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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
握る、投げる、転がす!「ぷよこん」とは?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します!今回のテーマ「ぷよこん」は、加速度センサと圧力センサを内蔵したワイヤレスのボール型コントローラ。握る、投げる、転がすといった自然な動きで、ゲームをプレイできる可能性を秘めた新しいインターフェースです!

1.「ぷよこん」ってなんだ!?

筑波大学のエンターテインメントコンピューティング研究室が開発した「ぷよこん」は、ワイヤレスのボール型コントローラである。子供が遊びで使うカラーボールそのものといった見た目の「ぷよこん」は、その名の通り、ぷよぷよとした質感を持っている。

図1 「ぷよこん」
筑波大学エンターテインメントコンピューティング研究室の開発した「ぷよこん」

筑波大学エンターテインメントコンピューティング研究室の開発した「ぷよこん」

加速度センサと14個の圧力センサを搭載しており、通信はBluetoothを用いて行う。一般的なマウスがXYの2軸の変位情報と2つのクリックボタンのオンオフを伝えるのに対して、「ぷよこん」はXYZの3軸の変位と14ボタンの圧力値をアナログで(オンオフではなく多値で)伝えるため、より多くの情報量を伝えることが可能になっている。

図2 ぷよこんでは様々な動作を伝えることができる
図2 ぷよこんでは様々な動作を伝えることができる

資料提供:筑波大学エンターテインメントコンピューティング研究室

「ぷよこん」自体は、汎用性の高いBluetoothデバイスであるため、様々なゲームやアプリケーションのコントローラとして使用することができる。昨年開催された国立科学博物館サイエンススクエア2009では、「ぷよこん」を使ってゲーム内のキャラクタを変形させて遊ぶ「壁抜け」やボールを転がしてコースをクリアする「Ball Coaster」、「ぷよこん」への入力で花火の打ち上げタイミングや色などを操作できる「HANABI」などの展示を行った。

図3 ぷよこんを使用するアプリケーション
左から、Ball Coaster、HANABIの各アプリケーション

左から、Ball Coaster、HANABIの各アプリケーション

資料提供:筑波大学エンターテインメントコンピューティング研究室

多くの子どもたちが訪れた本イベントにおいて、86%の人が「新しい」と感じ、79%の人が投げたり、握ったりという操作を「面白い」と感じたというアンケート結果を得ており、反応はきわめて良好だったようだ。

2.「ぷよこん」の仕組みと特徴

図4 ぷよこんの内部
14個の圧力センサ用にエアバッグが放射状に取り付けられている

14個の圧力センサ用にエアバッグが放射状に取り付けられている

資料提供:筑波大学エンターテインメント
コンピューティング研究室

「ぷよこん」に用いられているセンサ技術は、WiiのリモコンやiPhoneに搭載されているのと同様の3軸加速度センサと、ボールの変形を検知するための圧力センサである。

「ぷよこん」の初期の実装では、ボールの変形を検出するために、圧力センサではなく、曲げセンサ(ベンドセンサ)を用いていたが、イベントで子どもたちが「ぷよこん」を扱う際に、想定外の強さで握ったり捻ったりといった操作を行い、曲げセンサの劣化が激しいため、より堅牢な圧力センサ方式へと改良を行ったという。

図5 モニタリングアプリケーション
各センサの反応状態が表示されるモニタリングアプリケーション

各センサの反応状態が表示されるモニタリングアプリケーション

資料提供:筑波大学エンターテインメントコンピューティング研究室

これら15個の各センサの情報はリアルタイムにBluetoothインターフェースでPCへと送信される。データ送信の時間解像度は毎秒300回で遅延は3ミリセカンド程度。きわめて良好なレスポンスが得られるといえる。


従来型コントローラと比較した「ぷよこん」の特徴

「ぷよこん」が従来型のインターフェースと一線を画しているのは、その形状である。一切ボタンやレバーなどのない完全な球体で、一見しただけではコントローラであるようにはまったく見えないが、内部にはセンサの制御ボードとマイクロコンピュータ、Bluetoothモジュールの詰まったハイテク機器で、ボールに与えられた力とそれによる動きを精密にトレースすることができる。

従来のコントローラは、各ボタンにどのような機能が割り当てられているのか、マニュアルを見たり説明を受けたりしないと使いこなすことが難しく、特に高齢者にとってはコントローラに慣れるまえに操作自体を諦めてしまうケースも少なくなかった。その点、「ぷよこん」の優れているポイントは、「持つ、握る、振る」といった直感的な操作だけで、ゲームやインタラクティブコンテンツを楽しむことができる点にある。

実際、20~60代の幅広い年齢層の日本人および外国人を対象に行われた「SIGGRAPH ASIA 2009」のデモンストレーションにおいても、ほとんどの被験者がすぐに「ぷよこん」の操作に慣れてゲームを楽しむことができたという。

3.「ぷよこん」の今後

コントローラを手にして最初に存在する「どこを押すとどうなるかが分からない」というストレスが、「ぷよこん」には存在しない。また三次元空間のポインター操作も可能なため、3Dマウスのような活用方法も考えられる。このため、「ぷよこん」の応用分野としてゲームだけでなく、3DCGを初めて触る人に向けた、クレイモデルのようなものを粘土のように変形させるインターフェースなども検討されている。

また、ボール型であり、かつその表面の全地点の圧力をセンシングしているため、野球におけるストレート、カーブ、フォークボールなどの握りを判別することもできる「ぷよこん」には、球技ゲームのコントローラとしても、従来では考えられなかったような現実とバーチャル空間を融合させた遊び方の可能性がある。

図6 開発者の平松良介氏と「ぷよこん」
図6 開発者の平松良介氏と「ぷよこん」

「『ぷよこん』のアイディアは2008年の末ぐらいからありました。こうしたインターフェースの分野では、思いついたらすぐに作って発表しないと、全く同じアイディアのものが他の研究者から発表されてしまうこともしばしばです。ですから2009年の初めからの約6ヵ月間で、試作品の開発とデモンストレーション環境の実装まで、一気に進める必要がありました」と開発者の平松氏は語る。

優れた発想はもちろんのこと、その迅速で適切な実装が、インターフェース開発においては重要なのだ。こうして生まれた「ぷよこん」はPCやゲーム機の新しいインターフェースの形として、まだまだ基礎研究の段階ではあるものの、大きな可能性を秘めた技術だといえるだろう。

小型センサを応用したインターフェース技術は、MEMS (メムス、Micro Electro Mechanical Systems) によるセンサのさらなる小型化とコストの低減を通じて今後、急速な発展を遂げると考えられる。指先でボタンを押すインターフェースから、自然な体の動きを通じたより現実の動作に近いインターフェースへと、エンターテインメントだけでなく、より広範なコンピューティング環境のインターフェースも変化していくのではないだろうか。

取材協力 :筑波大学エンターテインメントコンピューティング研究室

掲載日:2010年6月 9日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2010年4月28日掲載分

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