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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第7回 「防草」と「発電」で一石二鳥の太陽光発電装置 [富士電機]

土木や園芸で用いられる防草シートは、雑草の成長を防いで土壌環境を適切に維持する。そこに太陽電池を組み込んで太陽光発電の付加価値を上げようと、富士電機がコアテックと共同開発したのが「防草発電シート」だ。

防草発電シート

防草発電シート

一般的に防草シートは合成繊維による不織布が用いられ、土壌に敷くことで雑草の新芽や茎の貫通を防ぎ、さらに太陽光を遮光することで雑草の光合成を妨げて育成を防止する。また、遮光する一方で水や空気は貫通するため、敷設した土壌の環境を悪化させない。
 そのため道路脇や鉄塔下などの土木および農地、庭園などの農園で雑草の繁殖を防ぐために用いられる。
 富士電機とシステム機器メーカーのコアテックは、その防草シートの表面に太陽電池を組み込んだ防草発電シートを2011年12月に開発・発売した。

太陽光発電に付加価値を設けられる新たな事業領域

「2011年3月11日の東日本大震災が防草発電シートを開発する大きなキッカケでした。当社の太陽電池を活用して震災の影響による電源喪失をなんとかしたいと思いました」(営業本部店舗流通営業統括部営業第2部営業1課担当課長、神路勝さん)
 富士電機は1978年にアモルファスシリコン太陽電池の研究を始め、94年にはフィルム型のアモルファスシリコン太陽電池を開発し、それをモジュール(商品名「FWAVE」)にして2004年に発売した。
 これまでにビルの屋根や壁面、またキャンプ用テントなどの用途にFWAVEを販売してきたが、最近は屋根向けの太陽光発電装置の主流が結晶系シリコン太陽電池になってきた。 そこで同社は昨年の東日本大震災以降、太陽光発電に付加価値を設けられる用途を新たな事業領域として戦略を練り直した。その1つとして、発電に防草という付加価値を設けて防草シート市場へフィルム型アモルファスシリコン太陽電池を展開した。

「郊外に行くと防草シートが敷かれている景観をよく目にします。それを眺めながら、防草シートに太陽電池を設置すれば一石二鳥になるのではないかと考えました」(神路さん)
 富士電機のフィルム型アモルファスシリコン太陽電池の厚みは0.2mmと薄く、その基板が軟らかいプラスチックフィルムのため曲げたり持ち運んだりとフレキシブルに活用できる。その特性を活かして防草シートに組み込めば、どんな地形の場所にも敷設できて防草と発電の2つの機能を発揮できる。そこでシステム機器メーカーのコアテックと共同で防草発電シートを開発した。

大面積で管理を必要とする土地でメリットを発揮

防草発電シートは、寸法が2m×4m、重量が7.5kgで、それを36枚使う。その表面には108枚のフィルム型アモルファスシリコン太陽電池(1枚が90Wモジュール)が組み込まれている。出力容量は約10kwだ。
 また、防草シート(白崎コーポレーション製チガヤシート)部分の素材はポリエステル不織布と高密度ポリエステル長繊維不織布で、直径20cm程度に丸めて運搬・保管でき、10年以上の耐久性がある。

富士電機のフィルム型アモルファス太陽電池は、集積型直列接続構造(SCAF構造)という独自構造によりセル間の接続配線を不要にできる。また、光吸収特性の異なる2種類のアモルファス太陽電池(アモルファスシリコンとアモルファスシリコンゲルマニウム)を重ねた2層構造になっているため幅広い波長のスペクトルを吸収して発電効率を高くできる。

集積型直列接続構造(SCAF構造)

集積型直列接続構造(SCAF構造)

光吸収特性の異なる2種類のアモルファス太陽電池(a-Siとa-SiGe)を重ねた2層構造

光吸収特性の異なる2種類のアモルファス太陽電池(a-Siとa-SiGe)を重ねた2層構造

実際の発電効率は8%と結晶系太陽電池の約1/2のため、発電量当たりのコストが結晶系太陽電池に比べて2倍になってしまう。しかし、結晶系太陽光発電装置に必要な架台やそのための基礎工事が不要なため(くいなどを土中に刺して固定するだけ)、それらのコストも加味すればフィルム型アモルファス太陽電池の発電コストは結晶系太陽光発電に引けを取らないという。
 むしろ、河川敷や遊休地など雑草に対する管理が必要な用途では管理費用を抑制できるメリットがある。例えば、自治体が管理する河川敷に防草発電シートを敷設すれば、雑草等の除草作業を不要にでき、それに費やす管理費の削減につなげられる。さらに発電による電力を有効利用すれば電気料金の抑制にもつなげられる。
 「単純に太陽電池の発電効率と発電コストだけを比べれば結晶系太陽電池の半分になりますが、結晶系太陽電池に必要な設備や基礎工事を不要にできるメリットがあります」(神路さん)

岡山県真庭市のバイオマスタウン

岡山県真庭市のバイオマスタウン

結晶系太陽電池が得意とする市場(建屋の屋根など)ではなく、河川敷、農地、遊休地、線路脇など大面積かつ管理を必要とする土地への設置でそのメリットを訴求していく。実際、岡山県企業局の岡山県亀島配水場(倉敷市、出力容量5kw))や真庭市のバイオマスタウン(出力容量10kw)、佐賀県農業試験センターなどの敷地内で敷設試験を続けており、今後も自治体や民間企業へと広く展開を図っていく。

<関連リンク>

掲載日:2012年6月 7日

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