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デジ・ステーション


5分でわかる最新キーワード解説
Push-to-Talkってなんだ?!

日々進歩するIT技術は、ともすると取り残されてしまいそうな勢いで進化の速度を高めています。そこでキーマンズネット編集部がお届けするのが「5分でわかる最新キーワード解説」。このコーナーを読めば、最新IT事情がスラスラ読み解けるようになることうけあい。忙しいアナタもサラっと読めてタメになる、そんなコーナーを目指します。
 今回のテーマは「Push-to-Talk」。携帯電話の次期サービスとして大いに期待されており、あなたの携帯電話をトランシーバに変身させます。さて、あなたならどんな利用法を思いつきますか?

「Push-to-Talk」とは

携帯電話の新しい使い方として、久しぶりにワクワクさせてくれる技術が登場した。それがPush-to-Talk(PTT:プッシュツートーク)だ。この言葉を直訳すると「押して話す」という意味になるが、これはトランシーバなどの無線機の通話方法のことを指す。無線機では、話すときは送信ボタンを押す必要があるのでこう呼ばれている。Push-to-Talkでは、自分がしゃべっている間は通信相手を受信できなくなることから、電話のように話しながら聴く(つまり自分も相手も同時にしゃべる)ことはできない。ただし、電話が原則1対1の通話しかできないのに対し、Push-to-Talkは1対N(多数)の通話が可能で、複数の相手に対して同時に音声を伝えることができる。

そして今、携帯電話の世界でPush-to-Talkを実現する技術の実用化が始まろうとしているのである(米国ではすでに始まっていて、ユーザー数はすでに1000万人を越えている)。これは正式にはPush-to-Talk over Cellularという名称で、略してPoC(ポック)と呼ばれている。ちなみに、Push-to-Talkは米国の携帯電話会社ネクステル・コミュニケーションズ社の商標になっているので、OMA(Open mobile Alliance:モバイルサービスの標準化団体)ではPoCという言葉を使うようにしている。


【Push-to-Talkの具体的な使い方】

能書きはこれくらいにして、早速、PoCの実際の使い勝手を紹介しよう。ここで紹介するのは、富士通研究所と富士通が開発した最新PoC技術Push-to-talk over Cellular/Wireless(PoC/W)。携帯電話網を経由して接続されたPDA間で高音質なPoCを実現する(図1)。まず、A に示すように、PDA上でPoCアプリケーションを呼び出す。A の左上が電話帳に相当する部分。ここからメンバーあるいはグループを選択すると、右上にその選択したメンバーが追加表示され、そのメンバーでのPoCが可能になる。そして、吹き出しマークが付いているメンバー(A では大野さん)が、今、話者権をもって話しているユーザーになる(通話ボタンを押している状態)。

図1 PDA版のPoC/Wクライアント画面例
図1 PDA版のPoC/Wクライアント画面例

(資料提供:株式会社富士通研究所、富士通株式会社)

大野さんが話し終わったら、通話ボタンを離して話者権を解放する。次に、同じメンバーである奥山さんが通話ボタンを押して話者権を獲得して話し始めると、大野さんの画面はB のように吹き出しマークが奥山さんのところに移動し、PDAのスピーカーから奥山さんの声が聞こえてくる。

富士通のPoC/Wの場合、C に示すように、音声をやりとり(交信)しながら、さらにメッセージも同時に交換しあうことができる。C は大野さんの画面だが、他のメンバー(奥山さんや角田さん)にも同じ内容がリアルタイムで表示される。例えば、名前や数字など、音声では聞き間違えしやすい情報の伝達に利用すると効果的だ。このほか、PDAや携帯電話が搭載している内蔵カメラを使って、その場で撮った静止画をメンバー全員に送付することも可能だ。今回のデモではPDAを使っているが、もちろん携帯電話やノートPCにも簡単に組み込むことができる。

PoCは第3世代携帯電話の目玉サービス

PoCの特長は、1対Nの音声一斉同報通信が行えるというだけではない。この機能の基本部分はIP電話と同じ仕組みで実現されているので、通話料金を大幅に安く設定できるという嬉しいメリットもある。すでにこのサービスが始まっている米国では、定額制が採用されている。

ここで、改めてPoCの仕組みを説明すると、これは電話回線を使って音声をやりとりしているのではなく、第3世代携帯電話の特長である高速パケット通信網にVoIP技術を導入することでPush-to-Talkスタイルの通話を実現しているのだ。

ただし、携帯電話のパケット通信環境をそのままVoIP化しても、音声データが相手に届くまでの時間的な遅れや、時間帯による環境の変動が大きいため、音切れが頻繁に起きてしまう。また、今誰が話せるかを示す話者権の通知も遅れるなど、スムーズな音声のやりとりを実現するにはいろいろな課題を解決しなければならない。

そこで、富士通のPoC/Wでは、次の2つの技術開発により、業務用途でも十分耐え得る高品質なPoCサービス実現にメドをつけることができた。


【1. 状況を最適化できる音声データ処理技術】

携帯電話事業者ごとに違うパケット通信環境での音声データの遅れや、その時々での遅れの変動を検知して、ゆらぎ吸収バッファ長を通信状態に応じて動的に最適化することにより、遅れが少なく音切れもない音声通信を実現する(特許出願済)。


【2. 独自のPoC制御技術】

メンバーの状態管理、音声の一斉同報の開始、メンバー間での話者権の管理/通知などを行うPoCの制御プロトコルにSIP/SIMPLEを採用。また、パケット通信区間ではデータを圧縮して通信することで1秒以下の応答性能を実現。これでスムーズな音声のやりとりが可能になった。ここでSIPとはVoIPで使われるシグナリングプロトコル、SIMPLEとはSIPの拡張機能を使用してプレゼンス(人、モノ、情報などの今の状態)を交換するプロトコルのこと。

将来的な利用イメージ

日本国内ではまだPoCサービスは始まっていないが、すでに始まっている米国では、いろいろな既存業務と組み合わせた形でのソリューションが提供されている。例えば、社内オペレーターから外回りの営業マンたちに「堀江さまより株売買の問合せあり、至急連絡を!」と一斉連絡して、今手が空いている営業マンが直ちに対応するといったSFAに利用されている。また、別々の場所から複数メンバーと連絡を取り合いながら共通の保守作業を進めるといった使い方も提案されている。さらに、無線タクシーの場合、運転手はPoC対応の携帯電話を1台持つだけですべての連絡を取り合えるようになるので、わざわざ業務無線を車載する必要がなくなる。このほか、日常生活やレジャーなどのコンシューマーユースの世界でも、アイデア次第でPoCのいろいろな利用方法が生まれている。

国内でもあと1年前後で携帯電話の通信キャリアによるPoCサービスが始まると見られているが、携帯電話の通話方法としてPoCがメジャーな地位を確立していくのか、それとも亜流としてニッチな存在に終わるのか、今後の通信キャリアの取組みにぜひ注目したい。

取材協力 : 富士通株式会社、株式会社富士通研究所

掲載日:2009年3月25日

キーマンズネット

出典元:株式会社リクルート キーマンズネット 2005年4月6日掲載分

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