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エネルギー新時代


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第8回 電気自動車の電力を活用する電源供給装置 [三菱自動車工業]

電気自動車の歴史は意外に古く、ガソリン車よりかなり前から開発されていた。海外では19世紀前半に電気自動車が設計され、日本でも20世紀初頭に電気自動車が試作されている。
 最近では三菱自動車工業(以降、三菱自動車)が2009年7月に量産型の軽電気自動車「i- MiEV」を発売し、話題を呼んだ。
 三菱自動車では自社製電気自動車を「MiEV」(Mitsubishi innovative Electric Vehicle)と総称し、そのシリーズとして軽自動車「i(アイ)」をベースに開発した電気自動車を「i- MiEV」と名付けた。現在は「i- MiEV」と軽商用電気自動車「MINICAB- MiEV」の2車種を「MiEV」シリーズとして量産している。

電気を引き出して使おう

2012年4月、同社は「MiEV」シリーズのバッテリーから電力を引き出す電源供給装置「MiEV power BOX」を発売した。通常、電気自動車はバッテリーに電気を充電して走るのだから、バッテリーは電気を蓄えるための機器と考えるのが一般的だ。が、バッテリーに電気を蓄えるだけでなく、そこから電気を引き出して別用途で利用しようというのが「MiEV power BOX」だ。
 「2011年の東日本大震災直後、三菱自動車では89台のi- MiEVを被災した福島、宮城、岩手の各県庁に提供し、避難所の連絡車や医療関係者の移動用車両として使っていただきました。そして被災地の状況を逐次伺っていくうちに、系統電源が復旧した地域としない地域、また復旧しても断続的に停電する地域があるように、電力供給が非常に不安定な状態であることを知りました。さらには現地からは、i- MiEVのバッテリーの電気を取り出せれば大いに役立つのだがという声もいただきました。しかし、i- MiEVのバッテリーでは携帯電話などが使用できる小電力しか供給できず、大電力を供給できなかったため家電製品が使用できなかったのです」(EVビジネス本部EV国内推進部上級エキスパート、和田憲一郎さん)
 i- MiEVのバッテリーの電力は、定格100Wまでの小電力ならば供給装置(オプション)により使用できるが、炊飯器や電気ポットなど家電製品の使用に必要な大電力(定格1500Wまで)を引き出せる手段がなかった。その対応として開発したのが「MiEV power BOX」だった。
 「MiEV power BOX」は、「i- MiEV」や「MINICAB- MiEV」(軽商用車)の急速充電コネクターに接続し、車両に搭載されるバッテリー(リチウムイオン電池)から電力を引き出す、いわゆる直流交流変換器(AC/DCインバーター)だ。
 その仕様は、寸法334×400×194mm、重量11.5kg(本体9.5kg、ケーブル部2kg)、ケーブル長1.7m、動作温度範囲-30-60℃、保存温度-40-85℃だ。MiEVシリーズのバッテリーから330Vの直流(DC)を取り出して100V(定格出力電圧は100V±10V)の交流(AC)に変換し、最大(連続最大出力)で1500wを供給できる。例えば、非常時や外出先などで家電製品に給電する場合、16.0kWh仕様のバッテリーに接続すれば、満充電で約9kWhを約5-6時間使用できる(一般家庭の消費電力の約1日分:三菱自動車の試算)。

「i- MiEV」の急速充電コネクターに接続して電力を引き出す「MiEV power BOX」

「i- MiEV」の急速充電コネクターに接続して電力を引き出す「MiEV power BOX」

バッテリーの用途が広がる

「搭載しているバッテリーの電力を駆動以外にも利用することは、電気自動車のメリットを活かす幅を広げることになります」(和田さん)
 「MiEV power BOX」の開発期間中には警視庁の協力を得て、交通信号機の非常用電源の給電装置として実証試験し、公共での利用にも十分に対応できることを確認した。

さらに2012年度は農林水産省・復興庁の公募事業として「MiEV power BOX」を組み込んだシステム提案が採用された。これは、太陽光発電や小水力発電などの新エネルギーを電源とする農業用充電ステーションを農業地域に設置し、そこで充電した電気自動車を農作業用に駆動させ、さらに「MiEV power BOX」を用いて電気自動車のバッテリーから電力を栽培用ハウスや家電製品に供給する。新エネルギーを活用して地域の農業に用いる電気エネルギーをマネジメントすることで、農業の活性化を図ろうというアイデアだ。
 電気自動車のバッテリーは駆動だけが目的ではなく、外部に供給することでその能力を多様に発揮できる。「MiEV power BOX」もその身近な活用方法を提案しているが、需要側のアイデア次第でさらに用途が広がっていくようだ。

掲載日:2012年6月28日

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