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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
急成長が期待される「新世代M2M」とは?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「新世代M2M」の「M2M」は「Machine to Machine」の略語で機器相互間のコミュニケーション技術のこと。昔からあるM2Mが今話題になっているのは、世界規模で市場が急成長しようとしているからです。2010年までは10億ドル規模でずっと横ばいだったM2M通信モジュール市場が、2017年までに約65億ドルに達する右上がりの急カーブを描いて成長しているのです。現在でも十数億のデバイスがネットワーク接続されていますが、10年後には500億個が接続するとも言われます。これを見れば既に「画期」が訪れ「新世代」が到来しているのは確か。日本国内でも2015年度には約3300億円の市場になるという見込みもあります。今回はそんなM2Mと新技術、新利用技術が拓く可能性と課題を紹介しましょう。

1.M2M、「新世代」M2Mとは何か

M2M(Machine to Machine)は、携帯電話会社などの通信キャリアがビジネスの領域を「人間同士のコミュニケーション」から「機械同士のコミュニケーション」へと広げたいという事情から生み出されたキーワードだと言ってよいだろう。そのため今でも通信の側面が強調されることが多いのだが、実際には通信の領域を超えて「何かの現象・事象を検知するセンサ」と「多数のセンサから収集した情報をもとにした機器制御技術」を利用する仕組み全般のことを指すようになってきた。

図1 「新世代M2M」のイメージ
図1 「新世代M2M」のイメージ

資料提供:日本電気


例えば、今春開通した「東京ゲートブリッジ」には多数の加速度計、ひずみ計、温度計、変位計が取り付けられている。これらが「センサ」だ。これらセンサは常時橋の状態をモニタし、情報をネットワークで伝える。その先のサーバには「ビッグデータ」解析システムがあり、橋の異常検出や経年劣化予測、保守計画の策定などに活用されている。また通行する車重や車種の推定、特殊車両情報の把握も可能になっている(NTTデータ公表資料による)。

1-1.従来からのM2Mでは何が行われてきたか

日本では総務省が提唱した「ユビキタスネットワーク社会」の実現の要素として機器間通信のコンセプトが十数年前から語られ、10年ほど前から「M2M」というキーワードが使われ、具体的な事例が語られるようになった。例えばファシリティ管理(ビルの設備管理用の空調、照明、エレベータの稼働管理など)、自動販売機の在庫補給管理やICカード決済、物品やトラックなどの物流管理、防災・災害対策(地震速報や警報システムなど)、防犯・セキュリティ対策、自動車への交通情報配信などのテレマティクス、農産物管理、遠隔健康管理、交通管制など、他領域、他業種をまたがるさまざまな活用例がある。

1-2.「新世代M2M」はどのようなものか

「新世代M2M」に明確な定義はないが、業界横断的なプラットフォームと、ビッグデータの並列・高速分散処理、クラウド環境、最新の無線通信技術やセンサ技術などを組み合わせたサービスととらえることができるだろう。特に大きな変化は、M2Mサービス基盤と呼ばれるプラットフォームが現実に提供され始めていることだ。

M2Mプラットフォームとは

これまでのM2Mシステムは企業ごと、あるいはサービスごとに構築されてきた。その「旧世代」M2Mでは、アプリケーションごとにM2Mプラットフォームが別々に構築され、M2Mデバイスもサービス専用のものが使われるケースが多かった。これは、いわば「垂直型」のシステムだ(図2の左側)。これに対して「新世代」M2Mが目指すのは「水平型」のシステムだ。どんなデバイスからの情報でも、各種のネットワークを経由してM2Mプラットフォームが受け入れる。M2Mプラットフォームは、莫大な量のデータであっても深い分析(ビッグデータ分析)が行える機能と性能を備え、さまざまなアプリケーションがM2Mプラットフォームに蓄積された大量データを思うさまに利活用できるようになる(図2の右側)。

図2 M2Mサービスプラットフォーム構成
図2 M2Mサービスプラットフォーム構成

資料提供:日本電気


M2Mプラットフォームが具体化するにつれ、これまでは業界別、製品領域別にばらばらだった関連業者の間にも、議論と交流の気運が高まっている。「旧世代」M2Mを主導したのが通信キャリアなら、「新世代」M2Mは、プラットフォームを提供するSIerなどのITサービス業者が主に担うと考えられている。

M2Mが「水平型」になるとどんなことが可能になるのか

図2のようにM2Mが「水平型」に移行すると、1つのサービスを構築するために従来ならいちから開発してきた部分のほとんどが、あらかじめ作り込まれ、安定稼働がある程度まで保証される形で使えるようになる。もちろんセンサなどのデバイスも特定サービス専用のものを使う必要がなくなる。こうした利点により、新しいサービスの提供コストは低減する。上記したような各種のM2Mソリューションをより合理化するのはもちろん、未来予測や新しい発見、何らかの変化傾向を敏感に捕捉して、柔軟・迅速・適切に機器を制御するといった、従来のM2Mでは難しかった新サービスも実現しようとしているのだ。 これまでに実現しているいくつかの事例を、次に紹介しよう。

自動車/交通管制
 自動車の位置情報、速度情報、加速度などの情報と渋滞情報をもとにして各自動車に経路情報の提供はもとより、燃費やCO2排出を防ぐための運転上のアドバイスやスコアリングを行ったり、交通量を分散させて渋滞を防いだりする高度なテレマティックスが実現。また、GPSや加速度センサなどのモバイルM2M機能を備え、クラウドからの管理を前提にした運行記録計(デジタコ)が既に販売されており、トラックの安全運行管理に役立てられている。燃費の5~10%向上、動態管理や店着管理の徹底による顧客サービス向上や乗務員/管理者の業務負荷の低減効果も見られる。またユーザ企業の初期投資はデジタコ本体導入だけで済み、1台からでも導入が可能になったのが特徴だ。
海外ファシリティ管理
 海外への工場進出では、工場ばかりでなく物流などに関連する多種の情報(市内情報、工業団地情報、河川情報、港湾情報)のモニタリングも肝心。適切な物流と生産を行うためのさまざまな指令や制御を国内からリモートで行うことが可能になっている。
植物の栽培支援
 稲などの農産物の育成環境や成長状態のモニタを複数のセンサを用いて行い、病気の予察や出穂期・収穫期の予測を行うシステムが実現している。
畜産用の動物の健康状態モニタ
 牛に加速度計(3軸)をつけて、牛の動きを解析し、異常行動、疾病を早期に発見するシステム。牛の歩き方や餌の食べ方をモニタして、4つの疾病を早期発見できるようになった。
健康管理サービス
 体重計や血圧計などの計測機器をネットワークにつなぎ、収集したデータを活用して健康指導や健康管理サービスを行うシステム。SNSとのデータ連携や、自治体や健康保険組合などの健康管理Webサービスと計測データを利用した健康保健指導を組み合わせて情報をより有効に活用する事例が出てきている。
複合機の情報収集とメンテナンスサービスの連携
 米国事例では、マルチベンダの複合機の消耗品や故障などの情報をセンターに集約、各代理店に円滑な消耗品補給や故障対応をしてもらうサービスが実現し、代理店やメーカーへのコールを50%以上回避するなどの効果が出ている。

2.M2M水平統合への道

2-1.「新世代M2M」コンソーシアムと他団体の動向

日本では2010年11月に「新世代M2Mコンソーシアム」が設立され、多様な業界の100社(7月末現在)が参加している。多種多様な技術要素が連携することで、さまざまな業種・業界へのM2Mによるサービスを実現できるとし、M2Mサービス市場活性化と、技術面・サービス両面で企業・個人・大学などが連携・協業するオープンな場を提供するのが目的だ。関連各組織が情報交換することで互いに「気づき」を得ることを最も重視し、5つの情報交換ワーキンググループと、相互接続を技術視点で検討・策定するための相互接続ワーキンググループを作成している。同コンソーシアムでは「1サービスに1システムを作る無駄を止めて、共通できるところは水平統合していく方向で考えるべき」だとしながら「標準化を議論することが目的なのではなく、水平統合ができる部分についての『ガイド』を用意したい」とし、現状の各業界で機能しているM2Mの仕組みを変革するというよりも、徐々に水平統合に向かうべきという考え方のようだ。

図3 M2Mサービスプラットフォーム構成
図3 M2Mサービスプラットフォーム構成

通信事業者やハードウェア事業者、ソフトウェア事業者などの関連する企業が参加し技術面での問題の解決、インターフェースの整合・統一と相互接続試験などにより、新たなM2Mサービス創造に向けた活動を実施

資料提供:新世代M2Mコンソーシアム


一方では国際標準技術仕様策定への動きもある。この7月24日にはM2Mの技術仕様を開発するグローバル組織oneM2M(ワンエムツーエム)が発足した。これには日本の一般社団法人電波産業会(ARIB:Association of Radio Industries and Businesses)と一般社団法人情報通信技術委員会(TTC:Telecommunication Technology Committee)、米国のAlliance for Telecommunications Industry Solutions(ATIS)とTelecommunications Industry Association(TIA)、中国のChina Communications Standards Association(CCSA)、欧州のEuropean Telecommunications Standards Institute(ETSI)、及び韓国のTelecommunications Technology Association(TTA)が参加している。具体的な成果が見えるのはまだ先のことになるだろうが、産業界のニーズがどこまで取り込めるかも含め、今後に注目したい。

2-2.日本のモバイル通信の特殊性がM2M普及の足かせに

なお、M2M普及の課題の1つが機器の低コスト化だが、ほとんどの場合で2.5G、3G、LTEなどの携帯電話の回線を利用しているため、この低価格化がカギになる。音声通話に比べM2M通信は極めて小さな通信量で済むため、同じ料金体系でなくてもよいのではないかという議論が国内外で起きており、今後はキャリアが対応を迫られることになるだろう。
 また海外では書き換え可能なエンベデッドSIM(ESIM)を利用できるが、国内ではできない。この違いは海外用、国内用の別の機器を製造することにもつながり、高コスト化が避けられない。
 それでは無線LAN系の技術はどうかと言えば、WiMAXなどの広域をカバーできる方式を使ったとしても、ある程度エリアが限られてしまうことが問題だ。IEEE802.15.4のようにスマートグリッドやスマートメーターのために作られた使いやすい規格があるが、やはり用途、適用箇所は限られる。
 このような問題がある程度までクリアされるか、適材適所の通信手段の利用を工夫できれば、国内に多数の優れたデバイスメーカーがある日本なればこそのメリットを生かした、「新世代M2M」のますますの発展が図られよう。

2-3.M2Mの未来像は「スマートコミュニティ」

スマートメーターとスマートグリッドが電力の有効利用のために大きな役割を果たしている米国事例に見るように、細かいエネルギー消費計測とそれに基づく供給は、エネルギーの有効活用、コストの削減に結びつく。また太陽光や風力などの再生可能エネルギーの安定供給にもこれは重要だ。同じ考え方は交通システムや市民サービスシステム、個人の家などにも適用が可能だ。
 今までは計測できても分析や利活用の道が限られていた事柄でも、現在はコンピューティングパワーとビッグデータ処理技術などの発展により壁が取り払われている。M2Mの要素技術は現状でほとんど出そろっている。あと一押しで要素技術が適切に組み合わせられ、一段の飛躍と普及が実現しそうだ。これまでに語られてきたさまざまな未来像が、新世代M2Mの発展により続々と具体化していくことが期待される。

取材協力 :新世代M2Mコンソーシアム

掲載日:2012年9月25日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2012年8月22日掲載分

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