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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
車両全周囲映像処理技術ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「車両全周囲映像処理技術」。まるで幽体離脱したように、運転席に座ったまま自分の車を真上から見ることができます!これで、ペーパードライバーも車庫入れや道路の合流が簡単にこなせるようになる?!

「車両全周囲映像処理技術」とは?

車両全周囲映像処理技術とは、自動車を運転するときに、ドライバーが運転シーンに応じて、車両の全ての周囲を映像によって確認できるようにするための技術のことだ。車両全周囲映像処理技術は、自動車メーカーや電機メーカーなど各社で開発が進められているが、富士通研究所では、車両の全周囲の映像を自由な視点・視線からビデオモニタにリアルタイム表示することが可能で、さらに表示映像の切り替え時においても滑らかに視線移動ができる、新しい車両全周囲映像処理技術の開発に世界で初めて成功した。

同社が開発した車両全周囲映像処理技術では、図1に示すように車両の周囲(前方、左側方、後方、右側方)に魚眼レンズを搭載した車載カメラを合わせて4台設置し、これら4台のカメラ映像を仮想的な3次元の立体曲面に投影し、その映像を自分の好きな視点から見た映像に変換することができる。この映像変換技術は「3次元仮想投影視点変換技術」と呼ばれている。この技術開発に成功したことで、見たい所を見たい視点で捉えた映像を使って、運転席から自由に確認することができるようになり、駐車時、狭い道でのすれ違い、見通しの悪い交差点への進入や右左折など、さまざまなシーンでドライバーの安全運転を、これまで以上に支援できるようになった。

図1 車両全周囲映像処理技術
図1 車両全周囲映像処理技術

資料提供:富士通研究所

この最新の車両全周囲映像処理技術を使ってテスト走行したときの映像例を図2、図3、図4、図5に示す。このように、駐車時には路面だけでなく周囲の人や車の状況も確認できる。また、左折時の巻き込み確認も可能だ。さらに、高速道路などの合流時には、後方、左右を同時に見ることができ、自車両の合流スペースの確認を容易に行える。

このテスト走行では、車載カメラとして一般に市販されているもの(つまり、特殊なカメラではない)が使用された。また、3次元仮想投影視点変換には、汎用画像処理のためのプログラムライブラリであるOpenGL ES相当の機能をサポートした、富士通マイクロエレクトロニクスの車載向けグラフィックス専用プロセッサMB86R01と4つのカメラ映像合成処理LSIが使用されている。その結果、車両全周囲の映像処理時間にはわずか30ミリ秒しか掛からず、リアルタイム動作を実現することができた。具体的には、30万画素のカメラ4台からの映像を1秒30フレーム(NTSC方式)で再生するのにわずか数フレームの遅延しか発生しない。

図2 駐車場での全周囲確認の様子 図3 後方に人が歩いている様子を確認できる

駐車場での全周囲確認の様子

資料提供:富士通研究所

後方に人が歩いている様子を確認できる

資料提供:富士通研究所


図4 左折時の側方確認が可能 図5 高速道路の合流確認が可能

左折時の側方確認が可能

資料提供:富士通研究所

高速道路の合流確認が可能

資料提供:富士通研究所

「車両全周囲映像処理技術」開発の背景

近年、ドライバーの安心・安全運転を支援するための手段として、車両の周囲を確認する車載カメラシステムに対する期待が高まりを見せている。例えば、日本国内では車載カメラの装着率が海外よりも高く、2007年の国内車載カメラ市場は400万台を超える規模にまで成長している。また、米国では車両の後方視界を確保することを義務付ける法案が可決されており、この解決策としてカメラが最も優れているという調査結果も報告されている。このように、車両周囲を確認する車載カメラシステムへの期待が国際的に高まっているのである。

現在、実用化されている車載カメラシステムとしては、「バックモニタ」や見通しの悪い交差点などでの死角の視界表示をする「ブラインド・コーナ・モニタ」、すれ違い時の死角を補助する「側方モニタ」など、単体カメラを用いた製品がある。また、駐車時における視界補助として、車両周囲に取付けた4つのカメラで路面を撮影し、2次元映像としてモニタに映す「俯瞰カメラシステム」の実用化も始まっている(図6)。

図6 従来の車載カメラシステムと映像化範囲
図6 従来の車載カメラシステムと映像化範囲

資料提供:富士通研究所

ただし、ドライバーが、駐車、左折、右折、合流などを行うときに、瞬時に車両周辺を確認できる視覚補助を実現するには、次のような課題を解決しなければならない。

ドライバーの視界確認の負担増加

すでに、ドライバーは目視に加え、ルームミラーや左右のドアミラーを駆使している。その上でさらにバックモニタなどの視界補助機器も合わせて駆使することになると、視界確認の負荷が高くなってしまう。また、4つのカメラを用いた従来の俯瞰カメラシステムでは、車両近傍2?3メートルの路面しか映像化することができないので、これにバックモニタの映像を加える必要があり、ドライバーにとって見るべき視界情報が増加することになり、このままでは視界確認の負荷が増すばかりである。

ビデオモニタ上の映像の視点・視線、視界についてのドライバー認知性の問題

従来の技術では、カメラごと、機能ごとに異なった視点・視線で異なった範囲を、瞬時に切り替えて表示することから、ドライバーは、どの場所をどこから見ているのかを瞬時に認識しなければならない。従って、システムに慣れるまでに時間がかかり、場合によっては錯覚を起こすことで逆に危険度が増してしまう恐れもある。さらに、車載カメラは万能ではないことから、利用シーンが限られるという課題もある。


そこで、富士通研究所では、こうした課題を解決できる新しい車両全周囲映像処理技術の開発に取り組んだ結果、今回の技術にたどり着いたのである。

つまり、車両周囲の状況を1つの映像で一覧できるようになったことで「視界確認の負荷を軽減」することに成功した。また、運転シーンに応じて、見たい所を見易い視点から見ることができるようになったことで「安心感、安全性の向上」を実現した。そして、滑らかに視線移動させることで、どこから見た映像かを直感的に把握することができるようになったことで「ドライバーの映像認知性の向上」を図ることにも成功したのである。

「車両全周囲映像処理技術」の今後

この新しい車両全周囲映像処理技術の登場により、ドライバーは注意が必要な車両周囲の状況を、1つの映像で瞬時に認知し把握することが可能となった。しかし、実用化にはまだシステムとしての安全性に対する厳しいテストをクリアする必要がある。具体的には、視界確認の負荷軽減効果や、実際の運転への影響など、自動車向け視界補助製品としての適用性の検証を、自動車メーカーと連携しながら進めていかなければならない。例えば、時速何kmまでなら現在のリアルタイム表示性能で問題がないのか、夜間や濃霧時などの画質や画面解像度はどうかなど、カメラ性能まで含めたシステム全体の性能評価が必要になる。

従って、実用化にはまだ時間がかかりそうだが、富士通研究所では今後の展開として、この技術を使った「車載カメラ視界補助システム」の製品化を検討していく予定であり、さらに、商用車などの運輸関連の業務用映像ソリューションとしても、運用・管理技術との連携を図りながらビジネス化の検討を進めていくという。

取材協力 : 株式会社富士通研究所

掲載日:2009年8月 5日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2007年06月03日掲載分

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