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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
SSDの限界を超える「ReRAM搭載SSD」

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは、SSDよりも高速、DRAMよりも大容量のReRAMのエラー発生率を80%削減すると同時に33倍の高速化を達成する制御技術が登場した「ReRAM搭載SSD」。ReRAMの本格実用化までには課題が多いようですが、この制御技術が発展すれば、チップ自身の成熟を待たずにReRAM+SSDのハイブリッドメモリ実用化が進みそうです!

1.「ReRAM搭載SSD」ってどんなもの?

昨年は半導体メモリ開発に重大な技術開発や製品化の発表が相次いだが、中でもソニーとマイクロンによる16Gビット級ReRAMの開発発表やパナソニックの量産化発表などでReRAMが改めて注目された。ReRAMについては一昨年3月に本コーナーで取り上げているので原理的な部分はそちらを参照願いたいが、その特長は次の6点にまとめられる。

(1)SSD(NANDフラッシュメモリ)より1万倍速い書き込み速度
(2)不揮発性(電源を断ってもデータを保持できる)
(3)SSD同等(10年程度)の記憶保持期間
(4)SSDよりもひと桁多い書き換え可能回数(100万回)
(5)SSDの数分の1の消費電力
(6)DRAMや他の高速次世代不揮発性メモリを超える大容量化(微細プロセス化、三次元積層化)が可能
(7)既存の製造プロセスが利用でき、希少材料資源を使わなくてよい

これら特長からわかるとおり、ReRAMはDRAMとSSDの中間のような性能と容量を持つメモリだ。コンピュータに使われるメモリはCPUキャッシュとして使われる小容量だが抜群に高速なSRAM(Static RAM)、主記憶装置として使われるDRAM、そして大容量だがアクセススピードがDRAMより100万倍劣るSSD(NANDフラッシュメモリ)やさらに低速なHDDがある。図1に見るようにDRAMとSSDの間にはアクセス速度に大きな隔たりがあるが、ReRAMをはじめとする次世代不揮発メモリはこのギャップを埋める「ストレージクラスメモリ(SCM)」として注目されている。

図1 コンピュータに使われるメモリのアクセス時間別の階層
図1 コンピュータに使われるメモリのアクセス時間別の階層

資料提供:中央大学 竹内研究室

SCMの応用領域の1つが、DRAMとSSDの間をつなぎ、協調してデータ読み書きを行う中間メモリとしての利用法だ。SSDと組み合わせて使えば、ある時はSSDキャッシュとして働き、ある時はアクセス頻度の高いデータを専門に扱う1次大容量ストレージとして働くことができるので、SSDの能力を補完し、全体として高速かつ低消費電力のストレージ(ハイブリッドSSD)が実現すると期待されている。こうした用途のReRAMはまだ実用化前だが、素子としての課題を制御技術で克服する新たな方法を、今年2月に中央大学の竹内健教授が発表した。その技術について後述するが、その前に他の半導体メモリを搭載するSSDについて簡単に見ておこう。

1-1.DRAM搭載SSDとはどこが違うの?

従来はSSDのキャッシュとしてDRAMが使われてきた。DRAMは高速だが、容量はシリコンダイあたり現在最大4Gビットにすぎない。近々8Gビットに、ゆくゆくは16Gビットへと拡大していくと予想されてはいるものの、微細化は限界に近づいており、それ以上の容量拡大は難しい。ビット単価は依然として高額で、また揮発性メモリなので、記憶を保持しておくためには常に通電していなければならない。SSDに搭載する場合には、停電時や電圧変動時にデータをSSDに退避できるだけの時間を稼ぐバッテリやキャパシタが必要になる。DRAMの容量を増やそうとすると高コストになり、モジュールのコンパクト化にも制限が出てくる。

1-2.MRAM搭載SSDはどこが違うの?

この課題解消のためにReRAMに一歩先んじて製品化が図られているのがMRAM(Magnetoresistive RAM)搭載SSDだ。昨年11月、バッファローがMRAM搭載SSD製品化(2015年予定)に着手すると発表した。これはMRAMをSSDのキャッシュとして使い高速化を図る仕組みで、実現すれば世界初の市販MRAM搭載SSDとなる。利用するのは米Everspin社のSTT-RAM(Spin Transfer Torque-RAM、ST-MRAM。「関連するキーワード」の項参照)だ。Everspin社は世界で初めてのSTT-RAMの市販サンプル提供を2012年11月に開始しており、従来の16Mビットを大きく超える64Mビット容量の製品開発にも成功している。

STT-RAMはSRAM同等の高速ランダムアクセス性能(35ns以下)を持ちながら、SCMとして利用できる大容量と、ほぼ無限(10の15乗回以上)の書き換え回数に対応できるのが大きな特長。ReRAMはこれより性能に劣り、書き換え回数も10の6乗程度だが、上記したように微細化・積層化の面ではSTT-RAMよりも優れ、3桁違いの16Gビット?32Gビット級の大容量化が可能な点と、シンプルな製造プロセスと材料コストの差で生まれる低コスト性が特長だ。DRAMに近い働きができるのがSTT-RAM、SSDに近い特長を持つのがReRAMだと考えておくとよいだろう。ReRAMは書き換え回数の制限があるためキャッシュとしては不向きな面があるが、高速性と大容量とを生かした1次ストレージとして利用し、SSDをよりアクセス頻度が低いデータのための2次ストレージとするといった利用法、およびSSDの管理/制御情報の保管場所としての利用が考えられる。

2.ReRAM搭載SSDの新制御技術

こうした背景の中で登場したReRAM搭載SSDの新制御技術は、図2のような構造を想定したものだ。

図2 ReRAM搭載SSDの構造のイメージ
図2 ReRAM搭載SSDの構造のイメージ

資料提供:中央大学 竹内研究室

NANDフラッシュメモリが多段積層化(「関連するキーワード」の項参照)され、その上にSCMとしてのReRAMが載り、さらにDRAM、全体をコントロールするSSDコントローラが載る。各層を貫通するTSV(Through Silicon Via)が信号や電源を接続する仕組みだ。データの読み書きはSSDコントローラがReRAMとNANDフラッシュメモリに適切に割り振り、最適なメモリ利用を制御することになる。そのコントローラの内部の仕組みは図3に見るようなもので、この中に今回発表の新制御技術が生かされている。

図3 ReRAM搭載SSDコントローラの内部の機能
図3 ReRAM搭載SSDコントローラの内部の機能

資料提供:中央大学 竹内研究室

2-1.特性変化に追従して読み出し検知レベルを動的に変化させる「フレキシブルリード」

まず注目したいのが図3中左端の「FlexibleR Ref」という部分。ReRAMは抵抗値の変化によって0と1とを表現するメモリだが、ビットのセットとリセットを繰り返すとだんだん抵抗値が高くなる特性があることがわかっている。大容量ReRAMでは、セルごとの特性のばらつきが避けがたいため、使用回数が多くなるほどエラーの発生率が高まる課題があった。そこで開発されたのが、セット/リセット回数により基準となる抵抗値を読み出し時に動的に変化させ、読み出しエラーを防ぐ「フレキシブルリード」という仕組みだ(図4)。この技術により、エラー発生率は65%の低減ができる。

図4 65%のエラーを排除するフレキシブルリード技術
図4 65%のエラーを排除するフレキシブルリード技術

資料提供:中央大学 竹内研究室

2-2.データと書き込み回数に応じて符合を反転、エラーを防ぐ「AAC」

さらにエラー発生率を低減させる技術が図3中央付近に見える「Adaptive Asymmetric Coding(AAC/適応制御型非対称符合)」だ。ReRAMの特性の1つに、書き込み回数が少ない場合には低抵抗状態のセルでエラーが起こりやすくなり、書き込み回数が多くなると高抵抗状態のセルでエラーが増えるというクセがある。このクセに合わせて、最初のうちは低抵抗状態のセルの数を減らし、使い込むに従って高抵抗状態のセルの数を減らす仕組みでエラーを減らすのがAAC技術だ。使い始めの頃は、いくつかのセルのグループ(セクション)を見て、書き込みデータに0が多けばそのセクションのビットを反転して高抵抗状態のセルを多くする。セクションに1が多ければビット反転をせずそのまま書き込んでやはり高抵抗状態のセルを多くする。やがて書き込み回数が多くなり、エラー発生が高抵抗状態で多くなったら、この逆の制御を行なえば、特性変化によるエラー増大を防ぐことができるという仕組みだ。ビット反転の有無を示すフラグを立てるので容量のオーバヘッドはかかるが、書き込み回数が少ない場合には35%、多い場合には31%のエラー低減が可能だという。

2-3.ECCの強度を必要に応じて変える「Verify Trials Reduction」

さらにもう1つの新技術は、エラー訂正を行うECC(Error Correction Coding/誤り訂正符号化)の強度を、セルの書き込み回数に応じて変化させる技術だ。ECCは強度を高めれば高めるほど大きな性能阻害要因になる。そこで一定強度のECCではなく、エラーが多くなるセルには強く、そうでないセルには弱いECCを適用すれば、ベリファイ回数を低減し、トータルなリセット時間を短縮できて性能が上がる。

これら主に3つの新技術によりReRAMのエラーが80%低減するとともに、書き込み性能は従来の33倍にあたる約500nsが達成された。

今回の発表ではこれらのReRAM制御技術に加え、SSDのRAIDの故障率を98%低減する技術や、1つのメモリセルにメモリの疲弊状態に従って書き込むデータ量を最初は3ビット、状態に従って2ビット、1ビットと変化させる技術も合わせて発表されている。これによりSSDの寿命が22倍延びるという。

2-4.ReRAM搭載SSDが開く未来

ReRAM搭載SSDの用途としては、ビッグデータの保管と解析を行うシステムが筆頭に挙げられよう。従来からDRAMを多数組み込んでメモリ上でリアルタイム解析を行うシステムが使われているが、電源断による影響が懸念されるとともに、ストレージへのデータ保管とアクセスが必要な場合がほとんどなので、SSDを利用するとしてもアクセス速度が問題視されるようになっている。今後は、例えばソーシャルゲームのプレイヤーの嗜好や属性を判断して課金アイテムをレコメンドするシステムや、Web広告の広告枠オークション、自動車の無人自動運転、動画像を利用するSNS、気象予測、廃棄物や欠品をなくす効率的食品流通システムなどのように、高速・大容量のデータ処理が必要なサービスは増えていくはず。ReRAM搭載SSDはそうしたシステムにコスト最適なストレージを提供することになりそうだ。またコンパクト性を生かしたモバイルデバイスへの組込みも有望な用途になろう。


※図版出所:論文番号19.6“Hybrid Storage of ReRAM/TLC NAND Flash with RAID05/6 for Cloud Data Centers”

取材協力 : 中央大学理工学部電気電子情報工学科 竹内健教授

掲載日:2014年7月 2日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2014年4月16日掲載分

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