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エネルギー新時代


新エネルギーに挑む企業・研究機関

第3回 淡水と海水の膜移動で発電 [日東電工]

鍵握る正浸透膜を開発で先行

水が通過する膜(半透膜)で淡水と海水を仕切ると、淡水が海水側に移動する。塩分濃度を均一にする浸透現象が起きるためだ。日東電工はこの原理を使った浸透膜発電の技術開発を始めた。海水から淡水を造る海水淡水化用の逆浸透(RO)膜技術を応用する。

浸透膜発電用概念図

浸透膜発電用概念図

海水淡水化では海水をRO膜に送り、RO膜で塩分を取り除いて淡水を造る。浸透膜発電は水の流れを逆方向にし、淡水を海水側に流す。海水側は容積が増えるため海水の流れが加速。その力で発電タービンを回転させる。

浸透膜発電プラントは海水と淡水がある場所、つまり海水と河川水を取り込める河口が設置場所だ。天候に左右されず、夜間でも電力を供給できる。メンブレン事業部の廣瀬雅彦開発技術部長は「海水淡水化に比べて構造はシンプルで、広大な設置面積を必要としない。運転もしやすい」と強調する。

同社は6月、ノルウェー国営電力会社のスタットクラフトと浸透膜発電を共同開発する契約を結んだ。スタットはノルウェー国内に世界初の浸透膜発電の実証プラントを建設し、開発を進めている。商業ベースでは地方都市の電力を賄える出力25メガワット以上のプラント開発が目標だ。

日東電工の逆浸透膜

日東電工の逆浸透膜

廣瀬部長は「実用化は簡単といえば簡単。ただし、それは膜さえあればの話」と語る。海水と淡水の仕切りにRO膜を転用しただけでは発電コストは下がらない。海水側に流れる淡水の量が多いほど発電コストは下がるが、現状のRO膜では淡水を流す量が不十分だ。このためスタットはRO膜最大手の日東電工に協力を求めた。同社にはより多くの水を通す透水性の高い膜の開発が求められている。

水中のイオンを内部にためない膜構造の開発も課題だ。水は淡水側から海水側に流れるが、ごく少量のイオンが海水側から淡水側に流れる。しかもイオンは膜内部にとどまるため、透水性の低下を引き起こす。現在のRO膜をベースにした場合、表面のスキン層の抵抗を減らして透水性を高め、併せて内部の支持体の改良が開発テーマだ。

透水量を20倍に

浸透膜発電用の膜は「正浸透膜」と呼ばれ、世界で開発競争が始まったばかり。同社は研究レベルだが、浸透膜発電にそのまま適応したRO膜よりも7-8倍に透水性を高めた正浸透膜を開発した。15年には15-20倍に向上させ、スタットが建設する出力2-10キロワットの実証プラントに納入するのが目標だ。

スタットは30年に25メガワット規模のプラントが世界30カ所で稼働していると見通す。メガワット時当たりの発電コストは70ユーロを想定し、石油やバイオマス、太陽電池を下回ると予想する。実現には正浸透膜が鍵を握っており、開発で先行できれば浸透膜発電市場の主要プレーヤーとして存在感を示せる。

浸透膜発電は浸透圧発電、濃度差発電とも呼ばれる。まだ名前が定まっていないほど新しい発電だ。日本でも東京工業大学などが実証を始めた。

海水淡水化用のRO膜では日東電工、東レ、東洋紡の日本3社で世界市場の60%を占有する。浄水や下廃水処理用の水処理膜を含めても日本メーカーの世界シェアは50%を超える。この水処理膜の技術の延長戦にあるのが正浸透膜だ。日本勢が技術で優位ではあるのは確かだが、シンガポールでは政府が企業の開発を強力に支援している。

掲載日:2012年1月19日

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