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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「超高速無線通信」って何だ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「超高速無線通信」。これが実用化されると、もう無線か有線かだなんて気にすることなく大容量のデータを自由に送受信できるようになる!?

1.「超高速無線通信」とは?

「超高速無線通信」とは、100Gbpsを目指して研究開発が進められている新世代の無線伝送技術のこと。2011年8月、情報通信研究機構(NICT)が大阪大学と共同で行った無線伝送実験で、“40Gbps”の高速通信に成功した。これは電波によるデータ通信としては世界最高速であり、現在市販されている無線LAN製品の約130倍の速さだ。

新世代を担う無線技術の研究分野には、消費電力の削減にフォーカスした研究や信頼性の向上にフォーカスした研究などがあるが、本稿では今回のNICTによる無線伝送実験に代表される高速性にフォーカスした無線技術のことを「超高速無線通信」と呼んでいる。

超高速無線通信の必要性

最近はモバイルPCだけでなくスマートフォンやタブレット端末も急速に普及しており、こうした最新のモバイル端末では大容量データをやりとりしたいという機会が増えている。その結果、無線環境でも有線並みの高速通信環境のニーズは高まるばかりである。しかし、現状はどうだろうか。有線によるブロードバンド接続の代表選手といえば光ファイバ通信だが、光ファイバでは既に10Gbpsのネットワーク環境が実用化されている。これに対し、無線通信では最新の無線 LAN規格「IEEE 802.11n」を使っても0.3Gbps(300Mbps)程度の伝送速度にとどまっている。

そのため、ユーザが最新の情報端末を手に入れたとしても、現状では、有線でデータ通信を行っているのか、無線でデータ通信を行っているのか、常に意識しながらコミュニケーション操作を行っていかなければならず、利便性が損なわれている。

本来なら、無線通信か有線通信かを意識せずに、自由に情報端末を活用できるというのが理想だ。この理想の姿に少しでも近づくためには、無線通信の高速化を図り、光通信との速度差を縮める必要があるというわけだ。

2.「超高速無線通信」の仕組み

今回、40Gbpsという世界最高速の無線伝送実験に成功した「超高速無線通信」では、携帯電話や無線LANなどで混雑する「マイクロ波帯」を避け、より高速伝送に適している「ミリ波帯」という新たな周波数帯域を使って技術開発が進められた(図1)。

図1 周波数帯と電波の利用イメージ
図1 周波数帯と電波の利用イメージ

資料提供:NICT

ここで、データ通信の高速化アプローチを考えると、伝送速度の高速化には、(1)信号の変化を速くする、(2)より複雑な信号形式(変調方式)を使う、という2つの方向性がある。(1)では高速性、(2)では高い精度、がそれぞれ求められる。これまでの無線通信では、限られた電波資源で、より多くの情報伝送ができることから、(2)の方向性である複雑な変調方式が使われてきた。

一方、光ファイバによる有線通信の場合、これまでは(1)の方向性が中心で、(2)に関しては単純な変調方式が使われてきた。しかし、光ファイバ通信においても利用可能な光周波数資源に限界が見えてきたことから、最近では複雑な変調方式の研究も進められるようになってきた。そこで、今回の実験では、光ファイバ通信向けに開発された複雑な変調技術を無線通信に適用し、高速性と高い精度を両立することで、伝送速度の高速化を実現したのである(図2)。

図2 世界最高速の無線実験
図2 世界最高速の無線実験

資料提供:NICT

もう少し詳しく説明すると、今回の無線伝送実験では、光変調・信号処理によりミリ波信号を発生させ、オシロスコープを使ったデジタル信号処理でミリ波信号から「0」、「1」のデジタル信号を取り出している。実験システムは、NICTがこれまでに開発した「光によるミリ波発生装置」と「高速高精度16値光変調器」、そして今回新たに開発した「光・ミリ波変換器」、更に大阪大学が開発した「デジタル信号処理技術」から構成されている。「光によるミリ波発生装置」とは、20GHzから120GHzまでの極めて広い周波数範囲の高速信号を、高精度を確保しながら安定して発生させることが可能な装置のこと。また、図2のQAM(直交振幅変調)とは、光をベクトル的に制御することで、1度に複数ビットの伝送を可能にする技術のことで、無線技術分野では広く用いられている変調方式だ。

使用した周波数は90GHz、出力は100マイクロW、送受信に使用したアンテナはホーン型アンテナ、送受信の距離は30mmであった。通信距離についてはアンテナの指向性や利得、そして送信出力に大きく左右されるが、例えば5W出力なら1km程度は十分届くという。

3.「超高速無線通信」が実現する近未来スタイル

今回の無線伝送実験で達成できたこの速度は、これまでの伝送実験最高記録(27Gbps)を大きく超えるものであり、最新の無線LANの約130倍もの速さになる。この技術が実用化された場合、次のようなメリットを享受できる(図3)。

図3 超高速無線通信の将来イメージ
図3 超高速無線通信の将来イメージ

デジタルコヒーレントとは、光の振幅と位相の2つの情報を使用して複雑な変調方式で送受信する次世代の光伝送技術のこと。光変調信号をミリ波帯の信号として取り出しこれをデジタル信号処理することによって復調する。

資料提供:NICT

スマートフォンなどの携帯端末に音楽や動画を手軽にダウンロードできる!

例えば、携帯音楽プレーヤーのメモリ(容量32Gバイト)を、従来の無線LAN(IEEE 802.11n)で転送するには約14分(850秒)かかるが、40Gbpsの伝送速度があれば、わずか6秒程度に短縮できる。また、デジタルカメラやデジタルビデオカメラに撮りためた高解像度の写真やハイビジョンムービーなどをケーブル接続することなくワイヤレスで瞬時にPCに転送でき、スーパーハイビジョンの非圧縮伝送も可能だ。

タッチするだけで各種コンテンツをゲットできる!

ストリーミング配信で楽しむだけでなく、ダウンロード配信でも手軽にマルチメディアを取り込むことができるようになる。例えば、コンビニなどに設置されている情報キオスクから、Suicaのように1秒タッチするだけで楽曲などのコンテンツを瞬時に携帯端末に取り込むことができるようになる。

災害発生時の通信回線の確保に役立つ!

災害発生などにより光ファイバ回線が遮断された場合、移動無線車などで現地に駆け付けて通信回線を確保することができる。現在も既にマイクロ波による移動無線車は実用化されているが、超高速無線通信が実用化されれば、1つの無線通信回線で更に多くの同時アクセスユーザ数を許容できるようになる。

社内アクセスと社外からのモバイルアクセスの違いを意識しないで済む!

社内LANに有線でつながっている場合なら、大容量ファイルでも気にすることなくダウンロード/アップロードできるが、無線でつながっている場合には転送時間に配慮する必要がある。しかし、超高速無線通信が実用化されると、有線か無線かどうかを意識することなく、自由なデータ通信が可能になる。

電波資源の有効利用に役立つ

超高速無線通信では利用の少ない「ミリ波帯」を使うことになるので、限られた電波資源の有効利用にも大きく貢献できる。

取材協力 :独立行政法人情報通信研究機構

掲載日:2011年12月14日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2011年11月2日 掲載分

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