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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
フラットスピーカーってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマは「フラットスピーカー」。コイルを電気的に動かして空気を振動させる従来方式のスピーカーと違い、物の表面を音が伝わる「表面波」を利用して音を出す仕組みです。広範囲に音が均一に拡散し、音質がよりナチュラルになるといったメリットがあります。

フラットスピーカーとは

一般にフラットスピーカーというと、薄型のスピーカー全般を指し、コンデンサー方式(静電型)、リボン方式、ダイナミック方式、電磁型などいくつもの方式がある。今回、紹介するフラットスピーカーはNXT方式と呼ばれ、アクリル板などの、平面の振動板を振動させることで音を鳴らすスピーカーで、「フラットパネルスピーカー」の一種である。音の出るメカニズムは、「分布振動モード」と呼ばれる原理を応用したもので、振動版の一部をエキサイターと呼ばれる音の発信源で震わせると、その音が、振動板の表面を伝わって全体を震わせ、振動板そのものが音を鳴らすという仕組みだ。液晶ディスプレイの場合、液晶画面そのものが振動するのではなく、手前を覆っているアクリル板が振動板となっている。


現在広く利用されているスピーカーは、コーン型と呼ばれ、すり鉢状の部分を、前後にピストン運動させて振動させることで音を鳴らしている。従来の概念では、振動板上で発生する分割共振(ひとつの振動板上で複数の共振が起こること)は、クオリティの良い音を出すことを阻害する要因とされており、分割共振が起こらないように設計することが、スピーカーの開発技術の肝であった。フラットパネルスピーカーは、こうした常識とは正反対に分割共振を制御した分布振動モード手法を活用して音を鳴らしており、既成概念を打ち破る考え方といえる。この分布振動モードによるスピーカー技術は、開発当初は認知されていなかったが、現在では音響学会でも認知され、従来の概念である分割共振と区別する意味で分布振動モード(Distributed Mode)技術と呼んでいる。


フラットパネルスピーカーの振動面は板状なので、箱型ではなく薄い形状のスピーカーを作ることはもちろん、振動板に透明な材質のものを使用することで、液晶ディスプレイの表面全体から音を鳴らすことも実現している。

分布振動で音を鳴らすフラットパネルスピーカー(NXT方式)

分布振動を説明する前に、そのベースとなっている分割共振を先に紹介しよう。

分割共振をイメージする上で、理科の実験などでおなじみの「音叉(おんさ)」がある。音叉を叩くと「ドの音」のように1つの音だけを鳴らすだけだが、近くに同じ音階の音叉(オクターブ違う倍音周波数を含む)を持ってくると、全く触れていないのに自然に音が鳴りだす。また、ギターのように1つの弦を弾くことで、弾いてないはずの同じ音階の弦やギター自体も共鳴し、ギター全体として厚みのある音を奏でるなど、楽器が音を鳴らすメカニズムも原理は同じだ。


これまでのスピーカーではじゃまな存在であった振動上での分割共振だが、実は自然界の音のほとんどは分割共振によってもたらされている。例えば、「ドアをノックする音」や「机を叩いたときの音」など、ほんの一部を叩いただけでも音が良く響くことがある。また鈴虫が鳴く音も、羽の一部を擦り合わせる時に発生する小さな振動が、羽全体で効率良く分割共振されることでより大きくクリアな羽音になっているのだ。


フラットパネルスピーカーは、自然界の音源と同じメカニズムである分割共振を制御した分布振動を利用して音を鳴らしているので、振動版の大きさを自在に変えることができる。携帯電話の液晶画面などの小さなものから、スクリーンにして90インチ程度の振動板を持ったスピーカーを作ることまで可能だ。実際にフラットパネルスピーカーを開発する際には、分布振動の状況をコンピュータ等で解析し、振動板の素材や大きさによって、どのようなエキサイターをどこに配置するかを精緻に計算し、利用目的に合ったクリアな音が出せるように設計されている。

■軍事研究から生まれてきた技術
  フラットパネルスピーカーの基本特許はイギリスのNew Transducers Limited社が保有しており、分布振動を起すエキサイターの取り付け位置を割り出すロジックに秘密がある。複雑に振動しているパネルが、スピーカーとして動作するという技術的な可能性は、軍の航空機で軽量の複合物を使うために英国DERA(Defense Evaluation & Research Agency:国防評価研究局)のKen Heron博士によって行われた一連の研究中に偶然明らかになった。彼らは、効率的な音響ラジエーターとして複合材のパネルがどのように動作するかを理解した後、研究を行い、DERAはパネル式スピーカーに応用した最初の特許の申請書を1991年に提出した。New Transducers Limited社は潜在的な可能性を認識し、商用利用のためのテクノロジーを開発するために、DERAからライセンスを取得している。

音の鳴り方

フラットパネルスピーカーは、点ではなく面で音を鳴らしており、以下の図のような再生特性を持っている。このためフラットパネルスピーカーの正面にいる人と、位置をずらしている人との差が少なく、音源が一点に集中しないため自然な音を得ることができる。既に商品化されているフラットパネルスピーカー対応の携帯電話では、音を効率良く聞くことができるため、小さな音でも耳を当てる位置に影響を受けづらくクリアに聞くことができる。

音の指向性

将来的な利用イメージ

現在、携帯電話ではNTTドコモのN506iSに搭載されている。携帯電話に搭載するにはフラットパネルスピーカーを小型化しなければならないが、これには新たなエキサイター「圧電方式DMアクチュエータ」を開発できたことで実現した。

液晶ディスプレイの登場で、コンピュータディスプレイの薄型化が進んでいる。その一方で、音を再生するスピーカーは大きさや重さの観点から積極的に小型化されてこなかった。フラットパネルスピーカーを利用することで、良い音をより軽く小さく楽しみたいというニーズに応えることが可能になるだろう。一方、ホームシアターのように大画面で迫力ある映像と音楽を楽しみたいというニーズに対しても、壁一面を、映像を写し出すスクリーンとしてだけでなく、同時にそこから音を鳴らすスピーカーにしてしまうことも可能になるなど、利用範囲が広がってくるだろう。


携帯電話のように極度の小型化が求められる条件においても、ディスプレイそのものをスピーカーとして利用できるため、部品点数が削減でき更なる小型化を進めることができる。また、携帯電話自体に音声通話用のスピーカーの穴を設ける必要がなくなり、端末デザインの自由度も向上する。

原理的には共鳴する場所そのものが確保できれば、何でもスピーカーにすることが可能なため、冷蔵庫や洗濯機、電子レンジといった水回りの家電や、お風呂のような湿気を伴う場所での音声利用など、これまで想定していなかった場面での利用も進んでくるかもしれない。

取材協力 : 株式会社オーセンティック

掲載日:2009年4月 8日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2005年6月22日掲載分

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