本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > デジ・ステーション

デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
ユビdeコミミハサンダーってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。今回のテーマは「ユビdeコミミハサンダー」、店頭で商品の口コミ情報を簡単にゲットできる携帯アプリケーションの登場です!

ユビdeコミミハサンダーとは

【使い方はシンプル!】

「ユビdeコミミハサンダー」とは、店頭で携帯電話のカメラを使って商品のバーコード(QRコードではなく通常の1次元バーコード)を撮影するだけで、インターネット上のブログからその商品に関する口コミ情報を簡単に取り出すことができる携帯アプリケーションのこと。現在、東芝が研究開発中のものだ。実際の使い方は以下の通り、至って簡単だ。

(1)例えば、気軽に立ち寄ったお店で、どの商品を買おうか悩んでいるシーンを思い浮かべてほしい。そんな時は、携帯電話に事前にダウンロードしておいた「ユビdeコミミハサンダー」を起動し、携帯電話のカメラで商品のバーコードをピッと撮影すればいい。既にこのアプリケーションはNTTドコモ、au、ボーダフォンのいずれの携帯電話にも対応している。

図1 ユビdeコミミハサンダー 利用イメージ
図1 ユビdeコミミハサンダー 利用イメージ

資料提供:東芝

(2)するとバーコード情報が携帯電話からユビdeコミミハサンダーの専用サーバに送信され、商品検索が始まる。現在、この専用サーバのデータベースには150万件の商品データが登録されている。主に店頭で選択に迷うような商品が中心で、チューイングガムなどの気軽に購入できて失敗しても後悔の少ない低額商品や、綿密な事前調査が前提となる高額商品などは除外されている。

(3)現在は実験用のサーバで運営しているため15秒前後かかるが、その商品を話題にしたブログ記事がピックアップされると同時に内容が解析され、評判の良し悪しが携帯電話の画面に表示される(ポジティブ・ネガティブ判定機能)。また、話題になっている関連商品も確認することが可能だ(ホットトピック抽出機能)。
 なお、携帯電話の画面サイズは小さいので、文章の中身を解析しユーザーにとって役に立つ意見が含まれていると思われるブログから優先的に表示されるよう工夫されている(ソート&フィルタリング機能)。

ユビdeコミミハサンダーは、次の図2のようなシステムにより実現されている。

図2  ユビdeコミミハサンダーのシステム構成
図2  ユビdeコミミハサンダーのシステム構成

資料提供:東芝

【ユビdeコミミハサンダーの導入メリット】

買い物客が、この携帯アプリケーションを手軽に使えるようになると、次のような効果が期待できるという。

  • 商品の購入を迷っている顧客に、購入を後押しする情報をさりげなく提供することができる
  • ネットで評判のいい商品を実際の売り上げにつなげることができる
  • その反対に、お店側がユビdeコミミハサンダーを使うことで、ネットで評判の悪い商品はあらかじめ仕入れを減らすなどの対策を打つことができる
  • ネット情報から新しいヒット商品を生み出すチャンスが生まれてくる
  • 匿名情報だが、バーコードのスキャン履歴は有用なマーケットデータとなる

なお、誤解されないように断っておくが、このシステムは価格を調べて店舗を比較するものではない。また、特定の店舗の情報や評判を調べるものでもない。あくまでも、ネット上の口コミ情報を効率よく集めるためのものである。

なぜ今、「ユビdeコミミハサンダー」なの?

さて、ここまでの説明だけでは、「ユビdeコミミハサンダー」はニッチ市場を狙ったアイデアのように見えてしまうかもしれない。なぜ東芝が真剣に取り組んでいるのか、ちょっと不思議に思えてくる。しかし、このアプリケーションの背後には高度な研究目標と最新テクノロジーが隠れているのだ。

【第一のキーポイントは「ユビキタス」にあり!】

実は東芝が研究目標としているのは、「ユビキタスコンピューティングにおけるセマンティクスの活用方法」であり、ユビdeコミミハサンダーはそれをエンドユーザーに分かりやすく具現化したひとつのアプリケーション例に過ぎない。
 次世代コンピューティングの大きなテーマであるユビキタス環境においては、誰でも簡単にネット情報を現実の世界と結びつけて利用できることが求められるようになる。現在の社会は、ユビキタスには程遠く、せいぜいモバイル環境が実現されているに過ぎないが、その代表的デバイスである携帯電話では、画面が狭く、操作性も限られていて、通信回線もまだまだ十分ではないのが現状だ。そのため、デスクトップコンピューティングのように簡単にネット情報を利用していくためには、操作をより自動化し、必要な情報だけを効率よくユーザーに提示する仕組みが不可欠であり、セマンティクス(意味情報)に基づいて必要な情報やサービスを発見する技術が非常に重要になってくるというわけだ。

【第二のキーポイントは「オントロジー」にあり!】

そこで、クローズアップされてきた技術が「オントロジー」だ(図3)。ここでのオントロジーとは「メタデータを記述する用語を定義する構造」のこと、メタデータとは「データの内容を説明する付加情報」のこと。定義の説明だけでは分かりにくいので、実例で説明しよう。
 例えば、Googleなどの検索エンジンを使って製品の評判を調べたい時、製品名と「高い」というキーワードで検索すると、「デザイン性の高い・・・」という良い評判も「価格が高い・・・」という悪い評判もすべて同じように抽出されてしまう。そこで、自然言語処理を使って文章の構造を解析することができれば、同じ「高い」というキーワードでも文脈によって良い意味と悪い意味に区別できる。また、オントロジーを使えば、「高っ」「超高い」など、ブログ独特の表現を吸収し、強弱の程度を分類することもできる。つまり、検索対象となる文書が単なる単語の集まりとしてではなく、文書全体で大きな意味を持ったデータとして扱えるようになる。
 ユビdeコミミハサンダーの場合、ポジティブ・ネガティブ判定機能では日本語オントロジー(主にモノに対する評価表現をまとめたもの)を、ホットトピック抽出機能では商品オントロジー(商品ジャンルを表すクラスと固有の商品を表すインスタンスから構成されている)をそれぞれ参照して適切な情報を取得している。東芝では、すでに約10万概念を有する日本語オントロジーを構築済みで、オントロジーAPIの開発にも取り組んでいる。

図3 オントロジーの一例
図3 オントロジーの一例

資料提供:東芝

もう1つ、ユビdeコミミハサンダーでは、RSSメタデータから得られるブログの相関関係を利用して、ブログに掲載されている各意見の重要度を判別している。次の図4で、aはブログの筆者、bはブログ記事、Cはブログに付けられたコメントを指す。例えば、a1のブログ筆者は、多くのブログ記事を書いているが、誰もコメントもトラックバックもしていないので、このブログの重要度は低く判定される。また、b4、b5、b6のブログ記事は互いにトラックバックしているが、b6のブログには他と比べて多数のトラックバックが発生しているため、b6は特に注目に値する記事として判定される。さらに、b7のブログには多数の賛成コメントが付けられているが、その中でC9だけが反対のコメントを付けている。こうした「勇気ある意見」は、重要性を持つとして判定される。
 実は、オントロジーだけを用いてブログの意味内容を客観的に解析した結果と、ユーザーが実際にブログから印象として得る結果とは、必ずしも一致しない。ユーザーは、何かに影響を受けて、無意識の内に各意見に重み付けを行っていると考えられる。そこで、このようにメタデータの解析を行うことで、よりユーザーの感覚値に近い評価結果を得ることができるようになったという。

図4 RSSメタデータから得られるブログの相関関係
図4 RSSメタデータから得られるブログの相関関係

資料提供:東芝

今後の展開

【ASPサービスやパッケージ販売の可能性を模索中!】

東芝ではすでに家電量販店、大型書店にて実証実験を行っており、その実験結果をもとに、機能の洗練化や新機能の開発を進めている。また、検索速度や情報精度の向上を目指した改良を重ねて、オントロジーの保守性も高めていく予定だ。現在のところ、ユビdeコミミハサンダーの具体的な商品化はまだ決まっていないが、可能性としてASPサービスやパッケージとしてポータルサイトなどへ導入されることが考えられる。もちろん、アフィリエイトプログラムと連携することも可能だろう。いずれの形態を取るにしても、エンドユーザーは無料で使えることになる。
 また、ユビdeコミミハサンダーに顧客のプロフィールを収集するための仕組み(アンケートや占いなど)を組み合わせることで、購入前の貴重なマーケティング情報をリアルタイムで収集することも考えられる。

【ユビdeコミミハサンダーに類似したツール開発も進行中!】

こうしたツールの研究開発は、他のところでも進められている。例えば、「Amazon スキャンサーチ」(携帯のカメラでバーコードをスキャンするとAmazonで該当する商品が売られていればそのページにジャンプする)や、東工大の奥村教授による「blogWatcher3」(ブログを検索して、その中から有用な情報を抜き出してマイニング表示する)などがある。いずれのツールも、多様化するユーザーの嗜好やニーズに対応し、効率的な情報収集を実現するシステムを目指している。こうした研究の積み重ねにより、ユビキタス社会では現実世界とネットワークが今まで以上にスムーズに連携できるようになっていくだろう。

取材協力 :株式会社東芝

掲載日:2009年3月25日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2006年8月23日掲載分

検索

このページの先頭へ