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デジ・ステーション


初級ネットワーク講座
第22回 LANケーブルの種類と選び方

普及が進む無線LANの一方で、ツイストペアケーブルや光ファイバケーブルを用いたLAN(有線LAN)もいまだ多く用いられている。かつて、同軸ケーブルという直径1cm程度の太い線を用いていたイーサネットの生い立ちから、ツイストペアケーブル、光ファイバケーブルまでの流れ、それら各種LANケーブルの特徴、あわせてギガビット通信の仕組みまでを今回の初級ネットワーク講座では説明する。改めて有線LANについて、詳しく見てみよう。

有線LANの基礎知識

1-1.イーサネットが主流の有線LAN規格

前号(第21回初級ネットワーク講座)で無線LANについて解説したが、現在でも「安定性」「安全性」などの面から、LANケーブルを使って接続する有線LANが多く用いられている。

有線LANの規格は、ほぼイーサネット(Ethernet)が主流である。イーサネットは、米ゼロックス社パロアルト研究所のロバート・メカトフ博士が、ハワイ州立大学のキャンパスで電波を使ったデータ通信(CSMA方式)に成功したのを期に、無線で利用した周波数を使って有線でデータ通信ができないものかと考案しCSMA/CD方式に改良し、1973年にIEEEに発表した。その後、1980年2月にIEEE802委員会が発足し、イーサネットはIEEE802.3分科会で規格化された。イーサネットは、同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、光ファイバケーブルなどを通信媒体として用いる。

CSMA/CD方式の基本的なルールは、"1つの伝送路(Bus)をみんなで使おう"というものだが、その使い方は、「はい、あなたの番」「次はあなたの番」というように順番を制御するものがなく、伝送路が空き次第、誰でも早い者勝ちというものだ。そのため衝突も発生する。会議に例えていうならば、議長がいない、誰か話しをしていたら話を聞く(Carrier Sense)、誰も話をしていなければ自由に話してよい(Multiple Access)、また、誰かが話しを終えた途端、複数の人が話し始めることがある(Collision)、そうなると聞き手は誰が何を話しているのか聞き取れない。各話し手が衝突に気がついたら(Detection)、話をやめる。伝送路が1つしかないので半二重通信である。


――イーサネットとエチルアルコールのルーツは同じ?

古代ギリシャでは、万物は次の五元素で形成されていると考えられていた。それは「火」「水」「土」「風」そして「Ether:エーテル」である。エーテルとは、光や音を運ぶもので、宇宙空間に充満していると考えられていた。

現在科学では当然否定されているが、イーサネットの開発者たちは、この「Ether」と「network」とを結びつけて「Ethernet:イーサネット」と名づけた。なお「Ether」は英語では"イーサ"と発音するが、ヨーロッパの多くでは"エーテル"と発音する。実は、消毒薬やお酒に入っているエチルアルコールの"エチル"の語源も「Ether」である。

1-2.各種LANケーブル

同軸ケーブル

現在、同軸ケーブルを用いたLANはほとんど使われなくなってはいるものの、イーサネットの原点だ。表1は主な同軸ケーブルである。


表1 主な同軸ケーブル

表1 主な同軸ケーブル

IEEE802.3で最初に規格化されたのが10BASE5である。その後、最大ケーブル長は短いながらも細くて扱いやすい10BASE2がIEEE802.3で規格化される。いずれも通信速度は10Mbpsである。


ツイストペアケーブル

10BASE5、10BASE2が規格化されたのち、更に扱いやすいケーブルの実現が求められた。それが現在のツイストペアケーブルだ。IEEE802.3ではツイストペアケーブルを用いたイーサネット10BASE-Tを発表した。いずれも10BASE5、10BASE2と同様、通信速度は10Mbpsである。ツイストペアケーブルは、導線を2本ずつ(ペア)に撚り合わせたものを(ツイスト)、更にペアを複数束ねて1つのケーブルとしたものである。ペアごとに撚りのピッチを変えて、外部からのノイズの影響を少なくし、信号の減衰を抑えたものである。現在、ツイストペアケーブルは最も多く使われている。


表2 主なツイストペアケーブル

表2 主なツイストペアケーブル

*6A:オーグメンテッド・カテゴリ6(カテゴリ6の増大版)



イーサネットで使用されるツイストペアケーブルは4組のペア、すなわち8芯で、TIA/EIA(米国電気通信工業会/米国電子工業会)という組織のTIA/EIA-568A規格で定められている。規格では、ツイストペアケーブルの利用目的や最大転送速度などによってカテゴリを定め、ケーブルの材質などを定義している。カテゴリは1から7まで規格化され、数が大きいほど新しく、より高速に対応した規格となっている。カテゴリの数値は、それよりも上位カテゴリのケーブルでも使用できる。

10BASE-Tではカテゴリ3を用いる。同軸ケーブルすなわちバスケーブルの代わりにハブという装置が必要になる。このハブからツイストペアケーブルで各通信機器と接続し、ハブを中心としたスター型の配線となる。

1990年代前半、10BASE-Tの登場とリピータ、ブリッジ、ルータなどのネットワーク機器の低廉化、扱いやすいLANソフトの登場にともない、イーサネットは飛躍的に普及した。しかし、普及すればするほど接続する通信機器が多くなり、通信待ちが長くなったり、イーサネットの弱点である衝突が多発したりするようになった。そこで、早くからイーサネットの高速化が提唱され、IEEE802委員会は、IEEE802.3u規格として100BASE-TXの100Mbpsのイーサネットを発表した。ただし、これによりカテゴリ5のツイストペアケーブルが必要となった。


――ツイストペアケーブル「4芯」の用途とは?

図1 ツイストペアケーブル

図1 ツイストペアケーブル

8芯あるツイストペアケーブルは、10BASE-T及び100BASE-TXでは上りに2芯、下りに2芯、計4芯しか使っておらず、残りの4芯は何も使っていない。そもそもツイストペアケーブルは、オフィスの1つの机にツイストペアケーブル1本で、データ通信と電話ができるように規格化されたのだ。つまり8芯のうち4芯がデータ通信用で、残り4芯を電話用に取っておいたのだが、結局、この4芯は使われることがなかった。後述するギガビットイーサネットでこの4芯が役に立ってくる。

図1で、TXは送信用、RXは受信用(L2スイッチやルータは逆になる)。送信側は同時にプラスとマイナスの電圧をかけて、受信側ではその電位差で信号を読み取る。ツイストペアケーブルでは、対ごとにノイズの影響を受けるので、同時にプラスとマイナスの電圧をかけることによってノイズの影響を小さくしている。

光ファイバケーブル

光ファイバケーブルは、ツイストペアケーブルに比べると、敷設のために専門技術や機器を必要とするためコストが高くなる。ツイストペアケーブルを用いたLANで決められている最大長(100m)よりも長距離にある通信機器を接続したい場合、もしくは距離は規定の範囲内ではあるが、電磁波やノイズの影響から保護し、安定した通信をしたい場合に光ファイバケーブルを用いる。

光ファイバケーブルを用いるLANの規格は、主に1000BASE-SX(SXの"S"はShort wave length(短波長)の意)と1000BASE-LX(LXの"L"はLong wave length(長波長)の意)である。企業の基幹的なバックボーンLAN回線に使用される場合が多い。光ファイバケーブルを用いるLANでは、上り用に1芯と下り用に1芯、あわせて2芯用いて全二重通信を行う。最大距離10kmを超える規格は、LANではなくWANで使われる。光ファイバケーブルを用いるWANでは、2芯及び1芯のものがある。


表3 主な光ファイバケーブル

表3 主な光ファイバケーブル


1000BASE-LHは、標準では規格化されておらず、"LH"はLong Hauls(長距離伝送)の略である。1550nmの波長帯を使うこと、1000BASE-LXよりもレーザ光の強度を上げること、1000BASE-LXよりも細いシングルモード光ファイバ(コア径8マイクロm)を用いることなどによって長距離化を実現している。最大距離は規格化されていないので実装依存で、ベンダ製品によって異なり、中には100kmまで伸ばせる製品もあるが、概ね50km程度である。更に最大距離を70kmとした1000BASE-LHA、最大距離を150kmとした1000BASE-LHBという規格もある。

1000BASE-ZXは、シスコシステムズ独自仕様で、最大距離は概ね70km程度である。

1000BASE-PX10/20の"P"は、Passive(受動的)の略。FTTHに用いられる、PDS(Passive Double Star)型トポロジー(PON:Passive Optical Network)。GE-PON(Gigabit Ethernet PON)や、EFM(Ethernet in the First Mile)とも呼ばれる。1芯のシングルモード光ファイバケーブルに上りと下りで異なる波長(1310/1490nm)を使用することで、双方向通信を実現している。また通信速度も下り622Mbps、上り156Mbpsまたは1.25Gbpsと異なる。規格名の「10/20」は最大距離(10/20km)を表す。

1000BASE-BXの"B"は、Bi-direction(双方向)の略。アクセス回線向けイーサネット・インターフェース仕様の1つで最大距離は10km。1000BASE-PX10/20同様、双方向通信を実現している。最大距離を40kmとした1000BASE-BX40も現在規格化が進んでいる。


――LANの発展の裏に...ゼロックス vs IBM

LANの教科書にはイーサネットの他にトークンリングやFDDIなどが登場する。イーサネットはゼロックス陣営(DEC、インテル、ゼロックス)、トークンリングやFDDIなどはIBM陣営。実は、LANの発展の背景にはゼロックス陣営とIBM陣営の熾烈な技術開発競争があった。ゼロックス陣営がイーサネットの新技術を発表するたびに、IBM陣営は対抗した技術を発表してきた。

10BASE-T(カテゴリ3)と100BASE-TX(カテゴリ5)がその例の1つ。カテゴリ5のケーブルは、カテゴリ3より規格が厳しいので、当然高価となる。更に、既に10BASE-Tを導入していればケーブルの敷設替えもしなければならない。そこでIBM陣営は、カテゴリ3でも100MbpsのLANができるように100VG-AnyLANを発表する。しかし、IBM陣営の思惑は見事に外れた。カテゴリ5のケーブルでも10BASE-Tが使えるので、ケーブルメーカーはこぞってカテゴリ5のケーブルを量産し始めた。そのため、結果としてカテゴリ5のケーブルがカテゴリ3のケーブルに比べ安くなるという珍現象が発生した。最近のLANの教科書からも100VG-AnyLANの記述は消えている。そして、いまでもカテゴリ3のケーブルは売られているが、現在生産されていないため希少価値があり、高い。

1-3.イーサネットの高速化の問題点

100BASE-TXは、カテゴリ5のケーブルの低廉化もあいまって、またたく間に普及し、利用者からは更なる高速化が求められた。高速化すること自体の技術的問題はないのだが、別に大きな問題があった。それは、距離の問題だ。1000M(1G)bpsのイーサネットでは距離が取れないのである。通信装置がフレームを送出したら0秒では相手方の通信装置に届かない。なぜならば電気信号には速さがあるので時間差が生じる。その速さは1秒間で約3万kmといわれている。


図2 衝突検出のイメージ

図2 衝突検出のイメージ

縦軸が時間で、横軸が距離。通信機器A(縦縞)と
通信機器B(横縞)が同時にフレームを送出したとしよう。
通信機器AとBの中間点で衝突が発生する。


図3 衝突の判断イメージ

図3 衝突の判断イメージ

通信機器AとBのそれぞれの信号はぶつかり、衝突
波形(縦+横縞)が発生する。通信機器はフレームを
送出しながら、入力信号を確認している。入力信号が
一定値を越えたら衝突と判断できる。


図4 衝突未検出のイメージ

図4 衝突未検出のイメージ

しかし、通信相手側からのフレーム信号が届く前に
自分のフレーム送出が終わってしまった場合、衝突を
検出できない場合がある。



次に、イーサネットフレームの構造を見てみよう。


図5 イーサネットフレーム構造

図5 イーサネットフレーム構造

FCS(Frame Check Sequence):フレームが途中で壊れていないかをチェックするための符号。

イーサネットヘッダは、あて先MACアドレス6バイト、送信元MACアドレス6バイト、イーサネットタイプ2バイトの合計14バイトである。データ部は46?1500バイトである。データ部の長さが46バイトに満たない場合、46バイトになるようにパディングという意味のないデータを挿入する。FCSは、4バイトである。よってイーサネットフレーム長は、最小で64バイト(14+46+4)、最大で1518バイト(14+1500+4)である。

なぜ最小フレームの規定があるのかというと、衝突検出のための時間稼ぎのためである。図4において通信機器Aが、もうしばらくフレームを送出し続けていれば衝突を検出することができる。

そこで最小フレーム長64バイトに着目し、フレーム送出時間を計算してみる。  100BASE-TXの通信速度は100Mbpsなので64(バイト)×8(ビット/バイト)÷(100×10の6乗)=0.00000512(秒)

となる。フレーム送出時間0.00000512(秒)の間に相手方の通信装置からのフレーム信号が届かないと、衝突の検出ができない。この時間に電気信号が進む距離を計算してみる。  0.00000512(秒)×30000(km/秒)=0.1536(km)=153.6(m)

通信装置AとBの限界距離はこの半分になるので76.8mとなる。実際にはフレームに先立って送出されるプリアンブル、IFG(Inter Frame Gap)などがあるので、100BASE-TXの最大長は100mと規定されている。

1000Mbpsのイーサネットになるとどうなるだろう。通信速度が10倍になるので、フレーム送出時間は10分の1になる。そして限界距離も10分の1になる。つまり10mしか取れないのである。しかしギガビットイーサネットといわれる1000Mbpsのイーサネットでの最大長は100m以上である。

1-4.ギガビットイーサネット

通信速度1000Mbpsを実現するイーサネット、ツイストペアケーブルを用いたギガビットイーサネットの規格には1000BASE-Tと1000BASE-TXとがある。いずれも最大距離は100mである。1000BASE-TはIEEE802.3abで規格化され、カテゴリ5のUTPケーブルの4対8芯の線をすべて用いる。100BASE-TXで使用されているカテゴリ5や、エンハンスド・カテゴリ5(カテゴリ5E:カテゴリ5の拡張版で100Mbpsから1Gbpsの伝送に使われる)及びカテゴリ6のケーブルでもそのまま使える。対ごとに250Mbpsで上り下り同時に通信させることにより1000Mbps通信を実現させている。1000BASE-Tは、100BASE-TXと同じケーブルを利用できるので、機器を1000BASE-T対応のものに入れ替えるだけで、既存の100BASE-TXネットワークをギガビットイーサネットにできる。

有線LANとしては、100BASE-TX、1000BASE-Tが最も使われている。1000BASE-TXは、IEEE802.3ではなく、TIA/EIA-854で規格化されている。カテゴリ6のUTPケーブルの4対8芯の線をすべて用いる。4対のうち2対を上り専用、残りの2対を下り専用として各対に500Mbps通信させることで1000Mbps通信を実現させている。1000BASE-Tに比べ、仕組み的にシンプルだが先に1000BASE-Tが普及したこと、既存の100BASE-TXなどとの互換性がないため、普及していない。なお、カテゴリ6のUTPケーブルは、カテゴリ5以下のUTPケーブルとは異なり、十字の形をした介在物で4つの対線を仕切っている。ケーブルベンダはカテゴリ6の量産を始めたため、カテゴリ5Eとの価格が逆転してきた。

1-5.10ギガビットイーサネット

通信速度10Gbpsを実現するイーサネットである。今後、関連製品の低廉化にともない、LAN/WANを問わず、期間ネットワークの主流になってくると考えられる。10ギガビットイーサネットは、従来の10Mbps、100Mbps、1000Mbpsとは異なり、CSMA/CD方式ではなく、概念が大きく異なってくる。CSMA/CD方式は半二重を前提とした方式であったが、すでにスイッチなどネットワーク機器やケーブルでは全二重に対応していたため、10ギガビットイーサネットでも全二重を前提とした方式となっている。よって、フレームフォーマットが異なるツイストペアケーブルを用いた10ギガビットイーサネットには、IEEE802.3anで規格化された10GBASE-Tがある。最大距離は100mである。10GBASE-Tで使われるツイストペアケーブルは、カテゴリ6、またはオーグメンテッド・カテゴリ6(カテゴリ6A)以上である。ただし、カテゴリ6を用いた場合、周波数特性の関係上、最大距離は55mとなる。

カテゴリ6Aは、1000BASE-Tのために開発されたケーブルである。これまでツイストペアケーブルの断面が円形であったものが、カテゴリ6Aでは楕円形となっている。最大距離は100mとなる。光ファイバケーブルを用いた10ギガビットイーサネットは、表4のとおり、IEEE802.3aeで7種類規格化されている。LAN仕様/WAN仕様にはっきりと区別された。ギガビットイーサネットでは、特にLANとWANの区別がなかったが10ギガビットイーサネットでは規格が異なる。


表4 10ギガビットイーサネット7種類

表4 10ギガビットイーサネット7種類

10GBASE-SR、10GBASE-LR、10GBASE-ERを総称して「10GBASE-R」、10GBASE-SW、10GBASE-LW、10GBASE-EWを総称して「10GBASE-W」と呼ぶ。上記他にIEEE802.3aqで規格化された10GBASE-LRMがある。マルチモード光ファイバで最大距離220m、FDDIを導入したところへのリプレース用である。


1-6.今後のイーサネット

IEEE802.3baで2010年6月を目処に通信速度40Gbps、100Gbpsのイーサネットの規格化が進んでいる。2009年の「Interop Tokyo 2009」で先行して製品が紹介されていた。今後、実用化すればデータセンタやISP向けのニーズが考えられる。

取材協力 : 株式会社アイテック

掲載日:2009年9月 9日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年8月4日掲載分

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