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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
「ビジネス顕微鏡」ってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマ「ビジネス顕微鏡」は、組織内の人と人とのコミュニケーションを可視化するセンサネット技術。ビジネスの成否を決める目に見えないチカラ、チームワークを地形図やタペストリーなどの画像で「見える化」する新しい試みです。職場の意外な人間関係が赤裸々に浮き出てしまって困る人も出てくるかもしれません!?

1.ビジネス顕微鏡とは

現在、ホワイトカラー社員の生産性を向上させることが多くの企業において大きな課題となっている。しかしながら、ホワイトカラー社員の業務は、流れや実態が非定型で見えにくく、その効率を計ること自体が難しいという問題がある。従来、ホワイトカラー業務の実態把握を行うためには、ホワイトカラー社員へのアンケートやヒアリング等の方法が一般的に採用されてきたが、被調査者の主観による部分が大きいため、結果の信頼性に課題もあった。
 このような背景の中、日立製作所が開発したのが、今回取り上げるビジネス顕微鏡である。これは、赤外線センサ、加速度センサ、マイクセンサの各センサと、無線通信デバイスを内蔵した名札型の端末(センサネット端末)を社員が装着し、これを身に付けた社員同士の対面時間や動作を測定、そのデータをネットワークを通じてサーバ上に収集し、社員同士の相互影響の度合いを地形図のかたちで表示するしくみである。
 ビジネス顕微鏡を使うことで、これまで定量的に把握することができなかったホワイトカラー社員の業務中の活動状況やコミュニケーションの実態が明らかになる。そうして可視化された組織活動を分析することで、仕事の進め方の効率化や組織の活性化を促進するのが、ビジネス顕微鏡の目標なのだ。

2.ビジネス顕微鏡の仕組み

ビジネス顕微鏡を構成するのは、赤外線、加速度、音声の3つのセンサと無線通信デバイスを内蔵したセンサネット端末と、データを蓄積・処理するサーバである。
 センサネット端末は重さ約60gの名刺サイズと小型・軽量。複数の赤外線センサが配置されていて、水平・垂直方向約30度、距離2mの範囲で、対面している他の名札型センサネット端末の検出が可能だという。

写真1 センサネット端末

センサネット端末は重さ約60gの名刺サイズ

赤外線センサのデータから誰と誰がどれぐらいの時間対面していたかを把握することができ、加速度センサから社員の行動の様子(誰が誰に近づいて行ったかなど)を捉え、また発言などを検知する音声センサ(マイク)のデータを総合的に解析することで、組織の活動の様子を画像化することができるのだ。

図1 ビジネス顕微鏡の構成図

センサネット端末を社員証のように首から提げて利用する。

図2 組織地形図の例

メンバー間の業務上の連携やコミュニケーションの様子が
画像化されている。誰と誰のつながりが強いか一目でわかる

ビジネス顕微鏡がアウトプットするのは、人と人のつながりを表す「組織地形図」や、1人ひとりの活動の記録を表す「組織タペストリー」など、組織内コミュニケーションを可視化する画像である。
 組織地形図では、つながりが強いメンバー同士が山として表現され、等高線で表示される。コミュニケーションの頻度が高まるにつれて、山も高くなるイメージだ。また組織タペストリーでは、メンバーそれぞれの業務時間の過ごし方が、「集中」「対面(積極)」「対面(受動)」に色分けされる。
 こうした記録を組織全体に公開、共有することで、モチベーションが高まったり、仕事に集中して取り組める条件などを発見し、その後の業務の改善に役立てたりするシステムが、ビジネス顕微鏡なのである。

図3 組織タペストリーの例

メンバーそれぞれの時間の使い方を可視化して振り返ることができる。

3.ビジネス顕微鏡は、組織に新しい知覚を与える

組織の構成員1人ひとりの活動を全て記録するシステムというと、ついつい社員の監視、管理を強化するイメージを抱いてしまう方も多いかもしれないが、ビジネス顕微鏡が想定するのはそうした使い方ではない。ビジネス顕微鏡を監視ツールにしないための重要なポイントとして、組織の全員に分け隔てなく全てのデータを公開して共有することが挙げられる。上司だけがデータを把握しているのなら文字通り監視になってしまうが、トップからアルバイトまで、全てのメンバーのデータが公開されている状況ならば、ビジネス顕微鏡は組織の連帯感を高め、コミュニケーションの透明度を高める役目を果たすはずだ。
 ビジネス顕微鏡は、2007年6月の発表以来、数百人規模の実証実験が行われている。その実証実験を通じて、ビジネス顕微鏡が、個々人の活動やコミュニケーションの振り返りと改善につながることはもちろん、オフィス環境や組織構成の優劣を定量的に分析するのにも役立つことがわかったという。

図4 フリーアドレス型と固定席型オフィスにおけるコミュニケーション測定結果例

「ビジネス顕微鏡」を用いてフリーアドレス型と固定席型のオフィスのコミュニケーションを比較。フリーアドレス型では異なる2つのチーム間で垣根を越えた情報交換が行われているのに対し、固定席型では、コミュニケーションがチーム内に限定されるとともに、その頻度も少ないことが明らかになった。

これまで組織の成長・改善を促すための方法は「コミュニケーションを密に取る」、「進捗の報告を欠かさず行う」など、漠然とした言葉に頼ることが多かった。これは組織の姿を知るための知覚が、言葉による報告などの定性的で曖昧なものしか存在しなかったことに起因している。ビジネス顕微鏡は、センサネットという新しい技術を通じて、組織とそれを構成するメンバー全員に全く新しい知覚を与え、より客観的に組織の改善の方法を探り、成長を図ることを可能とするシステムなのである。

取材協力 :株式会社日立製作所 中央研究所 企画室

掲載日:2009年4月 1日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2008年9月17日掲載分

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