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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
補助金で省エネ投資が半分に!「BEMS」とは

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回は、節電、省エネのキーワード「BEMS」。ビルの電力利用状況をきめ細かく管理し、省エネ計画を適正化するための仕組みです。BEMS対応のツールやサービスを導入すると、国から投資の最大1/2の補助金がもらえる(高圧小口契約のビルなどのみ)制度の公募がこの4月から始まり、一気にBEMSへの関心が高まっています。

1. BEMSとは

BEMSは「Building Energy Management System(ビルエネルギーマネジメントシステム)」の略称で、ビルの電力使用量を細かく計測したデータを収集して、電力消費をグラフなどで視覚化し、効率的に電力を使用するためのコントロールが行えるようにする仕組みのことだ。

1-1 BEMSが注目される背景

電力会社や政府から節電が強く呼びかけられている昨今、既に東京電力エリアでは電力料金値上げによる影響が出てきており、他の地域でも今後の電力供給の不安定化やコスト増が危惧されている。電力供給リスクやコスト増に対して従業員の我慢で応えるような「節電の心がけ」対策では限度があり、もっと有効で長期的に安心できる対策が焦眉の課題になってきた。
 企業の生産性を保ちながら電力料金を抑えるための2大施策は、「ピーク電力を抑えること」と「電力の無駄を省く」ことだ。
 ピーク電力の抑制は、料金の基準になる契約電力量を低くすることにつながる。ピーク電力とは、1年の間に最も電力を使った時の電力量のことだ。電力会社は30分間隔で電力消費を測っている。1年間に一度でも契約電力量を超えたら、次の1年は超えた量が契約電力量になる。つまりピーク電力を抑えると、基本料金の上昇を止めることができる。また電力の無駄を省くことは従量料金を削減することにつながる。この節電のイメージを図1に示す。

図1 電力料金を決める「ピーク電力」と消費電力全体のイメージ
図1 電力料金を決める「ピーク電力」と消費電力全体のイメージ

資料提供:環境共創イニシアチブ

無駄を発見したらカットすればよい。しかし実際に無駄かどうかを判断するのは、常時電力使用量をさまざまな視点から分析できるような形でモニタリングしていなければ不可能だ。また、ピークの抑制は、極端なピークが生じないように業務を調整したり、契約電力を超えそうな傾向が見えたら抑制策をとったりといった対応が必要だ。これにもきめ細かい電力使用状況の把握とそれに基づく業務調整が必要だし、リアルタイムに電力使用量が目に見えるような仕組みがいる。

1-2 BEMSの役割

電力使用量の常時モニタと視覚化を行い、必要な場合には管理者の手による消費抑制策や、空調機器の自動制御による自動調整などを可能にするのがBEMSだ。次のような機能を備えるソリューションが、各社から提供されている。

電力の計測機能
 空調、照明、機器などの系統別、あるいは部署やフロア別などで使用電力を計測し、データを保管、分析可能にする機能。
レポート機能/分析機能
  系統軸、日付軸、曜日軸、時間軸、部署やフロア軸などで分析レポートを出力する機能。問題点の発見や対策の立案に利用できる。
ピーク電力の抑制機能
 電力需要をモニタリングして、設定した上限電力に合わせて警報を発したり、機器を制御してピーク電力を自動抑制したりする機能。

これらの機能で、BEMSはビル電力の「見える化」と「制御」とを実現する。このほか、温度・湿度の測定と管理もできるもの、他のビルオートメーション機器との連携をするもの、電力会社の電力供給情報や、電力削減命令に合わせて自動的に電力使用抑制を行う機能を持つものなど、さまざまなソリューションが提供されている。
 大手企業の場合は、そもそも社屋にビルオートメーションを導入しているケースが多く、各系統別やフロア/部屋別などで電力使用量を計測し、ビル設備の自動制御に利用している。一方中堅・中小のオフィスや店舗などでは、設備投資が主にネックになり、細かい電力消費量把握はされてこなかった。
 しかし最近では廉価なクラウドサービスによるBEMSが登場しており、計測器を設置すれば、すぐに細かいデータ収集と管理が行えるようになってきた。中小企業でも十分に導入可能なこうしたサービスのイメージの一例を、図2に示す。ビル内の各電気系統のCT(Current Transformer:変流器=電力計測装置)や制御装置などからの情報を、インターネット経由でクラウドサービスに集め、他の電気関連情報とともに、顧客が使いやすい情報、見やすい情報として提供するようになっている。

図2 クラウドサービスを利用したBEMSの構成イメージの例
図2 クラウドサービスを利用したBEMSの構成イメージの例

資料提供:環境共創イニシアチブ

2.BEMS補助金(エネルギー管理システム導入促進事業費補助金)を使った導入法

現在、BEMSが注目されている大きな理由の1つは、導入に際して国から補助金が出ることになったことだ。経産省が行っている「エネルギー管理システム導入促進事業(BEMS補助金)」がそれで、実施しているのは環境共創イニシアチブ(SII)だ。この補助金制度を利用すれば、BEMS導入の設備投資が最大半分にできる。利用条件などのポイントを次に挙げる。

補助金交付の対象は?

電力会社と50kW~500kWの電力契約をしている高圧小口需要家にかぎる。ただし50kW未満、500kW超の事業者でも、BEMS導入で節電効果が見込まれる場合は対象になることもある。また、ビルのテナントなど直接電力会社と契約していない場合でも、電力消費量の計測を行って条件が合えば対象になる。
 コンビニ1店舗で50kW程度、大きめのスーパーや10~15階建てのビルで500kWの電力契約というのが大ざっぱな目安になろう。全国で50kW~500kWの高圧小口需要家は約77万口にのぼる(ちなみに500kW以上の大口需要家は約5万口、50kW未満の低圧需要家は約7180万口)。

補助金の金額は?

表1のとおり。補助率は1/2と1/3の2通りだ。これは導入するシステム・機器によって異なる。大体、電力使用状況によって電力使用抑制が必要と判断された時、人間が対応のための操作を行うなら補助率1/3、機器が自動的に行うなら補助率1/2というイメージで考えるとよい。

表1 BEMS補助金の補助率
表1 BEMS補助金の補助率

※集合住宅において、共用部分と合わせて専有部分の電力消費量を測定・報告できる場合、上限額を超えてその戸数に応じた補助を行う場合がある。
※補助率1/2は電力消費状況をリアルタイムに把握し、デマンドレスポンスなどの新しいエネルギー管理支援サービスを提供するシステムに適用する。

資料提供:環境共創イニシアチブ

導入の条件

SIIが認定している「BEMSアグリゲータ」が提供する、補助金対象の機器やシステムを建築物に導入すること。また機器やシステムの導入だけでなく、やはりBEMSアグリゲータが提供する「エネルギー管理支援サービス」を1年以上契約する必要がある。
 BEMSアグリゲータは、SIIが定めている資格(例えば1000件または5万kW以上の契約を獲得して適切に遂行できることなど)を満たした21社が採択(6月現在)されている。
 対象機器やシステムについても決まっており、SIIのWebページから資料をダウンロードできる。

申請の仕方

補助金を利用するには、利用するBEMSアグリゲータを通じて申請を行う。アグリゲータがSIIに対して交付申請や完了報告などの手続きを行ってくれる。
 上述の対象機器やシステムの資料から複数のアグリゲータを選び、提案と見積りを依頼するとよい。

注意点

「BEMS対象製品」という謳い文句で宣伝されている商品があるが、BEMS補助金はBEMSアグリゲータを通じて導入する機器やシステムにかぎって出るものなので、混同しないようにしたい。

図3 BEMS補助金の概要
図3 BEMS補助金の概要

※契約電力が50kW未満、500~1000kW未満の場合でも、節電効果が認められる場合対象にすることがある。

資料提供:環境共創イニシアチブ

募集期間

今年4月に受付が始まり2014年3月31日まで事業が続く。6月8日現在で導入申請事業所数はBEMSアグリゲータ全社の合計で463件。一方、目標値は6万5216件(924万1742kW)だ。まだシステム・機器の提供を開始していないアグリゲータもあり、今後申請が増えていくものと思われる。
 省エネ投資を考える時は、この制度のほか、工場などなら「エネルギー使用合理化事業者支援事業」(平成24年度は公募終了、次年度も公募予定)の補助金、BEMSの住宅版であるHEMS(Home EMS)なども検討するとよい。更には蓄電設備や自然エネルギー設備などに関する補助制度もあるので、利用できるものは利用したい。

3.BEMS導入の利点

BEMS導入の意義は、次の3点にまとめられよう。

●使用電力の「見える化」が実現:空調、照明、IT機器などのそれぞれの使用状況がひと目で分かるようなレポートが自動作成できる。フロアや部署による使用状況の違いなども克明に分析すれば、「電力の無駄」の発見につながる。

●ピーク電力の抑制が可能に:設定上限電力に近づいたらアラートを発して、担当者が電力抑制のための措置がとれる。または制御装置を利用して、自動的に電力を抑制することもできる。

●電力の使用計画が可能に:電力使用状況の時間帯別変化、曜日別変化などが分かれば、業務時間のシフトなどによって、できるだけ電力使用量を平準化する工夫が可能になる。例えば空調のスケジュール制御による間欠運転を行うと、高い省エネ効果が得られる。

BEMS導入にはもちろんコストもかかる。とはいえ導入は数十万円程度から可能だ。仮に10%の省エネに役立つとすれば、補助金がなかったとしても投資額の回収にそれほど長い期間はかからない。ベンダの公表情報では、空調で30%以上削減、機器で20%以上削減などといった削減効果事例がいくつもある。

以上、今回は、ビルの電力削減のキーワード「BEMS」を紹介した。IT部門にはいままであまりなじみのなかった領域だが、今後は無視していられない。電力会社では、節電対策に関するインセンティブ(割引)制度や、時間帯別料金などの、電力消費を詳細に管理してコントロールすれば割安になる料金制度を提供し出した。こうした制度にもきめ細かく対応し、上手にコスト削減を図りたい。

取材協力 :一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)

掲載日:2012年8月 8日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2012年7月4日掲載分

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