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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
企業ITの運用思想を変えるBYOXのXとは?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「BYOX」。「BYOD」なら聞いたことがあるけれど「X」って何?実は企業システムの運用思想を「X」が変えてしまうかもしれないのです!

1.「BYOX」とは?

「BYOX」は、モバイルコンピューティングの領域のトレンドである「個人所有の◯◯を業務利用する」ことを指す頭字語。「Bring Your Own "X"」を意味しており、「BYOD」をはじめ同一の性格を持つ各種のITサービスやその利用法、あるいはトレンドそのものを指す。

1-1.「BYO…」の意味は?

今や流行語のようになった「BYOD(Bring Your Own Device)」とは、少しくだいて訳せば「自分の端末を持ってきて!」という意味。一般的な日本語訳は「私物端末の業務利用」いうことになるが、ニュアンスがどうも違う。日本人にはちょっと分かりにくいこの言い方、そもそもはパーティに参加者がお酒を持ち寄る方式を表す「BYOB(Bring Your Own Booze)」からきているのだそうだ。(Boozeはお酒のこと。ほかにBottleまたはBeer、Beverageとされることもある)。
 欧米ではこの言い回しが好まれているようで「BYO……」という形の頭字語が数十種は簡単に見つかる。しかも例えば「BYOL」のLが“Lunch”、“Laptop”、“Liquor”そして“License”などと多様な意味で使われているので、実際には「BYO……」で表す内容は100や200個ではきかないようだ。その中でも特にIT分野、中でも最近のモバイルコンピューティングの特徴である「コンシューマライゼーション」に関連するトレンドや現象について、特に“BYOX”と呼ぶようになった。

図1 BYOXとは
図1 BYOXとは

海外では昨年早くも「BYOX」をアイキャッチに使ったモバイルソリューション関連の国際フォーラムが開催されており、既にモバイル領域でのITキーワードとして一定の市民権を得ているようでもある。とはいえしっかりした定義があるわけではないので、単なるバズワードとしてやがて消え去る可能性は否定できないが、いま企業ITに押し寄せている変化の波をうまく表現できる言葉でもあり、少なくとも当面は使いやすいキーワードとして受け入れられていきそうだ。

1-2.「X」とは何か

「BYOX」 の「X」にあたる言葉はいろいろだ。例えば「Technology」や「Everything」を入れた「BYOT」や「BYOE」という言葉もある。これらはあまりに意味領域が広いので、実際のところ何も意味していないに等しい。中にはBYOL(Bring Your Own License/ユーザ企業がソフトウェアのライセンスを購入した上でクラウド基盤にインストールして利用する形態のこと)のように、きわめて具体的な内容を示すものもある。しかし今注目したいのはITのコンシューマライゼーションに関するトレンドを表すBYOXだ。その中で物理的または論理的に実体があるものを前提にしているものと言えば、おそらく今のところBYODとBYOA、そしてBYOSだけではないだろうか。ここではこの3つに注目して、何を示しているのかを考えてみることにしよう。

「BYOD」の意味とその現状

既によくご存知の方が多いと思うので簡潔に記すが、スマートフォンやメディアタブレットのようなもともとコンシューマ向け端末として開発されている機器を情報システムのユーザが自分で買い、利用料金も払いつつ、従来の企業用PCに替えて、あるいは併用して、企業の業務に利用することを指す。自分のPCを仕事に使うこともBYODの一部に含める考え方もある。
 調査会社のIDC Japanでは2013年1月に国内BYODの利用状況調査(2012年11月実施)の結果を発表した。同社ではBYODの定義を「従業員の私物のモバイルデバイス(スマートフォン、タブレット、PC、携帯電話)を企業、教育機関、官公庁、自治体のシステム、あるいは契約しているクラウドサービスにアクセスして、企業が利用ポリシーに準じて認めた従業員が業務で利用すること」と定義している。一方、ルールや監視体制がない中で勝手に社員が私物端末を使う「シャドーIT」も横行している。IDC Japanでは1ユーザで複数デバイスを使用することを考慮した場合、国内BYOD/シャドーITユーザ数は2011年の192万人から2016年には1265万人まで拡大(年間平均成長率は51.5%)すると予想している。その詳細は図2に見るとおりだ。特に携帯電話とスマートフォンのBYOD/シャドーITが進み、シャドーITはそのうち約6割から8割を占めていると考えられるという。

図2 モバイルデバイス別BYOD利用状況
図2 モバイルデバイス別BYOD利用状況

出典:IDC Japanプレスリリース「2013年 国内BYOD利用実態調査結果を発表」(2013年1月17日)

資料提供:IDC Japan

「BYOA」の意味とその現状

BYOAは「Bring Your Own Application」の頭字語だ。個人所有のアプリケーションの業務利用という意味だ。中でも今問題になっているのがインターネットを利用して提供されている各種のコンシューマ向けオンラインサービスだ。例えば「Dropbox」や「Evernote」、「SugarSync」、「Google Drive」などのサービスは、PC側のフォルダの情報をサービス側のサーバにきわめて簡単にコピーして自由に利用でき、複数のPCやその他の端末を持つユーザがどの端末からでもその情報にアクセス可能だ。しかも一定の利用量までは無料なので人気が高い。利用開始も簡単なので、会社から個人アカウントで利用する人が多いようだ。
 これらオンラインサービスには外部との情報共有機能があり、またデータは暗号化されているとはいえ頻繁に外部と送受信されるため、セキュリティ上、あるいはコンプライアンス上の脅威となりかねない。ITを管理する企業側としては利用を簡単には許可したくないはずだ。しかし実際には規制が難しく、BYODの場合と同様に暗黙の了解、あるいは了解を得ないままに業務利用されている場合が少なくない。
 調査会社ノークリサーチによる2012年6月の調査結果「2012年版 SaaS/クラウド市場の実態と中期予測レポート」によると、年商500億円未満の企業での「個人で無償利用可能なクラウドサービスの業務用途での活用状況」は図2のようになっている。

図3 個人で無償利用可能なクラウドサービスの業務用途での活用状況
図3 個人で無償利用可能なクラウドサービスの業務用途での活用状況

出典:ノークリサーチ「2012年版 SaaS/クラウド市場の実態と中期予測レポート」
(調査実施時期:2012年6月初旬 有効回答件数:1000社)

資料提供:ノークリサーチ

個人向けオンラインサービスが約4割弱の会社で利用されており、年商5億円未満の企業での利用が特に多いことが分かる。また、同調査ではサービス利用の許可状況についても調査しており、その結果は図4のとおりだ。

図4 個人向けでも無償利用可能なクラウドサービスの許可状況
図4 個人向けでも無償利用可能なクラウドサービスの許可状況

出典:ノークリサーチ「2012年版 SaaS/クラウド市場の実態と中期予測レポート」
(調査実施時期:2012年6月初旬 有効回答件数:1000社)

資料提供:ノークリサーチ

「BYOS」の意味とその現状

BYOSは「Bring Your Own Service」の頭字語だ。この「Service」としては、上記のようなオンラインサービスを含むが、ほかにIaaSやPaaSのようなインフラのクラウドサービスも想定されている。安価なIaaSが提供されるようになると、特にITに強い社員は、会社が認めていないアプリケーションを独自の環境で稼働させて、社内の情報をベースにした情報分析やシミュレーションを行って、例えばマーケティング改善の提案をするといった使い方をするかもしれない。プライベートクラウドを所有している企業でもサーバ追加にはワークフローにのっとった許認可が要り、時間がかかるのが常だ。外部のクラウドを安価に利用できれば、時間を節約して生産性の高い仕事ができる可能性がある。具体的な調査などはないが、やろうと思えばいつでもそれが可能な環境ができていることは確かだ。

2.BYOXの課題とこれから

BYOXに共通する課題は、社内の管理体制が追いついていないことだ。しかしだんだん管理のギャップを埋める仕組みは整いつつある。
 モバイルデバイスに関しては、IT資産管理ツールとMDM(モバイル端末管理)ツールによる一元管理や暗号化通信、社内システムへのアクセス時の認証強化など、セキュリティとコンプライアンス強化を向上させるツールやソリューションはまだ完全ではないとはいえ充実してきている。またキャリアによるスマートフォンの「公私分計」や、端末をシンクライアント化して業務利用するソリューションなども提供されるようになり、コストさえかければ安全なBYOD実現は難しくなくなってきている。
 オンラインサービスでは、従来からのコンシューマ向けサービスに加えて企業向けサービスを追加する動きがある。アカウントやアクセス権限、データを一元的に管理し、利用ログをとって事後分析できる機能などを備えるようになってきた。従来からのコンシューマ向けサービスの利便性を維持した上で、企業での活用が図れるものとなってきた。
 こうした企業側での管理強化への取り組みと、サービス自体のセキュリティ強化により、今後はBYOXが更に進展、拡大していくことは間違いない。「BYOX」には、従来からの運用管理の思想とは逆の、ユーザ本位・生産性本位の響きがある。クライアント側のIT運用の思想を切り替え、生産性にフォーカスしたBYOX導入・実現が今後の大きなトレンドになりそうだ。

取材協力 :各種資料からキーマンズネットが作成

掲載日:2013年3月13日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2013年2月6日掲載分

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