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デジ・ステーション


初級ネットワーク講座
第15回 リピータ、ブリッジとL2スイッチへの変遷

LANを構築するのに欠かせないネットワーク接続機器の代表格と言えば、無駄なパケットを遮断してネットワーク帯域を効率よく利用させることができるL2スイッチだろう。別名スイッチングハブとも呼ばれており、L2はレイヤ2の略、すなわちデータリンク層で動作する機器である。ただ、ネットワーク接続機器として物理層はリピータ、データリンク層はブリッジ、ネットワーク層はルータとあるものの、今ではブリッジやリピータは見当たらない。そこで、今回は、LAN草創期に活躍したリピータやブリッジの基本動作を振り返りながら、L2スイッチの基本機能などについて説明する。

1 リピータとブリッジ、いいとこ取りのL2スイッチ

現在、単体としてのリピータとブリッジを見ることはなくなったが、LANの草創期にはいずれもネットワークを接続するための重要な機器であった。

1-1 第一層で動作、コリジョン多発が問題に「リピータ」

リピータは、OSI基本参照モデルの第一層(物理層)で動作するネットワーク機器。単にネットワークを延長させる機器であったため、電気信号の減衰、多段接続制限の問題やEthernet(CSMA/CD方式)のウィークポイントである衝突(Collision)の多発、送信待ちの問題があった。例えば、図のようにリピータを接続した場合は、以下のような問題点が顕在化する。

(1)
PC−Aと、リピータを介して接続されているPCすべてにフレームの衝突の可能性が出てくる。また、その距離が長ければ長いほど衝突の可能性が高くなる。
(2)
PC−AからPC-Bにフレームを送信している場合でも、リピータを介して接続されているPCに電気信号がいきわたるため、すべてのPCが送信待ちの状態になる。
(3)
距離が長くなればなるほど電気的な減衰により、フレームが壊れる可能性が高くなる。
図1 リピータによる接続例

   図1 リピータによる接続例


コラム:リピータの多段接続制限
 図1のようなリピータによる多段接続は、IEEE802.3規格では最大4台と規定されている。すなわち、通信装置と通信装置の途中にリピータが5台以上入ると、フレームを正しく送ることができない仕様になっている。そこで、実際に実験を行ってみたところ、5台、6台、7台、8台と接続しても問題が発生しなかった。結局8台までしかリピータを持たなかったので実験は終了することに。ちなみに、禁止されているループ状接続にしても問題がなかった。実際に通信はできるものの、あくまで保証される範囲は最大4台という規定だということになる。

1-2 第二層で動作、学習と転送機能を持つ「ブリッジ」

リピータ接続に関する問題を解決する機器が、OSI基本参照モデルの第二層(データリンク層)で動作するブリッジである。ブリッジは必ず【アドレステーブル】を持っており、このアドレスはデータリンク層レベルのアドレス、具体的にEthernetであればMACアドレスがこれにあたる。Ethernet対応のブリッジであれば、【アドレステーブル】にはブリッジに接続されているMACアドレスの一覧、および、各MACアドレスが、どのポート(*注1)に属しているかの情報が入ることになる。なお、ブリッジの主な機能は、学習(ラーニング)機能と転送(フォワーディング)の2つである。LAN上を流れるEthernetのフレーム構造(*注2)から、ブリッジの機能を見てみよう。


表1

表1

図2 Ethernetにおけるフレームの構造とブリッジの基本接続形態

図2 Ethernetにおけるフレームの構造とブリッジの基本接続形態



A、B、CはそれぞれのPCのLANインターフェースのMACアドレス。1、2、3はブリッジのポート(差込口)の番号である。ここで、PC-AからPC-C、PC-BからPC-A、PC-AからPC-B、PC-CからPC-Aと、データ送信する流れをご紹介する。

【Step1】PC-AからPC-C
  Aから出たフレームはブリッジのポート【1】に到達する。ここでブリッジは、送信元MACアドレス【A】と【1】を【アドレステーブル】に記録する。次にあて先MACアドレス【C】をもとに【アドレステーブル】を検索するが見つからない。あて先MACアドレス【C】がどこに接続されているかわからないので、ブリッジの全ポートから、このフレームを送出する。

【Step2】PC-BからPC-A
 Bから出たフレームはAに到達するが、同時にブリッジのポート【1】にも到達している。ここでブリッジは、送信元MACアドレス【B】と【1】を【アドレステーブル】に記録する。次にあて先MACアドレス【A】をもとに【アドレステーブル】を検索し、あて先MACアドレス【A】がブリッジのポート【1】に接続されていることがわかる。入力ポートと検索ポートが同じなので、ブリッジの他のポートから、このフレームを送出しない。

【Step3】PC-AからPC-B
 Aから出たフレームはBに到達するが、同時にブリッジのポート【1】にも到達している。ここでブリッジは、送信元MACアドレス【A】と【1】を【アドレステーブル】に記録する(上書き)。次にあて先MACアドレス【B】をもとに【アドレステーブル】を検索し、あて先MACアドレス【A】がブリッジのポート【1】に接続されていることがわかる。入力ポートと検索ポートが同じなので、ブリッジの他のポートから、このフレームを送出しない。

【Step4】PC-CからPC-A
 Cから出たフレームはブリッジのポート【3】に到達する。ここでブリッジは、送信元MACアドレス【C】と【3】を【アドレステーブル】に記録する。次にあて先MACアドレス【A】をもとに【アドレステーブル】を検索し、あて先MACアドレス【A】がブリッジのポート【1】に接続されていることがわかる。入力ポートと検索ポートが異なるので、ブリッジのポート【1】から、このフレームを送出する。


表2 転送の可否

表2 転送の可否


このブリッジの動作によって、不要なフレームを隣のセグメント(ドメイン)に流さないことができる。また、ブリッジを越えての衝突(Collision)の可能性がなくなる。なお、ブリッジで仕切られる範囲を、衝突の起こりうる可能性の範囲という意味でコリジョンセグメントまたはコリジョンドメインと呼ばれる。


図3 リピータとブリッジのコリジョンセグメントの違い

   図3 リピータとブリッジのコリジョンセグメントの違い


(*注1)ポート
ブリッジまたはL2スイッチの差込口のこと。TCPやUDPなどのプロトコルで用いられるポート番号ではない。
(*注2)フレーム構造
Ethernetフレームなどの詳細については9回目参照のこと。

コラム:マルチポートブリッジ
 ブリッジが登場した1990年代前半のころ、インターフェースは2ポートのブリッジしかなかった。しかし、1990年代後半になってTCP/IPを標準装備したWindows95の登場や、同軸ケーブルに変わって取り扱いやすいツイストペアケーブルの登場により、LANの利便さが認識されるとともに急速にLANが普及した。そのため、多数のポートがあるブリッジの需要が高まり3ポート以上のブリッジが登場することになった。これを、「マルチポートブリッジ」と呼んでいた。
 「マルチポートブリッジ」は、今では「スイッチングハブ」と呼ばれるようになっており、LANの国際規格であるIEEE802.3では「マルチポートブリッジ」は「スイッチングハブ」と規定されている。しかし、当初、多くの「スイッチングハブ」は名ばかりで「スイッチング」機能はなかった。それでもコリジョンドメインを複数に分断するマルチポートブリッジの登場は画期的であり、今ではL2スイッチとスイッチングハブは同義語と言ってもよい。また、ハイエンドな製品をさしてL2スイッチ、ローエンドな製品をさしてスイッチングハブと呼ぶこともある。

1-3 第二層で動作、ブリッジを進化させた「L2スイッチ」

L2(レイヤ2)スイッチも、その名のとおりOSI基本参照モデル第二層で動作する。ブリッジにスイッチ機能を付加させたのがL2スイッチ、またはスイッチングハブである。だから現在のL2スイッチは少なくともブリッジのもつ機能を有している。そういった意味でL2スイッチは、ブリッジの進化したものとみていいだろう。

【L2スイッチの動作】
 下図のように6つのポートのブリッジ(マルチポートブリッジ)があり、MACアドレス【A】【B】【C】【D】【E】【F】【G】を持つ通信装置が接続されているとしよう。ポート【1】にはMACアドレス【A】【B】をもつ機器が接続されており、他のポートは以下の通りの接続状態となっており、アドレステーブルはすべてのMACアドレスを学習済みである。


図4 マルチポートブリッジの基本接続形態

   図4 マルチポートブリッジの基本接続形態



そこで、次の3つのフレームが同時にブリッジに入ってきたとしよう。

(1)
あて先MACアドレス【A】│ 送信元MACアドレス【B】
(2)
あて先MACアドレス【D】│ 送信元MACアドレス【C】
(3)
あて先MACアドレス【F】│ 送信元MACアドレス【E】

(1)は、フレームの入力したポート【1】と検索ポート【1】が同じなので、転送しない。
  (2)は、フレームの入力したポート【2】と検索ポート【3】が異なるので、該当のポート【3】に転送する。
  (3)は、フレームの入力したポート【4】と検索ポート【5】が異なるので、該当のポート【5】に転送する。


ここで、(1)は転送しないので問題ないが、ブリッジ内にはバス(Bus)というデータの通り道が1つしかないので (2)と (3)のフレームは同時転送ができない。どちらかのフレームが転送待ち(バスの空き待ち)状態になってしまう。

1台のブリッジに多くの通信装置が接続されるようになってきたため、フレームの転送待ちによる遅延やブリッジ内にあるパケットバッファといわれるフレームの一時的な蓄積場所があふれてフレームがなくなってしまい再送処理によるさらなる遅延などが発生し、スループット(単位時間当たりの処理量)の低下が問題となってきた。その解決策として、ブリッジ内に複数のバスを用意することで同時にフレームを転送し、スループットの低下を防ごうと考えたのだ。そのためには、フレームが送られてきた際、空いているバスを探して、必要なポートとポートをそのバスに接続することになる。そして、フレーム転送が終わったら、バスとポートの接続を解除する。そういった動作がスイッチング技術である


【通信モード】
 なお、通信モードには半二重(Half Duplex)と全二重(Full Duplex)のモードがある。半二重はデータの通り道が1つあり、上り下りで使い分けている。道路で言えば車線が1つでその車線を片側交互通行しているようなものである。全二重は、上り用と下り用にデータの通り道が分かれているので、上り下り同時に通信できる。道路で言えば車線が2つあり常にすれ違える状態である。CSMA/CD方式は、もともと半二重であり、しかも交通整理する人がいない1車線の道路なので衝突が発生する。


上記と同様のL2スイッチで、以下の2つのフレームが同時に発信されたとしよう。

(1)
あて先MACアドレス【A】│ 送信元MACアドレス【C】
(2)
あて先MACアドレス【B】│ 送信元MACアドレス【E】

ポート【1】では、あて先MACアドレス【A】向けのフレームと送信元MACアドレス【B】を同時に処理しなければならない。半二重の場合、どちらか一方のフレームが転送待ちとなる。全二重の場合は、上り下り同時に通信できるので転送待ちにならない。よって、より一層スループットが向上する。


さらに同様のL2スイッチで、以下の2つのフレームが同時に発信されたとしよう。

(1)
あて先MACアドレス【A】│ 送信元MACアドレス【C】
(2)
あて先MACアドレス【B】│ 送信元MACアドレス【E】

ポート【1】では、あて先MACアドレス【A】向けのフレームとあて先MACアドレス【B】向けのフレームを同時に処理しなければならない。しかし全二重は、上り、下りの同時通信可能であるが、上り、上りや下り、下りは同時通信できない。よってこの場合、全二重モードでも、どちらか一方のフレームが転送待ちとなる。
 また、L2スイッチと、そのL2スイッチに接続されている相手方の双方が全二重に対応していなければ、全二重が機能しない。ただし、L2スイッチには相手方の通信モード、および、通信速度を自動的に判別するオートネゴシエーションという機能がある。例えば通信速度100Mbps/10Mbps、全二重/半二重、オートネゴシエーションに対応したL2スイッチがあるとしよう。オートネゴシエーションに設定し、LANケーブルを接続すると相手方を「100Mbps・全二重⇒100Mbps・半二重⇒10Mbps・全二重⇒10Mbps・半二重」の順に確認し、通信可能なモードで設定する。

コラム:オートネゴシエーションのおっかけっこ
 前述したオートネゴシエーションについてだが、以前L2スイッチ同士をLANケーブルで接続したとき、相手方との通信がうまくいかなかったことがある。別のLANスイッチで試したところ、リンクランプがきちんと点灯したため、機器そのものの故障ではないらしい。このトラブル、実は両方のL2スイッチをオートネゴシエーションに設定していたために起こったものだった。お互いのL2スイッチがオートネゴシエーションのおっかけっこをしており、片方のL2スイッチのオートネゴシエーションの設定をはずしたところ、通常通り動き出したのだ。L2スイッチ同士の接続はLANケーブルを頻繁に抜き差ししないため、PCとの接続とは違い双方のL2スイッチとも同じモードで固定しておいたほうがトラブルを避けることができるはずだ。

【MDI/MDI-X機能】
 ツイストペアケーブルにはクロスケーブルとストレートケーブルの2種類ある。L2スイッチとPCのLANカードとの接続にはストレートケーブル、L2スイッチ同士で接続する場合はクロスケーブルを用いるが、L2スイッチには「自動MDI/MDI-X機能」というのがある。MDI/MDI-Xは、Medium Dependent Interface/Medium Dependent Interface Crossoverの略で、相手方の種類を自動的に認識し、送信と受信を切り替える。利用者はケーブルの種類を意識せず、たとえ誤ったケーブルで接続しても正しく通信できるようになっている。


【スイッチング方式】
 一般的にL2スイッチの仕様には、「スイッチング方式」というのがある。このスイッチング方式は「ストアアンドフォワード方式」と「カットスルー方式」の2つに分けることができる。
 「ストアアンドフォワード方式」はいったん、すべてのフレームを受信、蓄積(ストア)してから、転送(フォワード)するもので、それに対して「カットスルー方式」は、フレームのあて先を認識すると同時に、蓄積することなく相手先に転送する。当然、スループットは「カットスルー方式」の方が上になる。しかし、現在ほとんどの製品が「ストアアンドフォワード方式」となっている。これは、カットスルー方式のデメリットに起因する。壊れたフレームをそのまま転送してしまうなどのデメリットも挙げられるが、一番致命的なのが異なる速度のLANに対応できないこと。仮に、L2スイッチに接続されるすべての通信機器が同一の通信速度であれば「カットスルー方式」のほうが有利だが、ほとんどのLANでは、10Mbps、100Mbps、1Gbps、10Gbpsなど様々な速度の混在環境で通信されている。だからこそ、「ストアアンドフォワード方式」製品が多くなっている。

【次号予告】
 L2スイッチにはさまざまな付加機能があるが、その1つがVLANである。本来は1台のL2スイッチで複数のネットワークに対応できるように考案されたVLANだが、今ではセキュリティを確保するためにも必要な機能となっている。次回は、ポートベースやタグVLAN(IEEE802.1Q)など各種VLAN及び動的VLAN、認証機能(IEEE802.1X)について説明する。

取材協力 : 株式会社アイテック

掲載日:2009年4月15日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年01月13日掲載分

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