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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
光通信がさらに高速化!「OCDMA」とは!?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「OCDMA」は、携帯電話ではおなじみの通信技術「CDMA」の光バージョン。これまで難しいとされてきた非同期かつ柔軟な高速光通信を実現し、オフィスから家庭まで、幅広い範囲でより高速かつセキュアな光通信環境を実現する技術です!

1 光ファイバ100倍速「OCDMA」とは?

OCDMAとは「光符号分割多重アクセス(Optical Code Division Multiple Access)」の略であり、携帯電話で広く実用化されているCDMAという多重通信方法を、光ファイバ上で実現する技術である。従来から研究されてきた同技術だが、長距離通信を十分な速度で成功したことはほとんどなかった。今回、独立行政法人情報通信研究機構(以下NICT)は、大阪大学、株式会社フジクラ、NTTエレクトロニクス株式会社と協力して、1本の光ファイバによる、ユーザ当たり10Gbpsデータの8ユーザ多重50km伝送を同一波長帯かつ双方向で行うことに世界で初めて成功した。これは現在、家庭で利用されている光通信が100Mbpsであることを考えると、100倍の速さということになる。実現すれば、DVD1本分(約4.7GB)のデータを約3.8秒でダウンロードすることが可能だ。
 ちなみに、同じ波長帯を用いて複数の通信を同時に行う方法として、現在の光アクセスシステムで主に利用されているのは、TDMA(Time Division Multiple Access:時間分割多重アクセス)である。これは、ユーザごとに時間を分け合って、限られた通信帯域を利用する方式である。

図1 TDMA方式
図1 TDMA方式

32ユーザが、順番に並んで、交代しながら通信している。

資料提供:情報通信研究機構

このことを電話に例えると、複数の人が順番に交代しながら話すのがTDMA方式である。これに対して、CDMA方式では、ハンズフリー状態の電話に対して、ユーザ全員が同時に喋るような方式だといえる。

図2 CDMA方式
図1 TDMA方式

32ユーザが、途切れることなく、同時に通信している。

資料提供:情報通信研究機構

例えば、電話のハンズフリー通話において複数の人が喋っても、ある程度までは声色などで聞き分けることができるように、CDMA方式では各ユーザに固有の符号を割り当てることで、同じ周波数帯でも、ユーザを判別し、それぞれを分離することが可能になっている。実際には、ユーザごとに割り当てられた符号が一致する信号のみが受信できる仕組みであるため、各ユーザは自分宛の通信内容以外は受け取ることがない。電話の例えでいうならば、自分の話し相手の声だけが聞こえるフィルタが耳に取り付けてあって、回線を共有する他のユーザの声は、一切聞こえないことになる。

時間分割方式では、使用していない時間も、信号自体は届いてしまう(電話の声はスピーカーから聞こえ続けている)ため、情報の秘匿性に劣るが、CDMA方式では符号によるフィルタを通す(耳にフィルタをつけなければ、ノイズだらけの音にしか聞こえない)のと、その符号自体の複雑性もともなって、盗聴することが極めて困難になっている。
 この利点は、軍事通信から携帯電話をはじめとする移動体通信まで、幅広い無線通信にCDMAが用いられている理由の1つである。そして、このCDMA方式を光通信で実現するのがOCDMA技術なのだ。

2 OCDMAを実現した多値位相符号化技術

例えば電波の場合には、通信に用いる周波数を複数用意しておいて、特定のパターンで高速で切り替える(周波数ホッピング)方法や、広い周波数帯域に「拡散符号」といわれる鍵に基づいて通信のエネルギーを拡散させる(直接拡散)方式などが実用化されているが、これらは電気回路による符号化処理によって実現している。
 光通信においては、光源の周波数(波長)に対して変調を掛けるのではなく、強さ(エネルギー量)に対してのみ変調を行うため、原則的に電気回路による符号化は不可能である。このため、光による通信では、CDMAに必要な符号化を電気回路ではなく、光学デバイスによって行う必要がある。

図3 符号化・復号化の原理
図3 符号化・復号化の原理

1ビットにあたる光パルスを、図では8つのチップと呼ばれる単位に分割し、これに(ππππ0000)という符号化を施している。
左のように逆符号化の列(0000ππππ)を通すことで、下の明確なビットパルス(一番高い山)を検出することができる。
右のように、一致しない符号の列(00ππ00ππ)を通した場合には、明確なビットパルスが現れない。

資料提供:情報通信研究機構

上の図は模式図であり、この通りに動作しているわけではないが、光信号に対する符号化は元の信号のパルスを、より細かいチップと呼ばれるパルスに分割し、その光の位相差(ここでは0とπ、すなわち0度と180度の位相差)を用いて符号化している。位相が逆の光は打ち消しあうため、上の図のように符号の一致する信号のみを取り出すことが可能になる。
 従来の方式では、位相の制御を0とπ、0と0.5πとπと1.5πといった、2値および4値で行っていたが、この方法では、出力されるPCR(光強度の差:Power contrast ratio)が小さく、長距離の実用的な通信を実現することが困難だった。
 今回NICTが開発した技術では、位相の制御を多値化(16チップ16位相など)することで、PCRは、従来の数dB程度から、最大20dB以上へと大幅に改善したという。

図4 符号化波形・復号化波形の違い
図4 符号化波形・復号化波形の違い

左の符号化された複数信号から、ハッキリと1ユーザ宛ての信号波形を検出している。一致/不一致の波形の違いも明確である。

資料提供:情報通信研究機構

これにより、10Gbit/s以上の高いビットレートで、非同期アクセスを可能にしたのである。また、双方向通信を光ファイバで行う場合、ファイバの終端や接続部、および光回路といった数多くの場所から、逆方向の通信光の反射があり、大きなノイズ源となる。このため、PCRの向上は双方向通信の実現の上でも重要なポイントである。

3 OCDMAの開く光通信の未来

現在でも光ファイバによる通信は、高速有線通信の基幹技術として、通信インフラストラクチャのバックボーンから、オフィスや各家庭へのラストワンマイルを担うFTTHまで、あらゆる場所で利用されているが、この光通信のさらなる高速化と、通信の秘匿性を実現するOCDMAは、高速通信技術の最新の成果の1つだといってよい。
 現在の時点では、光符号化デバイスなどの実装は研究段階のもので、量産化するにはまだまだ数多くの課題が残されているが、工学的、技術的な意味合いでは、NICTの研究するOCDMA技術は、次世代PON(Passive Optical Networks:通信事業会社の局舎装置と各ユーザ宅の装置とを,光ファイバと光スプリッタを介して接続した光アクセスシステム)の候補になりえるといえそうだ。
 遠隔地医療から超臨場感インターフェース、オンラインゲームまで、フルHD映像の非圧縮双方向通信が必要なテクノロジー領域は、今後ますます増えると考えられる。これらの広帯域を必要とするアプリケーションの普及において、OCDMAは大きな役割を果たすことだろう。

取材協力 : 独立行政法人 情報通信研究機構

掲載日:2009年12月24日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年11月18日掲載分

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