部のレシーバーで受けるが、そのレシーバーには米国Spectolab社製の3元系半導体を使っている。総合研究所ソーラー発電システム開発部長の家本勅さんはこう説明する。

「シリコンなどの一般的なPVのセルは、集光型のシステムには適していません。われわれが使用している多接合型半導体は、現在、おもに人工衛星に使われています。この半導体は、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム・インジウム・ヒ素(GaInAs)、ガリウム・インジウム・リン(GaInP)の3層構造になっています。透過する光を波長ごとにとらえ、波長の吸収領域を広げることによって発電効率を上げているのですが、この場合のセル単独の変換効率は40%を超えています」

ただ、仮に40%の変換効率で発電しても、60%の余剰エネルギーが熱として残る。その高熱を取り除かないと熱でセルが破損してしまうので、このタワーCPVには発電セルの背面に水冷による冷却システムを設けている。将来的な実用プラントでは、冷却システムによる熱交換で得た温水の利用も当然検討されることになる。

高温・高圧の蒸気を用いて発電

もう一方のタワー集光型太陽熱発電(タワーCSP)は、ヘリオスタットで集光した太陽光をタワー上部のレシーバーで受けるところまではタワーCPVと同じ。異なるのはレシーバーだ。レシーバーが集熱器になっており、この集熱器で得た高熱で蒸気を得、その蒸気でタービンを回して発電する。蒸気でタービンを回すのは、化石燃料による火力発電や原子力発電と同じだ。集熱器で得た熱をいかに効率的に蒸気に変換するかに技術開発のポイントがある。

通常のPVによる発電の場合、雨の日や曇りの日、もちろん発電効率は低下するものの、発電量がゼロになることはない。それに対しタワー集光型のCPVやCSPは、発電がほとんど不可能になってしまうところが泣きどころ。雨の日や曇りの日には雲や水蒸気に遮られてまっすぐ地上に太陽光が降り注がず、散乱してしまう。集光型の装置はこの散乱光を集光できないためだ。

地上に直接降り注ぐ太陽光を「直達光」というが、この「直達光」の量が集光型発電システムの優位性を決定づける。「直達光」の量が多い赤道直下の砂漠地帯のようなサンベルト地帯がこの集光型発電システムに好適であるため、JFEエンジニアリングはこうした国々へのプラント輸出も視野に開発を急いでいる。

掲載日:2012年8月23日

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