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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「クラウドコントローラ」って何だ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「クラウドコントローラ」。様々な「クラウド」サービスをどう管理したらいいのか悩むあなたに朗報かも!?

1.「クラウドコントローラ」とは何か

「クラウドコントローラ」とは、複数のクラウドサービスの運用管理を統合的に行えるようにする、個々のサービスとは独立した運用管理用ソフトウェアのことだ。手元のPCからの簡単な操作で、プライベートクラウドやパブリッククラウドの仮想サーバの作成や削除、OSやミドルウェア、アプリケーションの自動導入などの運用管理作業が行え、クラウド同士のデータ連携・システム連携も可能にする。
 運用管理用のツールというと難しそうに聞こえるが、実は難しいことを簡単にするための道具。「コントローラ」という名前のとおり、例えば家庭のテレビで使う録画デッキのリモコン装置のようなものと考えればよい。録画デッキのリモコンは、テレビとデッキの機能を利用して、録画予約や録画容量の管理などの複雑な処理を、画面表示を選ぶだけの簡単操作で済ませてくれる。ユーザは背後でどんな処理が行われているのか意識せずに、思いどおりの働きをさせられる。時には他メーカーのテレビも同じリモコンで操作できる。
 クラウドコントローラも同様に、いちいち設定、命令していると複雑になってしまう処理を、分かりやすく、スピーディに、間違いなく行ってくれる。操作対象は、複数のパブリッククラウドサービスや社内のプライベートクラウドサービスだ。クラウドサービスの運用管理はそれぞれ独自の方法が使われるが、その違いを吸収して、管理用PC(これがリモコン装置にあたる)によって統合的に管理できる。同じ画面で、同じ操作で、対応する様々なクラウドサービスをコントロールできるところがポイントだ(図1)。

図1 クラウドコントローラのイメージ
図1 クラウドコントローラのイメージ

2.クラウドコントローラが求められる理由は?

インフラ領域のクラウドサービスにはもともと運用管理機能が備わっているのに、なぜこうしたツールを追加する必要があるのだろうか。それには大きく分ければ次の4つの理由がある。

(1)動きの激しいビジネスの要求に、ITインフラをすばやく対応させたい。
 クラウドサービスは短時間でITリソースを適切に変更できるのが特長だが、そのための設定に手間どってしまうようでは困る。クラウドコントローラを使えば、単純にサーバをスケールアウトやスケールアップすることはもちろん、OSやミドルウェア、アプリケーションを目的ごとにパターン化して登録(テンプレート化)し、「Webサーバにはこのパターン、あるアプリケーションサービスにはこのパターン」というように、目的に合わせて間違いなく仮想サーバをキッティングした状態で作成し、すぐに稼働させることができる。つまり標準化されたコンポーネントを自動的に組み合わせることで、迅速にIT環境が構築できる。
(2)ビジネスに直接関わらないインフラ部分に人的資源をかけたくない。
 インフラの運用管理専門技術者はもともと数少ない。その技術者の負担はなるべく少なくしたい。また開発環境の構築などはプロジェクト担当者である開発技術者などの手で行えるようにしたい。分かりやすいGUIと、自動化されたコントロール機能を持つクラウドコントローラなら、インフラ領域にあまり経験のない技術者でも、誤りなく運用管理できる。コストを増加させることなく、人的ミスを防ぐことが可能だ。
(3)プライベート/パブリックを問わず、複数のクラウドサービスを統合的に管理したい。
 提供する業者が異なり、運用管理の方法が違っている場合でも、違いを吸収して同じ操作性で管理できるようになる(透過的な管理)。特にプライベートクラウドとパブリッククラウドを併用したい場合には、運用管理の手間を大きく減らすことにつながる。
 システムのクラウド化を目指してはいても、実際にシステム全体をパブリッククラウドに移行できる企業はそう多くない。そこでクラウドコントローラを使うと、社内の既存システムやプライベートクラウドのシステムを、パブリッククラウドによるシステムと容易に連携させることができるようになる。例えばプライベートクラウドの負荷が高くなったら、一部のサーバをパブリッククラウドに移行してパフォーマンスや可用性を維持するといった使い方もできる。統合的に複数のクラウドを管理してこそ、コストを抑えながら業務効率やサービスレベルをコントロールすることが可能になる。
(4)クラウドサービスのリプレースを容易にしたい。
 クラウドサービスは続々と登場しており、後発のサービスほどコストパフォーマンスに優れる傾向も見られる。やがて古くからのサービスでもバージョンアップが行われていくだろう。クラウドサービスを利用していても、次のシステム見直しのタイミングで、現状とは異なるサービスが最適だと判断される可能性はかなり高い。その際に、簡単にシステムを移行できる仕組みがあるとよい。クラウドコントローラはもともと複数のクラウドサービスを管理するものなので、サービスの移行の際にも活用できるだろう。
 ユーザ企業の中には、将来のコスト効果を念頭に置き、最初からリプレースを容易にすることを目的にクラウドコントローラ開発を目指す企業もある。リクルート社もその1つだ。実際の取り組みについてキーマンズネットが担当者にインタビューしている(記事バックナンバー)ので、一読をおすすめする。

3.クラウドコントローラの実際

 では、更にクラウドコントローラを具体的に見ていこう。図2は、市販されているクラウドコントローラの画面例だ。
 この例ではWebサーバとしてApacheが、アプリケーションサーバとしてTomcatが、DBサーバとしてMySQLがテンプレート化されている。運用管理担当者は、画面からこれらのテンプレートを選び、台数を入力し、ホスト名を設定、更にディスク容量などを設定する。
 その上で、自社のプライベートクラウドと、外部のパブリッククラウドが複数並んだメニューから、どれを使うかを選ぶことができる(図3)。

図2 クラウドコントローラの画面例
図2 クラウドコントローラの画面例

資料提供:SCSK

(クリックすると大きな画像が表示されます。)

図3 クラウドサービス選択画面例
図3 クラウドサービス選択画面例

資料提供:SCSK

(クリックすると大きな画像が表示されます。)


図4 作成したサーバの稼働状況確認画面
図4 作成したサーバの稼働状況確認画面

資料提供:SCSK

(クリックすると大きな画像が表示されます。)

1つの仮想サーバに1つのテンプレートを適用することもできれば、例えばWebサーバをアプリケーションサーバに相乗りさせることもできる。冗長化してフェイルオーバー可能にしたり、サーバをスケールアウトしロードバランサを追加して負荷分散したりすることも簡単だ。更に、DBサーバはプライベートクラウド内に、Webサーバやアプリケーションサーバはパブリッククラウド内に作成するといった、クラウドの使い分けも設定できる。
 サーバを拡張するのに必要な操作はほとんどがメニューを「選ぶ」作業だけだ。あとは数分待っていればよい。画面に起動中のマークが表示されたら、仮想サーバが起動したということ。開発部門や業務部門がすぐに利用開始できる。稼働状況はコントローラ上で監視可能だ(図4)。またこれら操作によって加わった変更情報は、すぐさま監視ツールにもたらされるので、システムの構成管理・変更管理、障害モニタなどにも反映可能。ログ情報も記録される。


 図5は、このようにして運用できるハイブリッドクラウドのイメージの一例だ。図の左端がクラウドコントローラにあたる。プライベートクラウドとパブリッククラウドとは、クラウドコントローラを介してデータ連携あるいはシステム連携を実現している。

図5 ハイブリッドクラウドのシステム構成例
図1 クラウドコントローラのイメージ

資料提供:SCSK

4.クラウドコントローラの今後

クラウドコントローラの利用価値はお分かりいただけただろうか。現在では、上で図を引用させてもらったSCSKのPrimeCloud Controllerのほか、IBMのCloudBurst、HPのCloud Service Automation、海外のRightScaleやCloudkick(昨年Rackspaceに統合)などの市販ツールや、オープンソースのWakameなどが注目されている。また仮想マシン起動・停止やテンプレート管理などIaaS構築にフォーカスしたオープンソースのOpenStack、シトリックスのCloudStackは、主にデータセンタ事業者などサービス提供側で関心が高まっているようだ。
 それぞれに対象とする領域や対応するクラウドサービスが異なる場合があり、制御の考え方にも差があるので、自社のニーズに沿うかどうかは慎重に選ぶ必要があるだろう。
 これからどんどん進化していくツールなので、技術や製品の動向を注視しておきたい。例えばクラウドサービス側からAPIが公開されるかどうかだ。現在はAmazon EC2など一部のクラウドサービスが公開しているだけだが、今後はほかのサービスが独自あるいはAmazon EC2準拠のAPIを提供することが見込まれる。また各APIの違いを吸収する「メタクラウドAPI」を作成する取り組みも数年前から続いている。
 また、サーバテンプレートの品揃えにも注目したい。クラウドベンダ側でテンプレートを各種用意している。またベンダやSIerに開発を依頼したり自社開発したりすることも可能なので、検討してみるとよいだろう。

以上、今回は複数のクラウドサービスの利用や「乗り換え」にも役立つクラウドコントローラについて概略を紹介した。クラウドコントローラを導入したソフト開発企業では、開発環境の維持コストの33%削減を実現したところもある。プロジェクトごとにサーバの起ち上げや削除が必要になるようなビジネスにはIaaSはうってつけだ。技術者がインフラの詳細知識を持たなくともIT環境運用管理が行えるクラウドコントローラは、今後よりいっそう注目されることになるだろう。

取材協力 :SCSK

掲載日:2012年2月15日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2012年1月11日掲載分

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