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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
スマホによるお肌測定基盤サービスとは?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマ、スマホによる「お肌測定基盤サービス」は、これまで専用の機械でしかできなかった肌の状態測定を、スマートフォンで手軽に行えるようにする画期的なサービス。化粧品やスキンケアグッズなどの販売チャンスを広げるだけでなく、ビッグデータの収集と活用を可能にする可能性を秘めています!

1. スマホによる「お肌測定基盤サービス」とは?

図1 肌を測定している様子
図1 肌を測定している様子

スマホのアプリで撮影するだけで手軽に肌の状態を測定できる

今回取り上げる、スマホによる「お肌測定基盤サービス」は、美容、健康といったニーズにセンシング技術とクラウド技術を通じて応えるべく、2010年後半から富士通研究所によって開発が進められてきた技術である。
 従来は店頭などに設置した専用機を用いて専門家によって行うしかなかった肌の状態測定を、スマートフォンのカメラを用いてユーザが手軽に家庭で行えるようにするもので、利用する企業が化粧品やスキンケア商品について、各種キャンペーンや自社サイトサービスへの誘導、商品レコメンデーションのためのツールとして、幅広い活用可能性が期待されている。

2. お肌測定基盤サービスの仕組み

肌の測定において、肌の色は重要な指標の1つだが、単純にスマートフォンのカメラで撮影しただけでは、蛍光灯、白熱灯、太陽光などの照明の違いによって色味が変わってしまうため正確な色の測定は不可能だった。
 そこで、本サービスには日本人の肌色の測定に最適化したカラーパッチ(色補正用ツール)を開発し、撮影した肌の画像を色補正する仕組みが組み込まれた。

4000点の肌色データで色ズレを解消!

カラーパッチには約4000点の日本人の肌色データから、精度の高い補正を行うのに適した4つの基準色が用いられており、撮影画像内の4色の本来の色からのズレ(RGB値)を算出して、これを基に肌の色を補正することで、印刷などで用いられる「色差」という単位にして3以下、という高い精度で肌色を測定することが可能になっている。

図2 カラーパッチ外観
図2 カラーパッチ外観

4つの基準色を対称に配置する工夫がなされている

資料提供:富士通

肌を撮影する円形の開口部の周りに、同心円上に配置された各基準色は、中央に対して点対称となるように配置されており、肌に当たる照明の偏りをキャンセルする工夫が施されている。また、カラーパッチの黒の枠線、十字に配置された白色部により、高いコントラストとシャープな境界線を持たせることで、コントラストに乏しく比較的ピントを合わせにくい肌への正確なピント合わせを実現している。

図3 カラーパッチの基準色部の自動領域抽出技術
図3 カラーパッチの基準色部の自動領域抽出技術

パターン認識技術で基準色領域を抽出

資料提供:富士通

撮影した画像から、各基準色を抽出する処理は、輪郭の検出とパターン認識技術によって自動で実行され、髪の毛などの異物が多少写り込んでも、自動抽出することが可能である。
 本サービスでは、上述した肌の色のほかに、2値化などの画像処理を行うことで、シミと毛穴の目立ち度も測定することが可能になっている。もちろん肌の細部を画像化するためには、一定以上の解像度のカメラを搭載したスマートフォンが必要であり、同じ理由から解像度の低いサブカメラではなく、メインカメラを使用することが前提である。
 撮影した画像から得られる3項目の値を、ユーザに分かりやすい評点・指標へと、目的に応じたかたちへ変換することで、各種サービスに活用することが期待できるわけだ。

図4 3種類の測定項目
図4 3種類の測定項目

肌の色、シミ、毛穴の3つの項目を測定可能
※L*、a*、b*とは、色の表し方の一種。R、G、B値より換算できる

資料提供:富士通

データの活用とビッグデータ

本サービスは、肌測定の基礎技術であり、その応用方法や実際のサービスの有り様については、システム利用企業の創造性に委ねられている。 利用する企業がカラーパッチさえ配布すれば、任意のスマートフォン用アプリを開発してオリジナルなサービスやキャンペーンを展開することが可能であるため、新規顧客の獲得ツールから、既存顧客のロイヤリティ向上サービス、ソーシャルな美容コンテンツやウェブサービスの展開まで、さまざまな可能性が考えられるだろう。

ユーザの肌の色に合わせたファンデーションのリコメンデーションや、メイクアップのバーチャルなシミュレータなども、色の正確な測定があって初めて可能になるソリューションである。
 また、継続的な測定をユーザ自身のモチベーションで行って、スマートフォンを通じてクラウドへとライフログを残すことができる本システムは、昨今注目を集める「ビッグデータの収集と活用」というビジネスニーズにも応えるものだ。
 美容ニーズは、より大きなくくりである健康ニーズへとシームレスにつながるものであり、食事、睡眠、運動といったほかのライフログデータを、より多くのユーザから収集しつつ、気温、日照、天候などの各種データと組み合わせて分析することで、更に多彩なサービスを創出できる可能性を秘めている。

図5 カラーパッチの組み込み例
図5 カラーパッチの組み込み例

図中では「カラーフレーム」と命名

図6 肌測定基盤サービスの活用イメージ
図6 肌測定基盤サービスの活用イメージ

「富士通フォーラム2012」で展示されたサービスの活用イメージ
※画像は技術の想定される活用シーンの一例であり、実際のサービス、製品ではありません

資料提供:富士通

(クリックすると大きな画像が表示されます。)

技術の将来像

本技術は、人間の肌に対象を絞り込んだものだが、技術の将来性を考える上で重要なポイントは、スマートフォンのようなコモディティ化したデバイスを使って、一定以上の精度で画像を用いた測定を可能にする方法の提案でもあることだろう。
 色を正確に測定できることの価値は、肌に限定されるものではない。例えば、車の傷のタッチペイントや家具や床などの補修用カラーなども、正確な色の測定ができれば満足度の高い商品を提供することが可能になる。
 生鮮食品の鮮度チェックや、アボカドや西洋ナシ、バナナなどの食べ頃診断なども、正確な色測定ができればITサービス化することが可能になりそうだ。
 もちろん、肌以外を対象とした測定システムを構築するには、測定したい色の範囲を絞り込んだ専用のカラーチャートの開発が必要であり、今回のシステムを単純に転用して実現するものではない。
 しかし、技術の基本的な仕組みから言えば、複数のカラーチャートを複合的に用いて、プリンタなどの簡易色校正システムを、広い範囲の色を対象に作りこむことも理論上不可能ではないはずだ。

富士通は、富士通研究所で開発した技術を2012年度中にはB to B to Cのサービスソリューションとして、実用化することを目指している。カメラ付き携帯電話の普及が始まった2001年から、とどまることなく進化を続けてきたモバイル機器搭載カメラが、クラウド技術と組み合わせることによって、ビッグデータの入力元センサとして活用できるところまで成熟してきたことは、新しい技術的パラダイムとして、更なる多彩なサービスを生み出す予感を秘めていると言えるだろう。

取材協力 :富士通株式会社

掲載日:2012年7月25日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2012年6月20日掲載分

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