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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
空中で操作できるタッチディスプレイとは?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「空中で操作できるタッチディスプレイ」。これなら汚れた手でパソコンを操作しても誰にも怒られない?!

「空中で操作できるタッチディスプレイ」とは?

空中で操作できるタッチディスプレイ(以下、フローティングタッチディスプレイ)とは、情報通信研究機構(NICT)が開発した、空中に浮かぶ実在感のある平面映像を指先で操作できるシステムのこと。フローティングタッチディスプレイを使うと、何もない空中に、あたかもそこに存在するかのように平面映像(立体映像ではない)を表示することができ、それを指先で操作することができる。

図1 フローティングタッチディスプレイ
図1 フローティングタッチディスプレイ

(資料提供:情報通信研究機構)

図1にフローティングタッチディスプレイの様子を紹介する。装置内部の背面に取り付けられている液晶ディスプレイに表示された映像が、空中映像として、赤外線タッチパネルの内側に空中に浮かぶようにして表示される。図ではちょっと分かりにくいが、赤外線タッチパネルは外枠だけで構成されていて、外枠の内側にはガラスや透明プラスチックの板などは何も取り付けられておらず、素通し状態になっている。つまり、パネルといっても物理的な接触面は何も存在しないのである。従って、空中映像の中に自由に指を突き刺すことができるというわけだ。
 フローティングタッチディスプレイは空中に映像を表示できるだけでなく、その空中映像に指で触れてコンピュータなどを操作することもできる。この場合、空中映像であることから、指には何の感触も伝わらないが、実際にフローティングタッチディスプレイを操作してみると、空中映像に対する実在感は非常に高く、視点を変えても3次元的な位置は変化しない。

「フローティングタッチディスプレイ」の仕組み

フローティングタッチディスプレイの開発にたどり着くまでには、いくつかのステップがあった。空中映像を表示するシステムは以前から研究が行われてきたが、これまでに提案されてきたシステムでは、空中映像を見る角度(視点)が変わると空中映像が変形して見えたり、解像度を十分に確保したりすることがなかなか難しく、そのため実在感に乏しく、空中映像の操作を行っても実感を掴みにくいという課題を抱えていた。
 そこで、NICTでは2006年、マイクロミラー(微小な反射鏡で一辺が約100マイクロメートル)を多数並べた光学素子を開発し、裸眼で観察できる空中映像の表示に成功した。この光学素子の表面には、図2に示すようにたくさんの四角い貫通穴が存在している。それぞれの穴の内壁はマイクロミラーになっていて、隣接する2枚の鏡が直交して2面コーナーリフレクタ(2枚の反射鏡が直角に配置されたもの)を構成しており、これらが格子状に配列されている。

図2 マイクロミラーを多数並べた光学素子
図2 マイクロミラーを多数並べた光学素子

(資料提供:情報通信研究機構)

このNICTが開発した光学素子では、穴を通過する光がこのマイクロミラーに2回反射することで、面対称位置の空中に実像を結像(レンズや鏡などで物体の像を作ること)することができる。面対称位置にできる像というのは、つまり鏡に映る像(鏡映像)と同じものである。通常の鏡が作り出す像は虚像で、鏡の中に仮想的にしか存在していなかったのであるが、実像化によって鏡映像を現実の世界に引きずり出すことが可能になったのである(図3)。

図3 NICTが開発した空中映像光学と平面鏡との違い
図3 NICTが開発した空中映像光学と平面鏡との違い

(資料提供:情報通信研究機構)

また、この光学素子では、凸レンズや凹面鏡のように実像を結像することで空中映像を表示するが、凸レンズや凹面鏡で立体物の実像を結像させた場合には必ず歪みが発生する。しかし、この光学素子を利用した場合には、鏡映像がそうであるように、立体物を結像させても全く歪みが発生せず、視点を左右あるいは上下に移動させても、映像位置が動くこともない。
 そして、実在感の高い空中映像の表示に成功したNICTでは、次にその空中映像を指先で操作するための仕組みを開発し、その結果、フローティングタッチディスプレイが完成したのである。空中映像を操作するには、空中映像を触る指の位置を検出する必要があるが、それにはガラスの付いていない赤外線タッチパネル(一般的に市販されているもの)を利用することで実現できた。

活躍の場はココだ!

フローティングタッチディスプレイは、どこにも接触せずに利用できるタッチディスプレイであることから、医療分野などの手を汚すことができない状況、あるいは料理や工事現場などで手が汚れているという状況でも、コンピュータなどの装置を自由に操作したいというニーズに応えることができる。
 また、フローティングタッチディスプレイの空中映像は高い実在感を提供できることから、コミュニケーションシステムへの応用、ゲームなどのアミューズメント系での展開などが期待されている。さらに、天井や壁から映像が飛び出すような仕組みも提供できることから、広告分野での応用も考えられる。
 ただし、現時点では、光学素子のサイズが小さく、表示可能な空中映像の大きさに制限があるという課題がある。しかし、これは原理的な課題ではなく製造技術的な問題であることから、今後、製造技術の向上を図っていくことで、人間の等身大サイズの空中映像表示も可能になるはずだ。そうなれば、さらに活躍の場は広がっていくだろう。

取材協力 :独立行政法人情報通信研究機構(NICT)

掲載日:2009年10月14日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年09月02日掲載分

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