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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
実装間近!電力系新プロトコル「OpenADR」

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは電力逼迫時の需給調整要求に応えて自動的に電力消費を抑える「自動デマンドレスポンス」のための国際標準プロトコル「OpenADR」。社会貢献の目的を超え、需給調整インセンティブ獲得やネガワット取引、余剰電力の市場売買などこれからの電力コスト最適化対策を考える企業は必見!

1.OpenADRとは

電力需要が供給を上回って停電に!そんな事態を避けるために企業、組織や家庭(電力需要家)で電力事情に応じた節電をしようというのが「デマンドレスポンス(DR)」。東日本大震災後の計画停電の際に暮らしや企業活動に多大な影響が生じた反省から、電力の需給バランスをできるだけ最適化するDRへの取り組みと実証実験が積極的に行われるようになった。これまでのDRは、電力会社から利用量調整の「お願い」が通知された組織が、施設内の空調や照明などの電力を手動で調整して利用抑制をする手法がとられてきた。利用抑制を行うと、電力会社から「インセンティブ」という形で協力金が支払われる仕組みだ。
 しかし電力需要のピークが来る少なくとも1日前には通知を行う必要があり、また需要抑制量が事前に正確に見積もれず、施設や機器者の負担も重くなるという課題があった。そこで通知から実際の節電、結果のとりまとめを自動化し、需要家の都合も考慮しながらできるだけリアルタイムに節電できる仕組みが構築され始めている。この自動DR実現のカギになるのがOpenADRという国際標準だ。
 昨年には自動DRの基本的な仕様を定めたOpenADR 2.0 Profile Aが、今年7月にはさらに多くの仕様を追加した同Profile Bが公表された。Profile Aの公表以来、国内キャリアやシステムベンダがOpenADRをベースに具体的な自動DR実現に取り組む中、この7月にNTTが国内で初めてProfile Aの認証を取得した。他ベンダも含めProfile Bも視野に入れた対応も着々と進められており、今後一層の脚光を浴びることになりそうだ。

1-1.電力利用を自動的に最適化する仕組み

電力利用の自動最適化には電力会社、需要家の負荷配分などの調整を担当する中間業者(アグリゲータ)、需要家の3者が関わる。電力会社がDRを依頼してから節電した需要家が節電分のインセンティブを得るまでの流れを図1に示す。

図1 自動デマンドレスポンスのシーケンス例
図1 自動デマンドレスポンスのシーケンス例

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

電力会社がDRの依頼をアグリゲータに通知する(DR発動)と、それをアグリゲータが契約する需要家(図では家庭だが、企業でも同じ)に通知して、需要家がDRを受諾した場合、需要家施設内の自動化機器が予め決められた節電条件に応じて自動制御され、節電が実施される。電力利用状況は需要家施設内でモニタされ、その情報をアグリゲータ側で吸い上げて集計し、電力会社に報告、報告に基づいて電力会社からアグリゲータへ、アグリゲータから需要家へとインセンティブが支払われることになる。
 ここでアグリゲータと需要家との間でどんな情報(データモデル)をどのようにやり取りするのか(メッセージ交換のための通信プロトコル)を定めたのがOpenADRだ。

1-2.自動DRの実行イメージ

NTTネットワーク基盤技術研究所では実証実験を行うかたわらデモシステムを構築しているので、一例としてDR発動からの具体的な流れを見てみよう。デモシステムの構成は図2に見るとおりだ。

図2 自動DRのデモシステムの構成
図2 自動DRのデモシステムの構成

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

NTTネットワーク基盤技術研究所では自動DRのためのプラットフォーム構築を目標に掲げており、その中核となるのが3種類のサーバ(エンジン)だ。図1のオレンジ色の部分がアグリゲータが保有するシステムだと考えて欲しい。アグリゲーションエンジンは契約需要家のHEMSやBEMSなどの電力管理システム(「関連するキーワード」の項参照)と接続し、常時電力使用状況をモニタしており、電力抑制の可能性や抑制できる量を即座に判断できる体制をとる。そこに電力会社からDR依頼が来ると、需要家ごとに適切な節電量配分を計算してデマンドレスポンスエンジンが各需要家に通知を行う。
 需要家側ではPCやタブレットでリアルタイムにDR発動通知を受け取る(プッシュ配信:図3)。ここでは1件のDR通知が見えるが、通知の回数が多ければここにいくつものDR通知がリストアップされる。
 DR通知リストを見て、電力利用を抑制しても問題ない日時であれば、需要家はDRを受諾する(図4)。

図3 DR通知リスト画面
図3 DR通知リスト画面

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

図4 DR受諾判断操作画面
図4 DR受諾判断操作画面

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

受諾すると、受諾内容の確認画面が表示される(図5)。この画面で注目していただきたいのが「宅内最適化案」という項目だ。アグリゲータはいつもの需要家の電力利用状況の統計を分析して、最もふさわしい節電方法を推奨(レコメンド)する役割も担っている。契約需要家への一律○%節約要求といったおおざっぱな方法ではなく、需要家の設定した節電ポリシーや制御条件、気温や湿度等のセンサ情報、DRで通知される電力価格やインセンティブなども勘案して、最適な節電量と方法を推奨するものだ。また需要家側でレコメンド設定をカスタマイズし、例えば「ある部屋の空調はOFFするが、別の部屋では冷房設定を1℃だけ上げる」「照明の明るさを50%に落とす」、太陽光発電装置や蓄電池がある場合は「蓄電池からの電力供給に切り替える」といった、都合に合わせた節電条件設定も行える。こうしたレコメンドや条件カスタマイズをするのがアグリゲータのレコメンドエンジンだ。

図5 DR受諾後の画面
図5 DR受諾後の画面

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

図6 HEMSサーバとゲートウェイサーバの例
図6 HEMSサーバとゲートウェイサーバの例

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所


図7 DR運用中のフロント画面例
図7 DR運用中のフロント画面例

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

これで需要家の事情を反映したうえで、DR対象日時に最適な節電が行えることになる。制御を担当するのはこの場合は家庭用なのでHEMSサーバだ。HEMSサーバと各機器間はOpenADRではないECHONET Liteやその他の仕様での通信も想定している。家庭用なら図6のようにごくコンパクトな装置を導入するだけで済む。もちろん自動制御機器は対応するものを利用する必要がある。BEMSやMEMS、CEMSといった他の電力管理システムとの連携も、基本的には同様の仕組みで行える。
 また電力使用量の「見える化」が実現するのも自動DRの1つの目玉と言えるだろう。需要家側でもリアルタイムに電力使用状況が把握でき、電気料金が節電によってどう変わるのかも簡単にわかる(図7)。また同図に「今日売った電力量」や「売買」という項目も用意されているのにも注目してほしい。今のところ未対応なのでグレー表示になっているが、電力に余剰が生じたときのネガワット取引や電力市場での売買まで視野に入れてシステムが設計されていることがわかる。

2.OpenADRのこれから

2-1.自動DRとスマートコミュニティ

こうした具体例を見ると、経済産業省が描く「家庭やビル、交通システムをITネットワークでつなげ、地域でエネルギーを有効活用する次世代の社会システム:スマートコミュニティ」というコンセプトが身近に感じられるのではないだろうか。家庭内の自動DRの仕組みはほとんどそのままビルや地域にあてはまりそうだ。自動DR実証実験は、単に電力逼迫時の対応という目的以上に、スマートコミュニティ実現の一翼を担うことに意義がある。
 上述のアグリゲータ用システムはNTTの場合は明確に「スマートコミュニティプラットフォーム」と銘打たれており、外部DRサーバや各種電力管理サービスとの連携を可能にし、複数の電力会社、複数のアグリゲータ、その下で分業するサブアグリゲータ、多数の需要家をクラウド上に柔軟に追加して関係づけることができるインフラとして構築されている。その中でOpenADRは関係先を結ぶための重要な役割を果たす。このようなプラットフォームのコンセプトは家庭や企業という枠を超えて活用可能であり、また参画者のメリットが具体化することにより、スマートコミュニティ実現を促進するきっかけにもなりそうだ。

図8 NTTのスマートコミュニティプラットフォームによる自動DRのイメージ
図8 NTTのスマートコミュニティプラットフォームによる自動DRのイメージ

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

2-2.OpenADR Profile Bで実現?早い者勝ち!儲かるプロトコルでトクする方法

では自動DRプラットフォームによって現在および近未来にどんなメリットがあるのだろうか。  企業にとってメリットの1つは明らかで、電力管理が行き届くことにより、電力利用ピークをカットして電力料金を安くできる可能性がある(本コーナーの「BEMS」など参照)。またそれにプラスしてDRを行うことでインセンティブが手に入り、電力料金の一部が相殺できる。さらに時間帯別電力料金が適用される場合は、電力の安い時間帯への業務シフトなども考えられる。このようにして電力コストを最適化できれば、事業の競争力にも貢献できよう。 情報システム部門はOpenADRを実装したプラットフォームとBEMSなどの ローカル環境との調整を図る大切な役割を果たすことになり、他部門に> 先駆けてコスト面で事業に貢献できる可能性もある。
 今後は「ピーク時間帯の電力料金を高く設定する」「市場取引価格と連動して細かい時間単位で料金が変動する」といった料金制度が実施されるかもしれない。これについても自動DRプラットフォームは効果的に働くだろう。また太陽光などの再生可能エネルギーによる余剰発電電力は電力会社が買取ってくれるが、その計算をアグリゲータにまかせて省力化することもメリットかもしれない。ゆくゆくはその他の自家発電電力の買い取りや節電分の電力市場での売買も具体的なプランとして俎上に載ることも想定されるが、その対応のためにも有効と考えられる。
 ただし、現在実証実験が進行中のOpenADR 2.0 Profile Aは、こうした様々な電力取引のパターンに必要な項目を網羅してはいない。経産省では国内DRの「ユースケース」を表1の7種にまとめている。しかし同省が主にProfile Aをベースにして作成した「デマンドレスポンス・インタフェース仕様書1.0版」(今年5月公表)ではUC-1とUC-4の2ケースだけに絞った内容になっている。これ以外に価格などの電力取引に必要な項目や負荷配分、あるいはさらにきめ細かい制御についての規定はほとんどProfile Bに含まれている。ベンダなどはこれまでProfile Aおよび経産省のDRインタフェース仕様書に基づいて実証実験を進めてきており、一部では上記事例のようにすでにProfile Bの要素を加味したものもある。各社は今後Profile Bの内容に準じて自動DRと電力取引の機能を持ったプラットフォームやシステムの実験や製品化を図っていくものと思われる。今後の動向を注視したい。

表1 経産省による国内DRユースケース
表1 経産省による国内DRユースケース

資料提供:NTTネットワーク基盤技術研究所

取材協力 :NTTネットワーク基盤技術研究所

掲載日:2013年11月13日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2013年09月18日掲載分

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