本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > デジ・ステーション

デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「パーソナルスパコン」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「パーソナルスパコン」は、これまでゲームなどの3D処理やHD映像の再生支援に用いられてきたGPU(Graphics Processing Unit)を、複数搭載してスーパーコンピュータ並みの演算能力を通常のPC程のコンパクトなパッケージで実現する技術。60万円以内で、スパコンの圧倒的なパワーをあなたのデスクサイドに置くことができる時代になりそうです!

パーソナルスパコンとは?

図1 高度な3D映像

図1 高度な3D映像

高度な3D表現を可能にするために、GPUの性能は飛躍的に向上した(資料提供:エルザジャパン)

パーソナルスパコンとは、おもにグラフィック処理の高速化を目的にPCへと搭載されてきたGPUを、より広範な演算処理に用いて、デスクトップPCにTFLOPS(テラフロップス:FLOPSとは1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数)レベル、スーパーコンピュータ並みの処理能力を与えるハードウェアソリューションである。

GPUはFPS(First Person Shooting)ゲームや3D描画を極限まで活用するゲームの発達に合わせて、急速に処理能力を向上させてきており、コンシューマ向けのGPUボードでも、1TFLOPSに迫る処理能力を持つようになっている。このGPUをグラフィック以外の計算にも活用しようとする試みとして、GPGPU(General Purpose GPU)があるのだが、パーソナルスパコンはこの技術を積極的に活用しようとする試みなのだ。

パーソナルスパコンの仕組み

図2 GPGPU専用のプロセッサ

図2 GPGPU専用のプロセッサ

NVIDIA社のTesla C1060は、1枚に240個のストリーミングプロセッサを搭載し、960GFLOPSの計算能力を発揮する(資料提供:NVIDIA)

パーソナルスパコンの構成は、一般的なPCとさほど変わりはない。マザーボードのPCI Express x16スロットにグラフィックボードと極めて似た、ただし映像出力端子のないGPUカードを差し込むことで、GPGPU専用のプロセッサを増設し、通常のPCとは一線を画するパーソナルスパコンとして機能するのだ。

このGPUカードはマザーボードのアーキテクチャと、備えるPCI_Express x16スロットの数の許すかぎり、複数枚搭載することができる。図2のカードの場合、960GFLOPS≒1TFLOPSの演算能力を持つので、これを2枚、3枚と追加することで、2TFLOPS、3TFLOPSといったパフォーマンスを得ることが可能になるのだ。


図3 Tesla C1060を3枚搭載した製品

図3 Tesla C1060を3枚搭載した製品

約3TFLOPSの演算能力を提供できる。OSはWindows、Linuxなどに対応(資料提供:日本コンピューティングシステム)

現在のクアッドコアCPUの演算能力は100GFLOPSに満たない程度というから、単純計算でも数十倍のパフォーマンスを発揮することになる。また、スーパーコンピュータの代名詞的存在である地球シミュレータが2002年に登場した際の演算能力が35.86TFLOPSだった(現在はバージョンアップされ131TFLOPS)ことを踏まえると、数TFLOPSの演算能力を、デスクサイドで手軽に実現するこの技術は、その名のとおりパーソナルなスーパーコンピュータだといえるだろう。

ちなみに、日本の文部科学省の定める「スーパーコンピュータ」の位置づけは、1.5TFLOPS以上の演算性能を持つコンピュータである。つまり、国の定める基準に沿っても、パーソナルスパコンは、お墨付きのスーパーコンピュータなのだ。

なお、日本コンピューティングシステムが販売しているパーソナルスパコンの価格は、インテルのクアッドコアXeon E5405(2GHz)を2基、Tesla C1060を1基搭載したモデルが、57万4875円(税込)からとなっている。



パーソナルスパコンの活用範囲

先にも述べたとおり、パーソナルスパコンという技術は、GPUを汎用的に活用するGPGPUの延長線上にあるもの。このGPGPUの利用方法を、GPUの2大ベンダであるNVIDIAとAMDのそれぞれが、CUDAとATI Streamという名称で提供している。特にCUDAはC言語の開発環境として広く提供されており、大学などの研究施設で数多く利用されている。さらに、こうした開発環境を統合するフレームワークとしてOpenCLがある。2008年12月にはOpenCL 1.0の仕様が公開され、NVIDIA、AMDともに採用を発表している。

図4 各種計算とその高速化の例
図4 各種計算とその高速化の例

以前の手法に比べ数10倍から100倍以上も高速化

資料提供:富士通研究所

スーパーコンピュータを導入するほどの予算がない研究において、パーソナルスパコンを導入すれば、従来の環境と比較して科学技術計算が100倍以上も高速化する可能性があるため、多くの研究機関がこの技術に注目している。また、ご存知の方も多いかもしれないが、GPGPUの利用方法であるCUDAやATI Streamは、映像のエンコーディングなどを高速化するためにすでにコンシューマ向けのアプリケーションにも採用されている。GPUを搭載したグラフィック性能の高いPCならば、こうしたアプリケーションを使用することで、パーソナルスパコン的なPCの活用ができるのだ。

パーソナルスパコンのメリット/デメリット

パーソナルスパコンは、GPUという特殊なプロセッサを用いるため、命令の相互依存や分岐のあるプログラムの実行には適していない。ある程度、定型化された処理を大量のデータに対して実行する場合に、その真価を発揮するシステムである。そういう意味で、既存のスーパーコンピュータの存在を置換してしまう存在ではないだろう。もちろんGPU自体、進化を続けてきたCPUの能力を代替できるものでもない。

しかし、数百個のプロセッサコアが複数同時並列で動作する計算能力を、フル活用できるプログラムさえ準備できるならば、数TFLOPSの膨大な計算能力を、一般の家庭やオフィスの電力設備で手に入れることができるのは事実である。このことは、コスト削減はもちろんのこと、空調を含めた専用の設備も不要なため、従来のスーパーコンピュータに比べて、環境負荷も圧倒的に少ない。

また、スーパーコンピュータのプログラム開発環境は特殊なため、該当マシンに直接プログラミング作業を行うほかないのに対して、CUDAなどの開発環境は、対応するGPUを搭載したPCなら共通に動作する。このため、極論すればノートPC上で、プログラミングやコンパイル、動作確認といった作業を行って、パーソナルスパコンで実際の計算をかけるといったことも可能なのだ。

科学技術演算がより気軽に、各研究者個人の自由裁量で使用できるようになることのメリットは、今すぐビジネス環境を変化させるものではないかもしれないが、少しずつ社会に影響してくることだろう。

取材協力 : 株式会社日本コンピューティングシステム

掲載日:2009年8月 5日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年06月17日掲載分

検索

このページの先頭へ