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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
次世代不揮発性メモリ「ReRAM」って何だ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは、DRAMのような高速性をもちながら、フラッシュメモリと同様に通電しなくてもデータが記憶できる次世代メモリ「ReRAM」。このたびメモリセルアレイの試作と検証という難関を越え、実用化に大きく前進しました。今回は、SSDやシステムメモリのあり方を変革するかもしれないReRAMについて、いったいどんなものなのか、ほかの新世代メモリとの違いも含めて理解しましょう。

※今回の記事はエルピーダメモリ株式会社に取材の上構成しております。2012年2月7日の取材時には判明しておりませんでしたが、エルピーダメモリ株式会社は2012年2月27日をもって会社更生法の適用を東京地裁に申請しております。

1.ReRAMとは何か

図1 64Mビットメモリセルアレイのチップ
図1 64Mビットメモリセルアレイのチップ

※動作確認済み

資料提供:エルピーダメモリ

フラッシュメモリのように電源供給がなくてもメモリが保持でき、DRAMのように読み書きが高速、しかも小型化が可能で大容量。それが次世代不揮発性メモリのReRAMだ。「不揮発性」とは、常にメモリに通電していなくても記憶が消えないことを指している。
 ReRAM実用化のための開発競争は国内外で繰り広げられているが、昨年末にエルピーダメモリが他社に先がけて50nm製造プロセスによる64Mビットメモリセルアレイの開発と検証に成功(図1)し、いよいよ実用化に向けて勢いがついた。
 同社によれば数年後には10nmプロセスルールで32Gビットのデバイスが開発できるところまで視野に入っており、ビット単価は現在のSLC NANDフラッシュメモリと同等になるところまで見えてきたとのこと。やがては現在のノートPCやストレージアレイ装置などに組み込まれているフラッシュSSDのキャッシュとしての利用、あるいはSSDそのものの置き換えの可能性がある。またDRAMまでも置き換えて、起動時間ゼロで前回使用状態に即座に復帰できる省電力IT機器に利用できるかもしれない。

DRAMとフラッシュメモリの限界

メモリといえば、今ではコンピュータのメインメモリとして使われているDRAMと、ハードディスク代替やリムーバブル記憶メディアとして利用されているNANDフラッシュメモリが双璧をなしている。ほかの既存メモリは時代遅れになるか、特定用途に利用されるものばかりになった。
 しかし、DRAMとフラッシュメモリは長年の開発競争の結果、物理的に進歩の限界が見えてきた。あと2~3年(1~2世代)もすれば、もう大容量化も高速化も見込めないところにまで到達すると予想されている。これは、従来の「セルに電子がしきい値以上貯まっていたら(電荷の量が大きければ)1、そうでなければ0」といった形で情報を記憶する「電荷蓄積型」のメモリでは、もうこれ以上の進化が望めないということだ。
 それでは次世代のメモリはどんな技術を使えばいいのか。その答えの1つが「状態変化型」のメモリだ。

状態変化型のメモリとは

世の中には、電圧のかけ方で状態が変わり、抵抗値が大きくなったり、小さくなったりする物質がある。それをうまく「1と0」に対応させ、デジタルデータを記録しようというのが状態変化型の不揮発性メモリだ。抵抗値を利用するので、RRAM(Resistance RAM)とも呼ばれている。
 どのような原理を利用するかで、RRAMにも種類がある。ReRAMはそのうちの1つ。実はReRAMの動作原理はまだはっきりと解明されてはいない。それでも何をすればどんなことが起きるのかは分かってきた。図2に示すのが、その動作のイメージだ。

図2 遷移金属酸化物(Ox)を利用したReRAMの動作イメージ
図2 遷移金属酸化物(Ox)を利用したReRAMの動作イメージ

資料提供:エルピーダメモリ

TE、BEが電極だ。TEにプラスの電圧をかけると、電極の間にはさんでいる「遷移金属酸化物(Ox)」という物質に、酸素空孔という、いわば「泡」のようなものが生まれる。これが電気を通す。更に電圧をかけると、TEとBEの間に酸素空孔が連続して、電極間に電気が流れるようになる(低抵抗状態)。以上がフォーミング過程と呼ばれ、初期状態の金属酸化物中にスイッチングする箇所を形成すると同時に、低抵抗状態である「1」がセットされる。フォーミング過程は、ReRAMをメモリとして機能させるために重要な過程である。(図中水色の線)。
 この状態で電圧をかけなければ、ずっとこのままの状態でいられる。書き替えたい時は、反対にBE側にプラスの電気を流してやる。すると酸素空孔に酸素イオンが入り込んで、BEにくっついていた「泡」が消えて、電気が流れなくなる(高抵抗状態)。これで記憶がリセットされて「0」になるというわけだ。
 この図はReRAMの中でもOx RAMと呼ばれる遷移金属酸化物を使う方式を表している。このほか、電極の間にはさむ物質が違うCB-RAM (Conductive Bridging Random Access Memory)方式のReRAMも開発が進んでいる。
 どちらも仕組みはほぼ同様にシンプルなので、回路が簡単になる。そのためメモリセルを3次元に作り込むことができ、よりいっそう高集積化、すなわちコンパクトで大容量化できることになる(図3)。
 なお、製造のプロセスはDRAMの場合とよく似ており、従来のDRAMメーカーの製造技術を活かすことができるため、量産がしやすい点も長所と言える。

図3 ReRAMの3次元積層化による高集積化
図3 ReRAMの3次元積層化による高集積化

資料提供:エルピーダメモリ

2.ほかの不揮発性メモリとの違いは?

なお、抵抗変化を利用するほかの状態変化型不揮発性メモリとして、既に小容量ではあるが実用化されているMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)や、PRAM(Phase Change RAM、PCMとも呼ぶ)などがある。
 MRAMは磁性体の磁化の向きを変化させて「0と1」を記憶する方式。従来のMRAM技術ではメモリセルの微細化に制限があったが、現在では電子のスピンを利用して磁化方向を変えるSTT-RAM(Spin Transfer Torque RAM)と呼ばれる方式が主流となり、コンパクトかつ高速で書き換え回数も十分なメモリとして期待が寄せられている。ただし積層が難しいので、集積度に課題がある。
 PRAMは、物質の結晶相とアモルファス相という2つの状態を「0と1」に当てはめる「相変化型」という記憶の仕方をするメモリ。これも従来から技術開発されてきたが、状態を変化させる(データを書き込む)ために比較的大きな電流が必要になる。微細な製造プロセスルールの回路ではそれに耐えられず、高集積化はなかなか進んでいない。

SSDの1000倍速い!書込みは100万回!

表1に、DRAMとNANDフラッシュメモリと、主な次世代メモリのスペックの比較を示す。

表1 DRAM、NANDフラッシュメモリと次世代メモリの比較
表1 DRAM、NANDフラッシュメモリと次世代メモリの比較

※はビット単位

資料提供:エルピーダメモリ

ポイントは、書き込み速度と書き換え回数、そして「セルファクター(Fの2乗が単位)」だ。特に書き込み速度はビットあたりで最速なら10ナノ秒(ns)。NANDフラッシュメモリの場合は10マイクロ秒(μs)なので、1000倍の速さが実現する。また、書き替え可能回数は約100万回で、これはNANDフラッ シュメモリの10倍にあたる。ReRAMは、常時通電していなくてもDRAMにかなり近い速度で動作することができ、NANDフラッシュメモリよりも ずっと多くの書き替えが行えるというわけだ。また、セルファクターは数値が小さいほどコンパクトにできることを示しており、高集積化の目安の1つになる。MRAMはSTT-RAM化によりコンパクト化したとはいえ、セルファクターはReRAMよりも大きい点にも注意しておこう。

3.当面の期待される用途と将来の用途

以上のような特徴をもったReRAMは、現在のコンピュータで行われているメモリの階層的な適用の仕組みを変えてしまう可能性をもっている。

ユニバーサルメモリになる可能性

現在のコンピュータでは、メモリは特徴によってそれぞれの役割を担うよう、使い分けられている。使い分けのカギとなる条件は速度だ。最も速いSRAMがCPUのL1/L2キャッシュに使われ、次に速いDRAMがメインメモリに使われている。その次が、補助記憶装置としてのフラッシュSSD、同様の使い道だが少し遅いのがHDDという構成になる。
 ReRAMはDRAMに近い速度で動作する一方、フラッシュメモリと同じ不揮発性と、それに近い大容量を実現できる。複数の種類のメモリを階層的に利用するより、1種類ですべてまかなえれば、そのほうが便利だ。これをユニバーサルメモリといい、IT機器のメーカーにとっては理想のメモリになるはずだ。ReRAMは、その理想に近づく一歩になりうる。

当面はSSDのキャッシュとして実用化?

とはいえ、まだ大容量化は始まったばかり。当面の役割は限られる。現在、期待されているのは、NANDフラッシュメモリの速度とDRAMの速度の差を埋める、キャッシュとしての働きだ。フラッシュSSDは、書き込みに時間がかかる。特に多くの容量を使用したあとのSSDでは、方式上の課題から速度が極端に遅くなる場合がある。それがコンピュータの処理速度のネックになることがないように、ReRAMが間に入って一時的にデータをキャッシングする仕組みだ。次世代のSSDの一部として、フラッシュメモリと組み合わせた製品が実現しそうだ。

DRAM代替で起動時間ゼロのIT機器が実現

もう1つの方向として、DRAMの代替も視野に入る。DRAMの高速性には追いつけないかもしれないが、それほど速度は必要なくとも不揮発性である利点が活かせる機器に適用できるだろう。例えば、待機電力を使わずに、電源ON後すぐに最後の利用状態に復帰する省電力モバイル端末などだ。

ノートPCやメディアタブレットへの適用

今後の技術開発によって、ReRAMは更に大容量でコンパクト、省電力、高速なものに進歩していく。やがてメディアタブレットやウルトラブックPCのような薄型・小型PCのSSDとしてReRAMが利用される時代がくるかもしれない。それを狙った実用化のための技術開発が今後続くことは間違いない。

以上今回は、50nmプロセスのメモリセルアレイ開発成功で話題のReRAMについて紹介した。ReRAMメモリセルアレイの開発は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構とエルピーダメモリの共同研究事業であり、シャープ株式会社、独立行政法人産業技術総合研究所、東京大学との共同実施事業だ。純日本製実用次世代メモリ誕生の期待もかかる。開発動向には今後も注目していきたい。

取材協力 :エルピーダメモリ株式会社

掲載日:2012年4月11日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2012年3月7日掲載分

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