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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
電線ネットってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマは「電線ネット」。自分の部屋の電源コンセントから手軽にインターネットに高速アクセスできる技術。電波法の規制緩和次第では、瞬く間に普及するかもしれない注目株です。

電線ネットとは

インターネットのブロードバンド化を進めていく上での大きな障害の1つに「ラストワンマイル(もしくはファーストワンマイル)」問題がある。これはインターネットのバックボーン(ISPや電話局間の通信)の高速化が進んでも、オフィスや家庭に届く「最後の1マイル(ユーザー側から見れば最初の1マイル)」がなかなか高速化できないという問題のこと。例えば、全国規模で光ファイバを個人の各部屋まで配線していくには膨大なコストと時間がかかってしまう。

そこで、もっと低コストで手軽にラストワンマイルのブロードバンド化を進めていきたいというニーズから、既存の配線網に注目が集まった。ADSLはその1つで、既存の配線網として電話線を利用しているが、全国の各家庭に配線されているのは電話線だけではない。電灯線もまた然りである。いや、電話線以上に各部屋すべてに張り巡らされているのは電灯線であり、これをラストワンマイルとして使えれば非常に便利であることは間違いない。そこで、電灯線を使ってブロードバンドを実現しようという技術の開発がスタートした。これが電線ネットである。


国内では、電線ネットは、電力線通信、電力線搬送通信、PLC(Power Line Communication)とも呼ばれていて、最近、開発が進んでいる高速の電線ネットは従来の技術と区別するために高速電力線通信と呼ばれている。また、海外ではDPL(Digital Power Line)やBPL(Broadband over Power Line)という言葉が使われている。

つまり、電線ネットとは「商用の電力線(100〜120V/200〜240V)に高周波信号を重畳し、電力線を伝送路として双方向通信を行う方式」のこと。実際の電線ネットの実現形態には、変電所から電線ネットを利用する「アクセスPLC」と、建物のすぐ外までは光ファイバを利用する「宅内PLC」(図1参照)の2種類がある。日本国内では宅内PLCがまず普及すると見られている。

図1 宅内PLC
図1 宅内PLC

(資料提供:住友電気工業)

灯線には、関東では50Hz、関西では60Hzという周波数の電気が流れているが、インターネットで送受信される電気信号は、これに比べるとはるかに小さくて速い周波数が使われているので、この2つの電気信号を同じ電灯線上に流してもお互い混ざり合うことはない。そこで、図1に示すように、ビルや家のすぐ外までは光ファイバなどの高速回線でインターネットを導き、家の中ではすでに配線済みの電灯線をネットワーク回線として利用すれば、電源コンセントからインターネットにアクセスできるようになる。現在、すでに200Mbps(ベストエフォート)の高速通信が可能で、リピータ(信号を増幅するための中継機)なしで数百mまで通信できる。

電線ネットがまだ普及していない理由

どの部屋にも付いている電源コンセントから200Mbpsでインターネットにアクセスできる技術がすでに誕生しているというのに、国内ではこれが導入されたという話をまだ聞いたことがない。実は日本国内には法規制があり、現時点では残念ながらまだその使用が許されていないのである。

具体的にいえば、現行の電波法100条では、電線ネットで使える周波数は450kHz以下に規制されていて、この規制により最大通信速度は9600bps程度までしか実現できない。ただし、家電機器の制御だけならこの速度でも十分であることから、国内ではエコーネット(ECHONET)という規格が策定され、その対応機器が出始めている。

一方、前述した200Mbpsというブロードバンドとして電線ネットを利用するには、技術上2M〜30MHzの周波数帯域を使用できることが大前提になる。しかし、すでにこの周波数帯域は航空通信、海上通信、短波放送、アマチュア無線、電波天文台などが使用しており、電線ネットからの漏洩電波が既存の無線局に悪影響を及ぼすことが懸念されている。総務省の研究会が2002年に行った実験では、電線ネットからの漏洩電波は許容値を大幅に超えていて、使用周波数帯域を2M〜30MHzに拡大することは困難であると判断されてしまった。

【開発進む、漏洩電波の低減技術】

以上のことから、電線ネットの高速化には漏洩電波を実用上問題ないレベルにまで低減させることができる「漏洩電界抑圧技術」の開発が大きな課題になったが、この技術開発には期待が持てるという判断から、総務省では2004年1月、漏洩電波の低減技術の検証を目的とした電線ネットの実験解禁に踏み切った。そして、2004年6月にはe-Japan重点計画-2004案にPLC推進案が盛り込まれ、さらに2005年1月には「高速電力線搬送通信に関する研究会」の開催が発表され、OFDM(直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)(図2参照)などの漏洩電波低減技術の確認と、無線利用との共存の可能性と共存条件の検討が始まった。

また、こうした総務省の動きと並行して、民間企業の間でも、日本国内での電線ネットの早期実用化を目指す「高速電力線通信推進協議会」(PLC-J)が設立され、積極的な活動を展開している。

図2 OFDMは特定送信周波数のマスキングで漏洩電波を低減できる
図2 OFDMは特定送信周波数のマスキングで漏洩電波を低減できる

(資料提供:住友電気工業)

将来的な利用イメージ

海外では一足先に電線ネットの導入が始まっている。米国、スペイン、ドイツ、香港ではすでに商用サービスが始まっていて、実証実験も日本だけでなく、フランス、イタリア、ポルトガル、スイス、オーストリア、ロシア、シンガポール、韓国、オーストラリアなど多くの国々で進められている。特に、電線の地中化率が高い欧州各国の都市部では、光ファイバの敷設に多額のコストがかかることから、高速の通信手段として電線ネットが普及する可能性は高い。

すでにスペインでは、数百m離れた変電所から地下埋設ケーブル(低圧配電線)を経由して集合住宅へブロードバンド回線を引くことが可能だ。加入者はCPE(Customer Premises Equipment:宅内装置)と呼ばれるモデムを電源コンセントに接続してパソコンと繋ぐだけでビデオストリーミングやIP電話などのブロードバンドサービスを利用できる。

電線ネットはFTTHやADSLと競合するのではなく、ラストワンマイルとして既存技術と融合しながらホームネットワークやオフィスLANを低コストでブロードバンド化させることができる技術であり、家電の遠隔制御や高度なホームセキュリティへの展開も期待されている。

取材協力 :住友電気工業株式会社

掲載日:2009年4月 1日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2005年6月8日掲載分

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