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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
遺言ソフト(僕が死んだら…)ってなんだ?

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「遺言ソフト」。これさえあれば、万一、あなたの身に何か起こっても安心して天国に行けるようになります!?

1.遺言ソフトとは?

「遺言ソフト」というタイトルだけを聞くと、大半の読者は、法的に有効な遺言書を作成するための専用ソフトのようなものを連想するかも知れないが、今回取り上げるのは、いい意味でその期待を大きく裏切ってくれるユニークなソフトウェアである。この遺言ソフトは有限会社シーリスが開発した「僕が死んだら…」というフリーウェアで、不慮の事故などで突然この世を去らなければならなくなったとき、PCに保存されている他人に絶対見られたくない情報(プライベートな画像やWinnyなどで違法に取得した動画など)が、誰にも気づかれないうちに密かに完全削除されるという、アイデア勝負の画期的ツールである。
 論より証拠、では早速、このユニークなフリーウェアの使い方を紹介していこう。「僕が死んだら…」は、シーリスが運営するソフトウェア配布サイト「C-LIS Crazy Lab.」で手に入る。

ダウンロードが完了したら、そのファイルを解凍し、「whenidie」というファイルを起動する。ソフトウェア使用許諾契約書が表示されるので、それに同意すると図1の画面が表示される。
 ここで、自分が死んでしまったとき、自動的にPCから削除したいファイルあるいはフォルダ(つまり、絶対他人に見られたくない個人的な情報あるいは機密情報)と、残された遺族などに読んでもらいたいメッセージファイルを設定する。設定できたら「生成」ボタンをクリックする。すると、指定した削除対象のファイルあるいはフォルダ内に存在する全てのファイルが削除可能かどうかテストされ、図2のような結果が表示される。
 なぜ、ここでテストが必要なのか、その理由はファイルを削除する際、書き込みモードでファイルを開いて上書き処理するからである。削除設定したファイルやフォルダを書き込みモードで開く権限がないと削除処理できなくなるので、権限の有無を事前に確認しておく必要があるのだ。

図1 「僕が死んだら…」の設定画面 図2 テスト結果

削除したいファイルと残された家族に向けたメッセージを記録したファイルをそれぞれ設定する。

資料提供:シーリス

削除できることを確認した後、生成ボタンでショートカットアイコンを作成する。

資料提供:シーリス

図3 「僕が死んだら…」のアイコン

資料提供:シーリス

テストに合格したら「生成」ボタンをクリックする。すると、遺族に向けたメッセージファイルが暗号化されると同時に、デスクトップ上に「僕が死んだら…」のショートカットアイコンが作成される(図3)。
 これで、あなたに不測の事態が起こった場合も、家族の誰かがデスクトップ上のショートカットの存在に気づいてダブルクリックしてくれれば、遺族に伝えたいメッセージが表示され、そのバックグラウンドで削除対象になっているファイルあるはフォルダの削除処理がスタートする。

図3のアイコンは通常のデスクトップアイコンと全く同じなので、残された自分の家族がいかにもダブルクリックしてくれそうな内容に、自由に名称を変えたり、デザインを変更したりすることができる。名称を変えるには、アイコンを右クリックし、表示されたメニューから「名前の変更」を選択すればよい。アイコンのデザインを変更するには、同じ手順で表示されたメニューから「プロパティ」を選択し、表示されたダイアログボックスから「アイコンの変更」を選択すればよい。
 なお、バックグラウンドで実行される削除処理については一切何も画面表示されないので、このアイコンを実行した人(遺族など)がファイルの削除処理が行われている事実に気付くことはない。また、削除処理では、削除対象のファイルやフォルダの名前が変更されてから上書き処理されるので、通常のファイル復旧ソフトを使ってデータを復元させることはほぼ不可能である。

2.遺言ソフト誕生の経緯

遺言ソフト「僕が死んだら…」は、このソフトの開発者であるシーリスの有山圭二氏のある危険な実体験がきっかけで誕生した。それは彼が自宅でマイカーの車庫入れをしているときに起こった。運転席から首を出しながら車をバックさせているとき、誤ってアクセルとブレーキを踏み間違えてしまったのだ。車庫の壁と車との間に危うく首を挟みそうになり、間一髪のところで命拾いをしたのである。もう少しのところで、頭がもぎ取れてしまうところだったのだ。この危険な体験の後、彼は自分が所有しているPCのプライベート情報が気になり始めたのである。
 現代社会において、PCはプライベート情報の固まりとなりつつあることから、ウイルスや悪意のあるソフトウェアに対する防衛意識は高まってきている。しかしその一方で、利用者自身に不測の事態が起こった際、PCに保存されているプライベート情報をどう処理したらいいかという問題に対しては全く手つかずの状態である。相当数のPCユーザは何らかの解決策を求めているのではないか、有山氏はそう考えるようになったのである。
 そこで、思い付いたのが「僕が死んだら…」である。「家族による実行」という他律的ながら現実的なアプローチを採用する「遺言ソフト」という形で、この問題に対する1つの解決策を提供しているのである。このアイデアを思い付いたのは2007年8月のことで、同年10月に開発が行われ、2007年12月から公式リリースが始まった。ダウンロード数は初期バージョンで7000、最新バージョンでもすでに7000を越えている。

3.今後の機能強化

「僕が死んだら…」バージョン1.00 betaからは、メッセージファイルの暗号化機能が追加され、遺族向けのメッセージファイルはRC4互換の共通鍵ストリーム暗号方式「Arcfour」で保存されるようになっている。そして、遺族がデスクトップのアイコンをダブルクリックした時点で復号化され、画面上にメッセージが表示される。つまり、デスクトップ上の「僕が死んだら…」アイコンをダブルクリックしないかぎり、メッセージファイルの中身を読むことができないよう工夫されている。
 今後の機能強化としては、誰かが誤って「僕が死んだら…」アイコンをダブルクリックしてしまった場合に備えて、削除対象ファイルを完全削除するのではなく、暗号化を実行するように仕様を変更する計画がある。これなら本人が蘇生した場合でも元に戻すことが可能になる。
 また、利用者からは、誤操作防止のために「僕が死んだら…」アイコンをダブルクリックしたとき、家族しか答えることができないような情報(自動車の免許番号やクレジットカード番号など)を入力させるなどの工夫を加えてほしいなどの具体的な要望も寄せられているという。
 一方、メッセージファイルの内容を正式な遺言書にするという発想もあるが、残念ながら現在の法律では電子ファイル形式での遺言書は認められていない。そこで、遺言書が保管されている貸金庫の場所や暗証番号などの情報を知らせる手段にメッセージファイルを使うという方法も考えられる。
 このほか、解決しなければならない課題として、削除対象に設定したファイルサイズが非常に大きい場合にはバックグラウンド処理に手間取るケースが考えられ、遺族がメッセージを読み終えるまでに削除処理が終わらない危険性がある。また、遺言ソフトの存在が世間に知れ渡った時点では、バックグラウンド処理自体、あまり意味を持たなくなる。しかし、遺言ソフトの存在とその本当の役割を遺族が深く理解してくれるようになれば、「故人が見られたくないファイルは見ないでおこう」という深い思いやりによって、こうした課題が課題でなくなる可能性も十分高い。

取材協力 :有限会社シーリス

掲載日:2009年4月 8日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2008年10月1日掲載分

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