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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「腕タップ」ってなんだ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「腕タップ」。近い将来、音楽を聞きながらジョギングやマラソンしている人は、時々腕を軽く叩きながら走るのが当たり前になる!?

1.「腕タップ」とは?

腕タップとは、腕輪型の新しいユーザインターフェース(UI)システムのこと。これを開発した日本電気では「ArmKeypad」と呼んでいるが、本稿では「腕タップ」と呼ぶことにする。腕タップは両手首に加速度センサを取り付け、腕の上部や下部などをタップした(軽く叩いた)際の各センサの加速度データから叩いた位置を特定することで、腕を操作ボタンとして利用する技術だ。
 文章だけでは今ひとつピンとこないので、腕タップに関する実際の適用例を図1に紹介しよう。これは、「ランニング中のミュージックプレーヤ操作」に腕タップを導入した例だ。左腕の上部を叩くと「音量アップ」、その下を叩くと「ミュート」、さらに下(手首の上)を叩くと「音量ダウン」、両手を叩くと「曲の再生」の操作ができるようになっている。この適用例では、両腕の上腕、前腕上部、前腕下部へのタップと、手を叩く動作の計7通りの操作が可能だ。

図1 腕タップ(ArmKeypad)とは?
図1 腕タップ(ArmKeypad)とは?

資料提供:日本電気

腕タップの特長をまとめると以下のようになる。

腕輪型で携帯性を維持しながら、入力操作領域を腕上に拡大できる。操作領域として腕をどこまで細かく区分できるかといえば1区分あたり10cm程度。

ユーザ本人の身体を使うので、触感覚による入力位置の確認が可能。従って、暗闇の中でも機器の操作ができるようになる。

操作が簡単なので、操作法を覚える負担が少ない。従って、ITリテラシーに左右されることなく機器を操作できるようになる。

無意識に行った動作により機器が誤作動する危険性が少ない。ジェスチャー操作の場合、虫を追い払う仕草が誤作動を招く可能性がある。

2.「腕タップ」の仕組み

腕タップは、ユーザの両手首に取り付けられた加速度センサにより検出される加速度の大きさが、タップした腕の位置から両手首の加速度センサまでの距離によって変わることを利用して、タップ位置を特定し、位置ごとに割り当てた操作命令に基づいて機器を操作している。
 腕タップは、検出装置であるハードウェアと、識別処理を行うソフトウェアから構成されている。

2-1 ハードウェア構成

図2 ハードウェア構成
図2 ハードウェア構成

資料提供:日本電気

タップ位置の検出には、両手首の加速度センサが使用されている。加速度データはBluetoothでPCに送られ、PC上でほぼリアルタイムにタップ位置の識別処理が行われる(図2)。PCの基本性能としては特にハイスペックなものは必要なく、携帯電話やスマートフォンでも十分処理することが可能だ。

2-2 ソフトウェア構成(タップの識別方法)

PC上のソフトウェアでは、まず、どちらの手を使ってタップしたかを特定するために、加速度の向きに関するデータを使用して識別処理を行っている。図3(上)に示すように、タップしたほうの手は+方向(手の甲方向)に、タップされたほうの手は-方向(掌方向)に衝撃が変動するので、衝撃方向の組合せを調べれば、タップしたほうの手を特定できる。つまり、手の甲側の向きであるZ 軸方向加速度の値が+を示す手がタップしている側の手となる。また、両方が+となる時には掌同士のタップ動作であることが分かる。
 次に、腕上の3 箇所の部位を識別するには、タップ衝撃が検出された時刻を中心に0.1s間の衝撃波形を識別用データとして用いる。タップの衝撃は腕を伝達して両手首のセンサで検出されるが、タップされる側の腕では、タップ位置から手首までの伝達経路長の違いにより検出される衝撃強度が異なることになる(図3(下)参照)。従って、この検出された衝撃強度とタップ位置とを対応付けることでタップ位置を識別できる。

図3 タップの識別方法
図3 タップの識別方法

資料提供:日本電気

なお、検出された衝撃強度とタップ位置との対応付けを行うために、事前にタップ衝撃強度とタップ位置との関係をあらかじめデータベースに蓄積しておく必要がある。ただし、このデータベース作成のために、ユーザごとにキャリブレーション処理を行う必要はない。1つの標準データベースを用意し、それを共有して使っても高い精度(入力正答率として92.9%~99.4%)を維持できることが実験から明らかになっているからだ。

3.「腕タップ」の適用分野

本稿の冒頭で紹介した「ランニング中のミュージックプレーヤ操作」のような分野では、図4に示す利用法が考えられている。スポーツやヘルスケアなど、体を動かしながら機器も操作したいときにとても便利なUIというわけだ。
 また、携帯電話のUIとして利用すれば、カバンの中から携帯電話を取り出すことなく、音楽プレーヤー機能操作や着信音停止操作を行うことができるようになる。
 さらに、ウェアラブルコンピュータのディスプレイ装置として注目されているHMD(ヘッドマウントディスプレイ)のような視界が狭い状況で機器の操作を行いたい場合や、ゴーグルや手袋などを付けた状況(スキー中や危険な場所)での機器操作にも腕タップが活躍するはずだ。
 このほか、ゲームや玩具の世界でもさまざまな応用が考えられるだろう。例えば、複数の人の腕をタップすることで得点になるようなスポーツ感覚のゲームや楽器演奏の入力デバイスとして活用しても面白い。日本電気によると、現在の腕タップは加速度センサを両腕に装着する必要があるが、今後は片腕装着での位置識別にも取り組みながら、実用化を目指すという。

図4 想定利用シーン
図4 想定利用シーン

資料提供:日本電気

取材協力 :日本電気株式会社

掲載日:2011年8月10日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2011年7月6日掲載分

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