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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「赤外線暗視カラー撮像技術」ってなんだ!?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「赤外線暗視カラー撮像技術」は、これまで擬似カラーやモノクロでしか撮影できなかった暗闇での赤外線カメラの映像を、カラー化する革新的な技術。防犯カメラなどの映像の情報量を飛躍的に向上させることができるほか、夜間の野生動物の観察など幅広い分野での活用が期待される最新映像技術です!

1.「赤外線暗視カラー撮像技術」とは?

独立行政法人 産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門ナノシステム計測グループの永宗 靖 主任研究員が開発した、まったく新しい原理による暗視カラー撮像技術が「赤外線暗視カラー撮像技術」である。

図1 暗視カラー撮像技術の暗視撮像例
図1 暗視カラー撮像技術の暗視撮像例

(a)従来の映像(b)今回開発された技術による映像

資料提供:産業技術総合研究所

上の写真を見ても明らかなように、従来の赤外線を利用した暗視カメラの映像はモノクロの単色でしか表現できなかったが、今回開発された技術を用いると、可視光線の照明下に近いカラー映像で撮影できるようになる。
 被写体は、左から、赤、緑、青のイーサネットコネクタキャップ、赤色のジョンソン端子、緑色のバナナジャックとなっているが、それぞれの色が再現されているだけでなく、金属部分の光沢も再現され、視認性が飛躍的に向上していることがわかる。

1-1 カラー撮影を可能にした技術

今回開発された技術は、真っ暗な場所に置かれた被写体に赤外線を照射し、反射した赤外線を独自の「高感度赤外線撮像技術」および「高速画像処理技術」により解析し、可視光下での被写体の色に近いカラー映像をリアルタイムで撮影できるものだ。

図2 可視光下における被写体との比較
図2 可視光下における被写体との比較

左が蛍光灯下の映像、右が今回の技術による暗視映像

資料提供:産業技術総合研究所

産総研が長年取り組んできた高感度光検出素子や高感度撮像技術を活用し、赤外線撮像装置の新たな動作原理と信号処理法を開発することで、赤外線によるカラー撮影は実現された。
 被写体の色彩については、白色光をあてた際の可視光線の波長ごとの反射率で決まるため、可視光線を含まない赤外線のみから色彩を再現するのは不可能だと考えられてきた。一定の範囲の波長しか含まない場合の見え方の例として、トンネルなどに多用される低圧ナトリウムランプの黄色の光がある。トンネル内に入ると急に色彩が消失して洋服の柄などがモノクロームに見える体験は、多くの方に憶えがあるのでないだろうか。
 一方、今回の技術は、これまで色情報を含まないと考えられていたモノクロの赤外線画像をカラー化し物体の色を再現した点にその新規性がある。現時点で、色を判別できる距離には30センチ程度という制限があるが、赤外線光源の強化やレンズの大型化を行えば、判別距離は伸ばすことが可能で、物理的な限界は特に存在しないという。
 本来であればここで、動作原理を図解したいところなのだが、本技術は2011年3月に開催された「プリンタブルエレクトロニクス 2011」にて発表するやいなや、多方面からのオファーが殺到している状態で、ビジネス的な側面から動作原理はほぼ完全な非公開情報となっており、本稿でご紹介することはできなかった。
 動作原理が非公開状態になるほどの新技術は、本コーナーでも滅多にない。そうした意味で、既存技術のブラッシュアップや組み合わせで開発された新技術ではなく、画期的な発明によって生まれた全く新しい技術、すなわち新発明であることが伺える。

2.技術の活用範囲と将来像

次の画像は、暗闇における手のひらの上の緑色のバナナジャック、青色のイーサネットコネクタキャップの撮像例である。

図3 暗闇時の撮像例
図3 暗闇時の撮像例

肌色もよく再現されている。

資料提供:産業技術総合研究所

人間の肌色もよく再現されているのを見てもわかるように、従来のモノクロの暗視カメラの映像よりも、はるかに多くの情報量を持った映像が得られている。
 防犯カメラの映像から、犯人の帽子やカバン、着衣の色などがわかれば、犯罪検挙率の向上につながるのはもちろん、こうした監視カメラを見続ける管理人などの負担を軽減でき、より直観的な映像が得られるため、監視精度の向上も期待できるだろう。また、夜間の動物観察、車載用アシストカメラなど、さまざまな分野への応用も期待されている。
 本技術は、今後、産総研技術移転ベンチャーである株式会社ナノルクス研究所へと移転され、撮像装置の高性能化、高耐久性化、小型化をはかり、実用化が進められる予定である。


取材協力 : 独立行政法人 産業技術総合研究所、株式会社ナノルクス研究所

掲載日:2011年4月27日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2011年3月24日掲載分

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