本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > デジ・ステーション

デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「Fe-NANDフラッシュメモリ」ってなんだ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「Fe-NANDフラッシュメモリ」。データセンタのサーバルームからHDDが消える日も近いかも!?

1.「Fe-NANDフラッシュメモリ」とは?

Fe-NAND(エフイーナンド)フラッシュメモリとは、高密度・大容量を実現できる不揮発メモリのことで、ハードディスクの代替としての利用が期待される新しいメモリデバイスである。従来のNAND型フラッシュメモリの書き換え回数は1万回、書き込み電圧は20Vだが、産業技術総合研究所が作製したFe-NANDフラッシュメモリは6V以下の書き込み電圧で、1億回以上の書き換え回数を達成、性能が著しく向上することが実証された。
 Fe-NANDフラッシュメモリが製品化されるようになれば、表1に示すように、従来のNAND型フラッシュメモリよりも書き換え可能回数が飛躍的に伸びるだけでなく、30nm技術世代以降の20nmや10nm(これらの数値はDRAMのビット線のハーフピッチ寸法を表したもので、国際半導体技術ロードマップで半導体の微細化を表現するときに使われる数値)といった技術世代の高密度・大容量の不揮発メモリを実現できるようになる。

表1 Fe-NANDフラッシュメモリと従来型NANDフラッシュメモリの現状比較
表1 Fe-NANDフラッシュメモリと従来型NANDフラッシュメモリの現状比較

(資料提供:産業技術総合研究所)

「Fe-NANDフラッシュメモリ」の意味

Fe(エフイー:ferroelectrics)は強誘電体を表しており、Feに電圧を加えると物質内に電気的な正負が生じた状態(分極)が発生し、その後、電圧を加えなくてもその分極方向を持続させることができる。また、NAND(Not AND)は、論理演算の中の「否定論理積」を表しており、AND演算の結果にNOT演算を行うことでNANDになる。NAND演算ではすべての入力が「1」の場合だけ出力が「0」になり、それ以外の場合は出力が「1」になる。そして、フラッシュメモリとは電源を切ってもデータが消えない不揮発性の半導体メモリのこと。USBメモリやSDメモリカード、SSD(Solid State Drive)などにフラッシュメモリが使われている。フラッシュメモリにはNAND型のほか、NOR(Not OR)型のフラッシュメモリもあるが、NOR型フラッシュメモリはNAND型に比べて「集積度」「書き込み速度」などの点で劣ることから、ハードディスクの代替としてはNAND型が多く使われている。

2.「Fe-NANDフラッシュメモリ」研究の背景

ここ数年、携帯型の情報機器が急速に普及してきたことで、より小型軽量で省電力の大容量データ記憶装置へのニーズが高まってきている。その中でも、モータなどの機械部品を必要とするHDD(ハードディスクドライブ)の代わりにNAND型フラッシュメモリを用いたSSDが、小型軽量で外的衝撃に強いことから注目されている。しかし、従来型のNAND型フラッシュメモリは書き換え可能回数が約1万回と決して多くなく、また、集積度を高めるために微細化を進めると、書き換え回数はさらに減少してデータの信頼性に不安が生じるといわれている。さらに、従来のNAND型フラッシュメモリのメモリセルは、微細化を進めると、隣接するメモリセルの浮遊ゲート間の容量結合ノイズなどが問題となり、30nm技術世代以降の微細化には対応できなくなるといわれている。
 一方、産業技術総合研究所では、メモリにもなるトランジスタとして、以前からFeFET(Fe Field Effect Transistor:エフイーエフイーティー:強誘電体ゲート電界効果トランジスタ)の研究を進めてきた。FeFETとはゲート電極に電圧を外からかけて強誘電体の電気分極の向きを変えることにより、電界効果トランジスタとしての導通または非導通状態を制御するトランジスタのこと。ゲート電極にかける電圧をゼロにしても、強誘電体の電気分極の向きが記憶されたまま残るため、トランジスタとしての導通または非導通状態も記憶されたまま残る(図1)。

図1 FeFETを使ったFe-NANDフラッシュメモリへの期待
図1 FeFETを使ったFe-NANDフラッシュメモリへの期待

(資料提供:産業技術総合研究所)

FeFETは現在広く普及している浮遊ゲートを持つMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)を使ったフラッシュメモリと比べて、原理的にデータ書き換え耐性に優れ、書き換え速度も速く、大きな書き込み電流を必要としない等の利点を持っている。しかし、データ保持時間が短いなど、材料の選択を含めた作製プロセス上の難しさに起因する課題が残されていた。そこで、産業技術総合研究所ではこれらの課題解決に取り組み、その結果、2002年に強誘電体としてストロンチウム・ビスマス・タンタルという酸化物を用い、緩衝層(シリコン基板と強誘電体の間)としてハフニウムの複合酸化物材料を採用することで、FeFETのデータ保持時間を長くすることに成功した。また2004年には、自己整合ゲート方式(半導体の集積回路製造工程において、ある工程で既に形成されたパターンを次の工程のマスクとして利用することで、マスクの位置合わせなしで次の工程を進めること)という技術を使えば、FeFETの微細化が可能であることの実証にも成功した。その後、産業技術総合研究所ではFeFETを半導体集積回路へ実際に応用するための研究をさらに続けた結果、FeFETを使ってNAND回路を構成するFe-NANDフラッシュメモリの実現に至ったのである。

3.「Fe-NANDフラッシュメモリ」研究の今後

「フラッシュメモリ」がHDDを凌駕する可能性も

Fe-NANDフラッシュメモリはまだ研究段階であり、製品化にはしばらく時間がかかりそうだが、従来型のNANDフラッシュメモリでは実現できなかった性能を達成できたことで、その実用化がおおいに期待されている。たとえば、データセンタでは、サーバおよびストレージの集約化が進むにつれ、消費電力の増大およびその発熱量の多さが深刻な問題としてクローズアップされるようになってきたが、サーバ・ストレージを従来のHDDからFe-NANDフラッシュメモリを採用したSSDに置き換えることで、こうした問題を解決することができるようになる。また、一般企業でもオンラインのバックアップストレージとしてFe-NANDフラッシュメモリを活用することで、省電力化を図りながらバックアップにかかる時間の大幅短縮も実現できる。  なお、Fe-NANDフラッシュメモリは東京大学大学院 工学系研究科 竹内 健 准教授との共同研究による成果であることから、産業技術総合研究所エレクトロニクス研究部門酒井滋樹フロンティアデバイスグループ長のグループでは、今後もFeFETの微細化・集積化技術の開発を進めながら、東京大学と共同で回路設計と作製を行い、動作実証を続けていく。

取材協力 :独立行政法人 産業技術総合研究所

掲載日:2009年8月 5日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2009年05月13日掲載分

検索

このページの先頭へ