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デジ・ステーション


初級ネットワーク講座
第30回 今後のネットワークの可能性

ネットワークの基礎知識を解説してきた本講座も、最終回を迎えた。以前に比べて、パケットの中身が理解できるようになってきただろうか?今回は少し趣向を変えて、今後、ネットワークが進んでいく方向性や、可能性について考えてみたい。

1.ネットワークの5年後の姿

いまから30年前のネットワーク技術者やコンピュータシステムの技術者たちは、30年後にこれほどインターネットが普及することを予想していただろうか。当時考案されたIPv4のIPヘッダのIPアドレスは32ビット。組み合わせは2の32乗=約40億通り、すなわちネットに接続されるホストは最大約40 億。当時、この数字は天文学的な数字であり、これだけあれば十分と考えた。ところが、いまでは近い将来のアドレス枯渇が問題となり、必要に迫られて IPv6が登場することとなった。
 では我々は、いまから30年後のネットワークを想像できるだろうか?30年前からみた現状がまったくの想定外だったのだから、これから30年後も想定外なことになっているかもしれない。とはいえ、これまでのネットワークの発展の歴史をみると、ユーザのニーズが要因となって、発展の方向性が決まってきたのは確かである。そこでまずは、もう少し近い将来、すなわちこれから5年ないし10年後における、インターネットを考えてみよう。
 インターネットが、電気・ガス・水道などのように社会生活のインフラとしてすっかり定着した現在、ユーザからネットワークに求められていることは、企業・個人などの立場を問わず、次の3点に集約できる。

●信頼性
停電や断水の際と同様に、インターネットが断絶すると、社会生活に混乱をきたす

●安全性
インターネットでやりとりするデータや保存データのセキュリティ(機密性、可用性、完全性)の確保の必要性

●効率性
・対費用効果(コストパフォーマンス)→通信費用やネットワーク機器、システム全体の低廉化など
・利便性向上→動画のような大量のデータを短時間に送受信させるための高速化、有線・無線問わずいつでもどこでも利用できる環境

長足の進歩を遂げたインターネットには、IPというプロトコルが使われているが、IP以外にもネットワーク層のプロトコルは多数存在する。それでもIPが使われているのは、作りが非常にシンプルにできているがゆえに、新しいニーズに臨機応変に対応しながら、幅広く応用していくことが可能だったからである。研究者、技術者たちが頭脳を駆使して開発した鳴り物入りのプロトコルではなく、どちらかといえば偶発的に誕生し、必要に応じて機能追加してきたつぎはぎだらけのIPの方が長く使われているというのは、皮肉なものである。

コラム:TOSフィールド
 TOSフィールドとは、IPヘッダにあるIPパケットの優先度を表すフィールドである。TOSは、Type Of Serviceの略だ。ルータは、入ってきたパケットのTOSフィールドをみて、優先度の値が高いパケットから先に相手方に送出する。
 実はこのTOSフィールドは、ごく最近まで「忘れられた」フィールドだった。その歴史を振り返ってみる。
 インターネットの起源は、アメリカのARPANETにさかのぼる。ARPANETは、もともと軍事用に開発されたネットワークだったが、その後、軍事と学術両方の目的で使用されることになった。つまり、1つのネットワークの中に軍事用のパケットと学術用のパケットが混在することになる。
 双方のパケットを同等に扱った場合、ネットワークが混んでいるときなど、いざ有事という際に間に合わなくなってしまう。それでは困る。こうした場合には当然、軍事用のパケットを先に送信先に送らねばならない。
 そこで、パケットに優先順位をつけるためにTOSフィールドが設けられた。
 その後、軍事目的の専用ネットワークが別に誕生し、学術用のネットワークから切り離されたため、TOSフィールドはすっかり意義を持たなくなっていた。
 しかし近年では、インターネットの用途が多岐に渡るようになり、すぐに相手に届けなければいけないパケットもあれば、数分後でもいいから確実に相手に届いたほうがよいパケットもある、というように、IPパケットにも優先度の違いが出てきた。
 もっともよい例が、VoIPによる音声パケットである。このパケットは、できるだけ早く相手方に届けないと、音声が途切れ、会話がぎこちなくなってしまう。しかし、ネットワーク上のトラフィック負荷が高い場合でも、IPパケット内のTOSフィールドを設定しておくことで、音声用のパケットを優先的に送信することが可能になる。
 つまり、IP電話の台頭により、意義が失われつつあったTOSフィールドが再び脚光を集めることになった。このように、IPプロトコルは時代のニーズに応じて発展を遂げてきたのである。

さて、今後のインターネットの方向性として、以下の3通りが考えられる。

インターネットがそのままIPを用いながら進化
 (IPv4からIPv6への移行が進められているが、さらに次のヴァージョンが発表される可能性もある)

インターネットがIPとは異なる新しいプロトコルを用いて進化


インターネットに取って代わるまったく新しいネットワークインフラの誕生

現在すでに、電話・放送・通信を融合したNGNなどが実用化されはじめている。
 新しいものが台頭してきたとしても、すでに確固たる基盤となったインターネットとの相互接続性が必要となるのは間違いない。

2.ネットワークの可能性

 IPプロトコルは、安定した通信環境を前提として発展してきた。しかし、モバイルPCやネットブック、スマートフォンの普及をみればわかるとおり、今後は移動体メディアによる通信、とくに無線通信の必要性が高まっていくのはいうまでもない。
 通信媒体を無線とした場合の最大の弱点は、通信の安定性である。たとえばトンネルや地下に入った場合に通信が途切れてしまう。あわせてセッションも途切れてしまい、二度手間になることや、思いもつかぬ動作をしてしまうこともある。
 そういった断続的な通信や低速での通信しかできないなど、不安定な通信環境でも安定した通信状態を確保するための技術開発が進められている。
 たとえば、現在の自動車は、すべてといっていいほどマイコン制御である。マイコンが、エンジンの制御からブレーキの制動、カーナビ、車内空調などまで制御している。このマイコンは、もちろん車載されているのだが、これが近い将来、車載されなくなることも考えられる。
 どういうことかといえば、どこかにある制御用のコンピュータと車が通信しながら、従来のような制御を行うのである。これが可能になれば、カーナビ情報や渋滞情報による最適ルートの指示、有料道路料金の決済、駐車場やレストランの混雑状況確認も、1ヵ所でできるようになる。昨今話題となっているリコール問題への対応も、ソフトウェアレベルの対応ならば、迅速にできるケースが多くなるだろう。
 このためには、通信の高速性、信頼性に加えて、不安定な通信環境での安定した通信状態を確保する必要がある。こういったニーズに応えるプロトコルの研究開発が、現在、NICT(独立行政法人情報通信研究機構)などで進められている。

取材協力 : 株式会社アイテック

掲載日:2010年5月28日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2010年4月27日掲載分

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