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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
立体も出力する時代?「3Dプリンタ」とは

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「3Dプリンタ」。“プリント”ボタンを押すだけで本物ソックリの立体物を出力することができます。コンピュータ画面に描いた仮想の製品がすぐに実物として手に入る?!

1.「3Dプリンタ」とは?

3Dプリンタとは、3次元CADで描いた立体図形から実物ソックリの立体物を作り出すための造形装置のこと。プリンタといっても、その出力は紙ではなく、あくまでも立体物である。言葉で説明するよりも、まずは実際の使用手順を見ていただこう。

図1 3Dプリンタの使用手順
図1 3Dプリンタの使用手順

資料提供:丸紅情報システムズ

図1の中央に描かれているのが、現在市販されている代表的な3Dプリンタ(米国Stratasys社のDimensionシリーズ)だ。この例では3次元CADで描いたゴルフクラブのヘッド部分を、プラスチックモデルとして実際に手にすることができた様子を示している。

紙の印刷に使っているプリンタは、WordやExcelなどのアプリケーションから文字データや画像データを受け取るが、3Dプリンタの場合には、3次元CADから立体図形のデータを受け取る。そして、その受け取ったデータを3Dプリンタが理解できる形に変換し、造形物を生成していく。このとき、通常のプリンタではトナーやインクが使用されるが、3Dプリンタでは、造形物の材料としてプラスチック製品によく使われているABS樹脂などが使用される。実際の造形方式には、熱溶解積層方式やインクジェット方式(カラー対応が可能)などがあるが、ここでは熱溶解積層方式を例に、3Dプリンタの造形メカニズムを説明しよう(図2参照)。

図2 造形メカニズム
図2 造形メカニズム

資料提供:丸紅情報システムズ

熱溶解積層方式では、剛性や耐久性など優れた特性を持つABS樹脂を造形ヘッドで熱して溶かしながら(280度前後)、X軸・Y軸方向の高速動作制御と造形台のZ軸方向の昇降により、モデルの精密な積層造形を作成していく。

造形ヘッドと材料カートリッジには、モデル材とサポート材の2種類が入っている。
 モデル材…造形物本体に使われる材料(例えばABS樹脂)
 サポート材…熱で溶けたモデル材を積層していく際、空洞部分や下に支えのない橋構造の部位を支えるために使われる材料

サポート材は、モデル材とは違った色や材質を持っているので、造形した後、サポート部分を識別しやすくなっていて簡単に外せるよう工夫されている。それぞれの材料はリールに巻かれたワイヤとして材料カートリッジに収納されている。

この例で示した3Dプリンタの場合、造形ヘッドからは0.5ミリの太さでモデル材が押し出され、ヘッドの先端はアイロンのコテの役目をはたしていて、造形台に押し当てながら造形していく仕組みになっている。1回の動作で0.25ミリ積層されるので、例えば厚さ1ミリのものを造形するには4層積み重ねることになる。インクジェット方式の場合には、ミクロン単位での積層が可能だが、使用できるモデル材の材質として、熱溶解積層方式のものと同じ材料(造形材料として格段に強度が高く、熱にも強く、取り扱いに特別な注意を払う必要がないABS樹脂など)を使うことができないことから、使用目的に合わせて選択する必要がある。なお、造形できる最大サイズはおおよそ一辺が20cmから30cm前後の製品が多い。

2.「3Dプリンタ」のメリット

3Dプリンタが普及し始めたのは2000年代に入ってからのこと。それ以前は、RP(Rapid Prototyping System:三次元造形機)として1990年代から製品が販売されていた。当初、製品化されていたRPは価格が非常に高く、設置するのに専用ルームが必要だったり、オペレーションにも専任スタッフが必要だったりしていたのである。こうした状況に対し、各ベンダではより一層の製品開発を進めた結果、一般オフィスで事務機器を使う感覚で導入できる 1千万円以下の造形機が登場するようになった。これらの製品を総称して3Dプリンタと呼ぶようになったのである。
 3Dプリンタの特長および導入メリットを整理すると、次のようになる。

●製品の製造に入る前に実際のイメージを実感できる
 設計の段階で、製品を実感することができ、設計者が意図している完成イメージを設計者はもちろん、関連スタッフや顧客、取引先ともに共有できる。また、コンピュータの3D画面上ではわからない新しい発見があり、その中には思いのほか重大なことが含まれているケースも少なくない。設計工程では、デザインが最終形に近づけば近づくほど、コストもかかってくるし、修正にも時間がかかるようになる。また、設計者の手を離れて製造工程に移ってから、デザインミスが判明した場合、金型の設計変更が必要になり、設計初期段階での変更に比べ格段に大きなコストがかかってしまう。つまり、設計上流段階での問題点の早期発見と、3次元CAD上では気づかなかった新たな思案や工夫の創出を導き出してくれるのが3Dプリンタである。
●本物ソックリの造形が可能
 モデル材としてABS樹脂を使える3Dプリンタの場合には、最終製品と同じ材料で造形することが可能になるので、本物ソックリの試作品を簡単に手にすることができる。ABS樹脂は家電製品などでも一般的に使われる材料だ。
●設計開発期間の短縮に役立つ
 立体モデルで形状確認が行えることにより、意思疎通が明確となり、デザインと設計が並行して進行できる。また、モデル材としてABS樹脂が使える3Dプリンタの場合、機能/組付け検証が行えるので、本試作・金型製造の期間を短くできる。
●オフィス環境に設置できる
 3Dプリンタは設計者のすぐ近くに設置できなければ意味がない。設置に特別な設備が必要だったり、有害な物質や異臭などが発生したりする装置ではオフィス環境に設置できない。3Dプリンタではネットワークプリンタのような操作性・静音設計・コンパクトボディが実現されているので、オフィス内に設置可能で、設計者は手軽に利用できる。
●設計に関する情報管理を徹底できる
 試作品や金型設計のために、設計データを外部取引先に渡す機会を減らすことができるので、設計情報の漏洩リスクを低減させるのに役立つ。

3.活躍の場はココだ!

3Dプリンタは、すでに自動車・家電はもちろん、教育・機械部品・建築・スポーツ用品・OA機器・おもちゃ・ゲームなど、カタチを作るすべての業界で幅広く使われている(図3)。使い方はアイデア次第。例えば、早期の仕様検討に活用したり、部門間や取引先との間のコラボレーションに活用したり、機能の動作確認や複数部品の組み付け検証に活用したりすることができる。また、最近では、固定・受け治具などの生産設備の作成にも3Dプリンタが活躍している。

なお、現時点での3Dプリンタは、1つの造形物を生成するのに、ある程度の時間(物によっては3時間以上)とコストがかかることから、形状確認、機能確認、プレゼンなどにその利用目的が限られているが、今後、3DプリンタあるいはRPの基本性能がさらに向上すれば、DDM(Direct Digital Manufacturing:小ロット対応時など、部品を欲しい時に少量だけ作成する製造工程)での利用拡大も期待できる。

図3 3Dプリンタのサンプル出力
図3 3Dプリンタのサンプル出力

資料提供:丸紅情報システムズ

取材協力 :丸紅情報システムズ株式会社

掲載日:2009年12月 9日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年11月04日掲載分

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