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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「実空間透視ケータイ」ってなんだ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「実空間透視ケータイ」。携帯電話をかざすだけで必要な情報がどんどん飛び込んでくる!?

1.「実空間透視ケータイ」とは?

「実空間透視ケータイ」とは、KDDI研究所が携帯電話向けに開発した、ARアプリケーションの実現を目指した仕組み。ここでARとはコンピュータの情報処理を通じて、目前に広がる実在する空間と、映像や音楽、文字などさまざまな情報とを重ね合わせる技術のこと。百聞は一見に如かず、まず、実空間透視ケータイの技術を使って実現されている実際の携帯アプリケーションからご覧いただきたい。

撮影した写真をマッピング

図1は、撮影した写真を実空間上に配置できる「地球アルバム(β版)」という携帯アプリケーション。例えば、休日に東京タワーに遊びに行き、地球アルバム(β版)の撮影モードで写真を撮ってきたとしよう。このとき、その写真には自動的に位置情報が付与されている。そして、自宅に戻ってきて、東京タワーの方向に携帯電話をかざすと、東京タワーで取った写真が画面の3D地図上の適切な位置に自動表示されるというものだ。

図1 地球アルバム(β版)
地球アルバム(β版)

資料提供:KDDI研究所

撮影した写真には位置情報のほか、写真のタイトルやその写真に対するコメントを付加することもでき、将来的には一般向けに写真を「公開」することもできるようになるという。さらに、「Twitter」(ユーザ同士がつぶやきを共有するWebサービス)に投稿して、位置情報付きのTwitterのコメントを表示させることも可能だ。

携帯電話をかざした方向のランドマークを表示

図2は旅行のクチコミサイト「フォートラベル」の写真やクチコミ情報を実空間透視ケータイ上に表示し、透視しながら楽しむことができる「トラベルビューアー(β版)」という携帯アプリケーション。携帯電話をかざした方向周辺の写真が画面上に表示される。携帯電話の向きを変えると、その方角に合わせて表示される写真も次々と変わっていく。表示された写真のお店や観光スポットに興味を持ったときは、その写真を選択すれば、その場所あるいは写真に関するコメントやクチコミ情報を見ることができる。さらに、クチコミ画面で「画像を拡大する」ボタンを押すと、「フォートラベル」ケータイサイトの該当ページへ移動できる。

このように、自分が居る場所の周辺の名所やホテル施設などのランドマークを自分の向きや姿勢に合わせて直感的に表示してくれる。

図2 トラベルビューアー(β版)
図1 トラベルビューアー(β版)

資料提供:KDDI研究所

2 「実空間透視ケータイ」の由来と要素技術

「実空間透視ケータイ」開発の由来は「釈迦の手のひら」

実空間透視ケータイの開発プロジェクトは2005年にスタートしたが、その開発を動機づけたのは、中国古典小説「西遊記」の中で、釈迦如来と孫悟空が賭けをするシーンであった。これは「釈迦の手のひらの上で孫悟空が踊らされる」シーンで、釈迦から見ると、孫悟空がどこにいて何をしているのか、つぶさに把握できており、ここでは手のひらという非常に直感的なインターフェースが使われている。この「釈迦の手のひら」が、実空間透視ケータイ開発の由来であり理想像でもある。つまり、実空間透視ケータイの目標は、「実空間上に存在するモノや人の状態を、携帯電話を使って把握すること」にある。

一方、実空間透視ケータイの開発を後押ししているもう1つ別の要因も存在する。それは、対話型ヒューマンマシンインターフェース(HMI)の必要性だ。近年、携帯電話の高機能化が急テンポで進んでいるが、携帯電話のすべての機能を理解し活用しているユーザはごく一部であり、必ずしも高機能化がユーザの満足度向上に結びついていないという課題を抱えている。そこで、こうした事態を打破するために、ユーザが携帯電話と対話をしながら新しい価値を見出していくことができる画期的な仕組みが求められており、その1つの答えが「実空間透視ケータイ」なのである。

「実空間透視ケータイ」の要素技術

実空間透視ケータイには、2つの特長とそれを支えている要素技術が存在する。まず、1つ目は、「実空間上のモノや人の位置関係を、容易に把握したい」というニーズをかなえるための6軸センサを用いた直感的ヒューマンインターフェース技術だ。この技術では、携帯電話上に搭載されている6軸センサ(3軸加速度+3軸地磁気)とGPSの位置測位機能を用いて、端末の位置と姿勢(方位、傾き)を取得することにより、携帯電話の液晶画面をかざした方向に存在する実空間情報(地物や知人)を液晶画面上に逐次高速描画する。この技術のおかげで、ユーザは、携帯電話を様々な方向にかざすだけで、たとえかざした方向が壁などで見えなくても、その先の実空間情報を容易に把握することができるようになる。言い換えると、擬似的に実空間を透視することが可能となるのだ。

前述した「地球アルバム(β版)」や「トラベルビューアー(β版)」は、この技術を使って、次のような手順で実現されている。

(1) 位置情報と姿勢情報から、描画対象の緯度経度空間を算出する。
(2) データベース内から描画すべき地点情報を検索する。そして、位置測位結果に応じて、周辺の地点情報群をダウンロードする。
(3) OpenGL ESを用いて、最適な画面位置に高速描画する。このとき、ハードウェアレンダリングにより高速化を図っている。

実空間透視ケータイの2つ目の要素技術は、「人の現在の状態を自動的に把握したい」というニーズをかなえるための複数センサを複合的に用いたユーザの移動状態自動推定技術(ユーザプレゼンス情報自動推定技術)である。この技術では、携帯電話上に搭載されている加速度センサやマイク、GPSといった複数センサを複合的に用いることにより、ユーザの7つの移動状態(走行、歩行、自転車、停止、自動車、バス、電車)を自動推定する。200人規模の実験結果から、80%以上の精度で自動推定が可能になることが分かっている。

「実空間透視ケータイ」の今後

実空間透視ケータイは、センサデバイスの小型化により、カメラ、GPS、地磁気センサ、加速度センサなどが携帯電話に搭載されるようになったことで実用化が進み始めた技術である。そして、今後は、各種センサから取得された、動的で大量な実空間情報に対して、加工、変換、マッチング等を行い、有用な情報を抽出する技術「センサデータマイニング」への取り組みが期待されている。センサが個人と環境をつなぎ、ユーザプレゼンス情報を取得できるようになると、様々な新しいサービスを提供できるようになるからである。

ここで、数年以内に実現できそうなサービスをいくつか挙げてみると、例えば、電車に乗ったら自動的に携帯電話がマナーモードに切り替わったり、自動車に乗るとナビゲーションシステムが自動起動したり、子供がスクールバスに乗ったら母親に通知メールが届くようにするといった使い方が考えられる(図3)。

図3 近未来の「実空間透視ケータイ」活用例
近未来の「実空間透視ケータイ」活用例

資料提供:KDDI研究所

また、その次のステップとして、ユーザプレゼンス情報の共有が進むようになれば、複数ユーザのプレゼンスを組み合わせることで、空間プレゼンス(場の状況)の取得も可能になってくる。その結果、例えば公共空間の混雑状況を把握したり、場の盛り上がり状況を察知したりすることが可能になる。このように、実空間透視ケータイは、ユビキタス社会がさらに進化した、マシン側から自律的に人に働きかける「アンビエント社会」を実現するための技術として、今後の成長がおおいに期待されている。

取材協力 : 独立行政法人 KDDI研究所

掲載日:2010年1月13日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年12月2日掲載分

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