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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「ブック型インターフェイス」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「ブック型インターフェース」は、その名の通り“本”の形をしたコンピュータインターフェース。本をパラパラとめくる動作で、Webサイトや画像データなどのコンテンツを自在に操作できるユニークなインターフェースです!

「めくる」動作で情報にアクセス

「ブック型インターフェース」は、日立基礎研究所のヒューマンインタラクションラボが開発した、本のページをめくる動作でデジタルコンテンツのブラウジングを実現するインターフェースである。ごく普通の本の形状をしたデバイスを両手で持ち、ちょうど文庫本をパラパラとめくるのに似た操作を行うことで、スクロール移動などをコントロールすることができるのだ。

図1 プロトタイプの外観                       図2 ブック型インターフェースのイメージ

プロトタイプの外観 ブック型インターフェースのイメージ




使い方は普通の本を開いてめくる時と同様に、開いた本を軽く反らせて、同時に左右のページ端を親指で軽くこするように押すだけ。接続したPCの画像をスクロールできるのはもちろん、スクロール速度も感覚的にコントロールすることができる。マウスやキーボードなどの従来型のインターフェースと違って、慣れ親しんだ動きと感触で、デジタルコンテンツのブラウジングができる点が最大のポイントである。

電子ペーパーなどのデバイスを視野に入れて

ブック型インターフェースの開発がスタートしたのは2007年後半。コンピュータの登場する以前から存在し、今日でも主要な情報配布手段として利用されている“本”は、その歴史から言っても人間がコンテンツにアクセスする方法の中でもっともシンプルかつ優れたものの1つであることは間違いない。この本の感覚的な使いやすさと心地よさを生かせないだろうか、というのがブック型インターフェース開発の出発点である。
 現在、コンピュータインターフェースの主流は、ファイル、フォルダ、デスクトップなどのメタファー(比喩表現)をアイコンなどの形で実装し、マウスカーソルを動かしてクリックする仕組みになっているが、ブック型インターフェースは、メタファーをディスプレイの中から現実空間へと取り出して、“触る"ことのできる、より優れたインターフェースを目指す試みだといえる。

自由に曲げられるフレキシブルディスプレイを利用した電子ペーパーを実装する際に最適なインターフェースは何か、という課題もブック型インターフェース開発の背景の1つだ。現段階のプロトタイプには実装されていないが、ブック型インターフェースのページ部分にフレキシブルディスプレイを搭載し、既存の本と同じ機能と使用感を備えたデジタルブックを実現することが、ブック型インターフェースの大きな開発目標のひとつとなっている。

ブック型インターフェースの仕組み

ブック型インターフェースの開発は、圧力センサーとベンディングセンサー(曲がり具合を検出するセンサー)を用いて、まず実際に本をめくる際に人間が行う、めくる前、めくり始め、ゆっくりとしためくり、素早いめくり、めくり終わり、などの動作において、本にかかる圧力と変形の様子を計測することから始まっている。

図3 圧力センサーとベンディングセンサーのグラフ




この計測結果から、ページめくりのスピードに比例して、本全体の曲げ具合とページ端を押さえる親指の力が強くなることがわかった。装置としてのブック型インターフェースは、この測定環境を下図のような形で、そのまま再現したものである。

図4 圧力センサーとベンディングセンサーの配置図




柔軟な本を模した本体に、左右の親指のせん断力(横にずらす力)を計測する2×2組の圧力センサー、表紙、裏表紙の曲げ具合を検出する2つのベンディングセンサー、各センサーからの出力をデジタル化してBluetoothで送信する小さな基盤、の3つが取り付けられている。これらのセンサーの出力データを受けて、めくり動作の計測結果を元に逆算することで、ページ移動のスタート、ストップ、スピードの変化などのコントロールを実現したのが、ブック型インターフェースなのだ。

本ならではの“指しおり”も実装

前述の通り、ブック型インターフェースは数個のセンサーで実現されるシンプルなデバイスだが、このほかに左右の圧力センサーの上に小さなスイッチが配置されている。このスイッチは、少しずつ(例えば1画像ずつ)左右に移動するのに使用できるほか、本ならではの簡易ページブックマークの仕組みの再現にも成功している。本やカタログなどを見ているときに、あるページに人差し指などを挟んですぐに開けるようにしつつ、別のページをめくるという動作は、誰もが行っているはずだ。指を挟んでページを記憶しておくこの“指しおり”と同じことを、ブック型インターフェースでは、左右のスイッチを押すことで実現しているのだ。

日常的に行っているモノに触れる動作をそのままインターフェースとする試みは、タンジブルインターフェース(tangibleとは触れることができるの意味)と呼ばれることがある。ブック型インターフェースは、本というありふれたモノの存在感と使い心地を、そのままコンピュータのコントロールに置き換える点で、最先端のタンジブルインターフェースの1つだといえるだろう。

製品化に向けた課題

ブック型インターフェースを構成する部品は、どれも電子パーツ店で購入できる一般的なものであり、専用に開発されたチップやセンサーを必要としていない。そういう意味では、プロトタイプレベルのものであれば、製品化のハードルは全くないと言っても過言ではない。しかしそれだけでは一風変わったガジェットないしは特定のアプリケーション用のコントローラの域を出ないだろう。
 本研究の目指す“本インターフェースのデジタル化”を実現するためには、電子ペーパーのようなフレキシブルディスプレイが必須だし、高速なめくり操作を快適に表示するには、既存のディスプレイよりもFPS(1秒当たりの表示コマ数)が多く、応答速度にも優れたディスプレイが必要となる可能性もある。線形的な情報に高速にアクセスできるという特性を生かすためには、アプリケーションやソフトウェアの側でも、既存のツリー構造のデータを、電子ペーパーに適した形で利用できるシステムレベルでの工夫が必要となりそうだ。
 ハードウェアからソフトウェア、活用モデルまでを包括したトータルのシステムを提供することを目標として、日立基礎研究所ヒューマンインタラクションラボは今後も研究開発を進めていく予定だという。

取材協力 : 株式会社日立製作所 基礎研究所

掲載日:2009年4月 8日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2008年12月17日掲載分

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