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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
時算機と金計りってなんだ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「時算機と金計り」は、慶應義塾大学SFC安村研究室の学生たちが2008年9月に「YLab exhibition #5 時間展」で発表した研究内容。今回の「5分でわかる」は、いつもとは異なる趣向で最新のITインターフェース研究の現場をリポートしたいと思います!

1.ユビキタスの次のステップとは?

インターフェースデザインを人間の認知や心理の知見から研究している慶應義塾大学SFC安村研究室は、その成果を2008年9月に安村研究室独自の展示会「YLab exhibition #5 時間展」として発表した。どこにでもコンピュータが遍在するという空間的視点から進展してきたユビキタス社会に、時間的視点を加えることで、ユビキタス社会を次のステップへと進めることができる、というのが今回の展示会にあたっての安村研究室の考え方。
 例えばPCにおいて、画面に向かうユーザの両手、両目は独占され、使用するソフトウェアやサービスも、ユーザに集中的に使ってもらうこと、すなわちユーザの時間を独占することが前提となっているが、こうしたデザインは、製品個別には使いやすくても、ユーザの限られた生活時間を奪っているともいえる。ユーザの時間を奪うのではなく、生活を中心に発想することで、日々の活動の「すきま」や「ながら」の時間を活用する、「時間」に対する新しいインターフェースデザイン。それが「時間展」のコンセプトである。

2.時間展で展示された技術

時間展では20あまりの研究内容が発表されたが、その中からいくつかピックアップして以下にご紹介しよう。

2-1 〜時間を操る、見えてくる〜時間電卓「時算機」

図1 時算機

会議、打ち合わせ、食事、移動などのイベントを登録しておき、それらを足し引きすることで、知りたい時間(出発時間や終了時間)を直感的に把握することができる。タッチパネルで行う操作は、きわめて直感的だ。

時算機とは、その名のとおり時間の計算機である。時間は60進法と10進法が混在するため、複数の時間を足し合わせるとなると、計算が複雑になってしまう。こうした計算を、移動や食事などのイベントを自由に登録しておいて、それを簡単に足し算引き算できるのが時算機なのだ。インターフェースも極めて単純で、元になる時刻「Before」と、そこに各イベントを加算減算した結果を示す「After」の2つのアナログ時計が表示されているだけ。また、この時計は分針を指先でドラッグして回すことで、自由に動かすことができる。
 2つの時計のどちらを動かした場合にも、リアルタイムでもう一方の時計が追従するので、機械的に歯車でつながっているかのような感覚で、直感的に使用できる。スピードプリントのDPE店のディスプレイのように、時計が常に現実の時間経過に合わせて動き続けている点も、興味深い工夫。乗り換え案内などのサービスに応用されれば便利になりそうだ。


2-2 〜お金の単位で時間を計る〜「金計り」

図2 金計り

選択した項目の金額で時間を「計る」ことができる。

「時は金なり」ということわざから発想したという「金計り」は、「東京都知事の年収」や「日本のODAの総額」など、様々な支出や収入を時間の単位として、リアルタイムで表示するプログラム。
 ジャストアイディアではあるものの、時間に対して、いつもとは違う感覚で接することのできる興味深い時計である。深読みすれば「時計」という従来からのインターフェースを、IT技術でよりリッチにしたものだと考えることもできそうだ。
 「これを会議の横において、開始と一緒にスタートすれば、無駄話をしていられなくなりますね」とは、安村教授の言。「あなたにとって1時間はいくらですか。」という金額を自由に入力できる項目も用意されているので、ここに時給や、組織の年間予算や年収を入力すれば、時間の流れに対する感覚が変わって感じられることうけあいだろう。

2-3 〜日常生活のログを今に活かす〜「suGATALOG」

図3 suGATALOG

毎日のコーディネートを記録しておいて、さらに左のフィッティングルームでトップスとボトムの新しい組み合わせを試し、上段の比較リストに追加することができる。

「suGATALOG」は、クローゼットのある自室と、玄関の2箇所にデジタルカメラをセットして、毎日のコーディネートを記録してログをつくる、というシンプルながらも実用性の高いシステムだ。ポイントはこの記録されたコーディネートを上下に分割して組み合わせ、シャツやジャケットと、ボトムやシューズの新しい組み合わせを試して、さらに比較リストに登録することができる点。単にカタログ的に服を見るのと違い、実際に自分が着用したイメージを組み合わせることができるので、よりリアルなイメージを使ってコーディネートを検討できる。
 suGATALOGの使用方法は、小型のリモコンで鏡の前に立ってボタンを押すだけ。生活のすきまのわずかな時間をつかって、日々の自分の姿を自動的にデータベースへと記録することができ、服はもちろん体型の変化などのチェックにも応用できそうだ。わざわざそのための作業をするのではなく、日常的な「姿見で服装をチェックする」活動にわずかな手順を追加するだけで、有益なデータベースを作り出すインターフェースは、「すきま」の時間を活かすユビキタスに正面から取り組んだ研究だといえる。

このほかにも「YLab exhibition #5 時間展」では、加熱時間ぴったりの動画をネットから自動で検索して再生する電子レンジCastOvenや、地図に時間の概念を追加するアシアト地図、赤信号の人物像がダンスして待ち時間に遊び心を追加するDancingoなどなど、様々な時間をテーマとしたインターフェース研究の展示があった。1つひとつはジャストアイディアであっても、「時間をより便利に扱い、時間をより豊かに過ごそう」という目的意識は一貫していて、大変興味深い展示会であった。

●参考URL:「YLab exhibition #5 時間展」ウェブサイト
http://ylab.sfc.keio.ac.jp/jikan-ten/

3.ユビキタス社会はユーザ体験を豊かにする

安村研究室の今回の展示会のテーマとなった「時間」は、その研究の切り口のひとつに過ぎないが、考えてみれば、あらゆるインターフェースは人間の時間を、なにかの形で奪うものである。より少ない時間で、より多くの目的を、より正確に達成できるのが、優れたインターフェースだと言っても過言ではない。また携帯電話やiPod、携帯ゲーム機などの端末は、これまで読書ぐらいにしか用いることのできなかった電車の移動時間を、テレビや動画の観賞、ゲームのプレイ、メールなどのコミュニケーションに活用できるよう、時間の活用方法を広げてきた。
 IT技術の普及はこれまでも私たちの時間の活用方法を大きく変化させてきたが、その潮流はこれからますます大きくなりそうだ。年々進化を続けるユビキタス社会は、場所の役割を変えると同時に、時間の役割も変化させ、さらなる豊かなユーザ体験を提供してゆくことだろう。

取材協力 :慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス 安村研究室

掲載日:2009年4月 8日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2008年10月15日掲載分

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